2016年2月29日9:22
JR東日本は、グループ共通ポイント「JRE POINT(ジェイアールイー・ポイント)」を2016年2月23日から開始したが、同日には報道関係者向けの説明会が行われた。「JRE POINT」では、まずアトレ、ボックスヒル、グランデュオ、シャポー、テルミナのポイントを「JRE POINT」に共通化。その後、他の駅ビルのポイントも共通化していくそうだ。さらに、ビューサンクスポイント、Suicaポイントも将来的に「JRE POINT」への共通化を目指すという(S.H)。
アトレのシステムをベースに共通化
鉄道との連携については、利用者の意見を踏まえ検討
JRE POINTは、貯めやすく・使いやすいポイントサービスを意識した。JR東日本グループ施設の買い物や飲食の利用100円(税抜)につき1ポイントを付与。
例えば、1,000円の買い物をした場合、ビューカード決済でSuicaにチャージするとビューサンクスポイントが15円相当、チャージしたSuicaで買い物すると5円相当、ペリエカードの提示でペリエポイントの10円相当のポイントが貯まり、還元率は3%となる。ただし、還元方法がバラバラでメリットを感じにくい課題があったそうだ。そのため、グループのポイントを共通化することで便利に利用してもらう狙いがある。
これまで、JR東日本の駅ビルは成り立ちや地域の違いもあり、各施設が異なったポイントをスタートし、システムも還元率も異なっていた。今回、会員数の多いアトレのシステム更新に合わせて、「JRE POINT」に共通化することになったそうだ。
現在、JR東日本が発行するポイントを合算すると、1,800万規模になるという。そのため、「数年後に1,800万くらいは目指したい」とJR東日本 執行役員 事業創造本部 部長 松崎哲士郎氏は意気込みを見せる。まずは、ショッピングのポイントがベースとなるが、鉄道との連携については、利用者の意見を踏まえ検討していきたいとしている。
ポイント市場は、年間の発行額は少なく見積もっても1兆円
JRE POINTは幅広く使える特徴的なポイントとなりえる
続いて、ポイントサービスの第一人者でもある野村総合研究所 上級コンサルタント 安岡寛通氏が、ポイントカードの市場動向について解説した。近年、流通系などさまざまな共通ポイントが登場しており、数の争いになっているという。また、老舗百貨店や大手電力会社、関西の鉄道グループなど、ポイント政策自体を変える事業者が出てきた。例えば、ある百貨店は従来、割引でサービスを展開していたがポイントに変更することで、従来の顧客にリピートして利用してもらう取り組みを強化している。また、電力会社は、電力の自由化を控え、顧客囲い込みの手段としてポイント制度を導入している。
ポイントカードは1人何枚も持っており、1億総ポイント会員化になっている。野村総合研究所の試算によると、年間の発行額は少なく見積もっても1兆円の市場と推計している。安岡氏は、「ポイントが乱立する中で特徴的な戦略が求められる」とした。そんな中で、貯まりやすく、いい加盟店で使えるのがユーザーにとってメリットとなる。また、共通ポイントは数が増えると1社あたりの相対的な囲い込みが弱くなるため、“逆張り”でグループ内から展開するのも特徴的な戦略であるとした。「JRE POINT」については、これまで施設ごとにバラバラで貯まっていたポイントが集約されるため、「幅広く使える特徴的なポイントとなりえる」とした。