2016年3月24日9:35
外貨に強いプリペイドカードをマネーパートナーズと提携して発行
カードショッピング保険に加え、海外プリペイドカード初の盗難保険も付保
大和ネクスト銀行は、マネーパートナーズと提携して、2016年3月28日から、大和ネクスト銀行の外貨預金口座の保有者を対象とした海外プリペイドカード「DAIWA SMART DEPOSIT(愛称:スマデポ)」のサービス提供を開始すると発表した。マネーパートナーズが提供する初の提携カードとなる。まずは月間500枚の発行を目指すとともに、外貨預金の残高を伸ばしていきたいとしている。
外貨預金から5通貨へチャージ可能
金額が余った際、外貨普通預金に無料で戻し入れ可能
大和ネクスト銀行は、2012年に外貨預金を提供し、2,300~400億円と残高が拡大。外貨預金も貯める、増やすという資産運用の一商品として提供してきたが、海外への渡航の際は外貨を便利に使いたい声が多数寄せられたため、消費者の利便性向上を考えてスマデポを導入したそうだ。大和ネクスト銀行 代表取締役副社長 斉藤 弘明氏は、「マネーパートナーズ様、MasterCard様の協力を得て、貯めていただいた外貨をうまく使うサービスを始めることができました」と説明する。
2014年にトラベラーズチェックの販売が終了し、その代替商品として海外プリペイドカードの市場が拡大しており、国内でも複数のイシュアがカードを発行している。マネーパートナーズでは、2014年9月から、1枚のカードに5通貨(米ドル、ユーロ、英ポンド、豪ドル、香港ドル)をチャージして海外のMasterCard加盟店やATMで利用することのできるマルチカレンシーのプリペイドカード「マネパカード(Manepa Card)」を発行している。かねてから近しい関係にある大和ネクスト銀行とマネーパートナーズは、2015年11月にプリペイドカード発行で合意したと発表し、今回の発行の準備を進めてきた。大和ネクスト銀行では、当初はデビットカードの発行なども検討したが、費用負担などの面から、プリペイドカードの発行を選択した。
スマデポは、大和ネクスト銀行の外貨預金(米ドル、ユーロ、英ポンド、豪ドル、香港ドル)をチャージして海外でのショッピングに利用できる。MasterCardブランドを付帯しているため、クレジットカード同様にリアルの決済、オンラインショッピングが利用可能だ。また、MasterCardマークのあるATMでの現地通貨の引き出しが可能だ。金額が余った場合には、外貨普通預金に無料で戻すことができる。さらに、上記以外の通貨圏で利用する場合、米ドルをチャージすれば、210の地域で利用可能だ。
海外旅行、海外出張、海外留学などでの利用を想定
外貨預金からのチャージ手数料は1.5%
スマデポは、クレジットカードのような与信審査が不要なため、15 歳から利用可能だ。海外旅行、海外出張、海外留学などでの利用を想定しており、従来の大和ネクスト銀行の利用者よりも若い層を想定している。
スマデポのカードには、ICチップを搭載。また、カードショッピング保険に加え、海外プリペイドカード初の盗難保険も付保しており、同機能はマネパカードにはない特徴となる。
現在、国内では複数の海外プリペイドカードが発行されているが、大和ネクスト銀行では、外貨預金を有効利用できる点が他のカードとの差別化であるとしている。また、外貨預金からのチャージ手数料は1.5%と、他社と比べても有利な条件であることをスライドで説明。ATM 手数料は米ドルが2 米ドル 、ユーロが1.75 ユーロ、英ポンドが1.5 英ポンド 、豪ドルが2.5豪ドル、香港ドルが20 香港ドルとなる(一回ごと)。さらに、チャージ額(入金額)の上限は「マネパカード」同様に100万円となっている。大和ネクスト銀行常務取締役 對馬真哉氏は、国内では銀行として3行が海外プリペイドカードを発行しているが、ICチップ搭載、カード盗難保険やショッピング保険を付帯している点が優位点であるとした。
マネパカードは約3万枚を発行
仮想通貨対応など、3つの構想を発表
同会見では、マネパカードの現状について、マネーパートナーズ 代表取締役社長 奥山泰全氏が、プリペイドカードの現状についてMasterCard マーケット・デベロップメント 上席副社長 広瀬薫氏が解説した。
マネパカードは、現在、約3万枚を発行。海外旅行者、留学生を中心にカード発行枚数は順調に増加しているそうだ。今回の大和ネクスト銀行との提携は、提携カードとしてはもちろん、金融機関向け第一号の提携カードとなった。
奥山氏は、マネパカードとしての機能向上に力を入れていきたいとした。1つ目は、2016年夏頃をめどに、国内円決済への対応を予定。これにより、海外での利用はもちろん、国内でのショッピングに利用可能となる。
2つ目は、現在は5通貨への対応だが、チャージ可能通貨の拡充を検討している。3つ目として、ビットコインなどの仮想通貨対応も視野に入れる。奥山氏は、「暗号通貨建ての預金の可能性もあると思います」と構想を口にした。
続けて登壇した広瀬氏は、プリペイドカードは、若年層、リタイヤ層(高齢層)、在日外国人、非給与所得者等、セキュリティ・コンシャス層、ギフト市場、各種手当の支給などのニーズを満たす商品を提供でき、クレジットカードとは違った特徴があると説明した。