2016年5月13日6:21

2020年の東京五輪に向け訪日外国人が便利に利用できる環境を整備

みずほ銀行は、2015年12月21日に、MasterCardおよびVisaブランドの海外発行カードが利用できる専用ATMを設置した。メガバンクで初めて海外発行カードに対応したことに加え、邦銀で初めて多通貨決済機能を導入したことで、注目を集めている。

1,000拠点への設置を予定
多通貨決済への対応で他行と差別化

みずほ銀行は、お台場海浜公園駅前出張所内を皮切りに、海外発行カード専用ATMの設置を開始。訪日外国人旅行者の多いエリアから設置をすすめ、将来的には1,000拠点にまで拡大することを目指している。

「海外発行カード対応ATMを設置する一番のきっかけとなったのは、2020年に東京でのオリンピック・パラリンピック大会の開催が決定したことです。みずほ銀行は、特に東京・首都圏に強い金融機関であり、東京都の指定金融機関でもあります。そのため、2020年までには海外発行カード対応ATMを相応のエリアに展開しなくてはならないと感じ、開催決定の翌日には社内に企画書を提出しました」(みずほ銀行 個人マーケティング部 エリアマーケティングチーム 参事役 塚本聡士氏)

みずほ銀行は、2013年から海外発行カード対応ATMの設置に向けて動き出し、同行と親密な関係にあるユーシーカード(UCカード)などと何度も打ち合わせを実施した。その後、2014年12月に社内の意思決定が完了した。

▲ みずほ銀行 個人マーケティング部 エリアマーケティングチーム 参事役 塚本聡士氏
▲ みずほ銀行 個人マーケティング部 エリアマーケティングチーム 参事役 塚本聡士氏

みずほ銀行には、グループ各社のさまざまなエンティティ・部署の人間が集まり、10年後のリテールビジネスを議論する、「次世代リテールPT」というプロジェクトチームがある。塚本氏も同PTに所属しているが、まさに10年先のビジネスを見据えた時、海外発行カードおよび多通貨決済への対応は絶対に必要となると考えたそうだ。

みずほ銀行の海外発行カード専用ATMは、UCカード、沖電気工業(OKI)、NTTデータと協力してスキームを構築し、海外で発行されたカードの日本円での引き出しはもちろん、MasterCardの多通貨決済機能を日本で初めて搭載した。多通貨決済サービスは、日本円の引き出しの際、ATM画面に、従来の円建てでの金額に加え、利用者の自国通貨に換算された決済金額も表示し、利用者自身が「円建て」か「自国通貨建て」のどちらで決済するのかを選択することができる。また、日本円を引き出す際に、実際に決済される為替レートを確定させることも可能だ。

塚本氏は、「他行との差別化や手数料収益の拡大もそうですが、何よりもお客さまの利便性向上に期待しています」と語る。まずは、訪日旅行者数や日本でのカード利用が多い国の通貨を中心に、多通貨決済では国内最大の34通貨に対応する。

今回のサービスでは、UCカードがNTTデータと組んで提供しているショッピングの多通貨決済サービスの裏側を共用している。UCカードは、アクワイアラとして日本で初めて多通貨決済サービスを提供しており、運用時の細かいノウハウも有している。ショッピングで利用する場合は店舗の店員の説明を受けてから処理が行われるが、無人で運用するATMの場合は独自のノウハウも求められる。当然新たに仕組みを構築する部分もあったが、既存の仕組み・ノウハウを活用できる部分も多かった。また、UCカードでは、MasterCard/Visaとの資金精算や金額訂正、チャージバック対応等のバックオフィス業務も担っているという。

▲MasterCardおよびVisaブランドの海外発行カードが利用できる専用ATMを設置
▲MasterCardおよびVisaブランドの海外発行カードが利用できる専用ATMを設置

ブランド認定やPCIの対応やコストが障壁に
3月には接触ICカード対応もスタート

塚本氏は、「もっとも大変だったのは、国際ブランドのレギュレーションやPCIへの対応でした」と打ち明ける。みずほ銀行では銀聯カードには以前から対応しているが、新たにMasterCardやVisaのブランド認定が求められた。また、決済処理に必要な「PCI DSS」およびPIN入力の基準である「PCI PTS」ならびにPINの暗号化等運用面の基準である「PCI PIN Security」への準拠も必要となった。

協力会社のNTTデータは、MasterCardやVisaとのネットワーク接続、PCI DSSとPCI PIN Securityといったグローバルセキュリティスタンダードへの対応を行った。かつては日本にはPCI PIN Securityの認証機関はなかったが、最近になって日本国内にも認証機関が出てきたのはコミュニケーションの点でプラスに働いたという。

また、OKIは、日本国内で外国銀行の対応を行っていることから、海外発行カードに関する知見もあった。OKIは、海外発行カード専用ATM本体・アプリケーション、ネットワーク回線・機器・および監視業務の提供を行った。

「従来の日本のATMはソフトウエアピンパッドですが、PCIのレギュレーションにより、ハードウエアピンパッドを付ける必要があり、コストもかかりました。3月には接触ICカード対応もスタートする予定です」(塚本氏)

みずほ銀行は、日本語、英語、中国語(簡体字)に加え、MasterCard/Visaの利用者が多い台湾などの旅行者の利便性向上を図るため、中国語(繁体字)にも対応した。なお、以前から対応している銀聯カードのATMでの利用実績は、当初予定していた計画を上回っているとのことである。

みずほ銀行は、海外発行カード専用ATMの1,000拠点への設置に向け、これから順次導入を進めていくが、基本的には、コンビニエンスストアでも使われている筐体を海外発行カード専用ATMとして、各拠点に一台ずつ設置していく形になる。

カード決済&セキュリティの強化書より
kyoksho1

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