2016年5月20日9:35
2015 年から2020年までの民間最終消費支出に占めるカード決済の比率はどのように成長するのか?弊社では、国際ブランド、カード会社、電子マネー事業者、プリペイドASP事業者、デビットカードイシュア等からの意見や現状の決済金額をベースに2015年から2020年までの日本のクレジット、デビット、プリペイドの各非現金決済手段の成長を予測し、その結果を公表した。
2020年の非現金決済比率は24.09%
調査の結果、2015年は、民間最終消費支出に占める割合がクレジットの割合は16.70%、デビットが0.28%、プリペイド・電子マネーが2.22%と予測。2020年にはクレジットが19.69%、デビットが0.59%、プリペイド・電子マネーが3.81%の市場になると算出している。現状、国内では8割が現金決済となるが、2020年の非現金決済比率は24.09%まで高まると期待される。
まず、クレジットカード決済については、発行枚数の伸びに鈍化がみられるものの、各カード会社とも稼働率アップに力を入れている。また、従来、口座振替や振込が多かった家賃、公金、医療、教育などでカード決済を導入するケースが見受けられるなど、決済シーンの広がりにより、年々、カード1枚当たりの取り扱いは伸びると想定している。ただ、発行枚数の大きな伸びが期待できない現状、日本人の民間利用のみで70兆、80兆の市場になるのは難しいというのが弊社の見解だ。
ブランドデビットはメガバンク等の新規発行で高い成長率を示す
また、デビットカードでは、VisaやJCB等の国際ブランドが搭載されたブランドデビットのイシュア(発行会社)が年々増えている。決済金額についてはまだまだ少ないが、メガバンクでも新規発行が予定されており、消費者への浸透も進んでいるため、2020年まで高い成長率を示すと予測した。なお、J-Debitに関しては年々決済額が減少している。
プリペイドカードについては、2020年には10兆円を超える市場になると見込まれる。電子マネーは、流通系や交通系の電子マネーが市場拡大を牽引している。一方でnanacoやWAONについてはグループ内での電子マネー決済の成長率が緩やかになると想定されるため、如何にグループ外での利用を高めていくかが、今後の発展のカギを握るだろう。
プリペイドカードの什器販売はコンビニや家電量販店でも重要な商材に育つ
コンビニや家電量販店では、ギフト・プリペイドカードの什器販売が浸透してきた。特に「iTunes Card」と「Google Play」の売り上げが市場拡大を牽引しており、コンビニエンスストアや家電量販店でも重要な商材に育ってきた。
さらに、カフェやスーパーマーケットで行われているハウス電子マネーもイシュアが増加。従来PETタイプで展開していたカードもサーバ型に移行するなど、市場拡大は続くだろう。また、国際ブランドが発行するブランドプリペイドはMasterCardブランドの「au WALLET」の取扱額が圧倒的に多いが、2016年はVisaやJCBブランドの決済額が伸びると予想される。
なお、ハウス電子マネーについては、出光キャッシュプリカなど法人の利用も多いが、今回はその数値は除外している。また、クオカードや図書カード(順次サーバ型に移行予定)など、PET型の数値は対象から外した。
※本予測は「カードビジネス年鑑」で算出。クレジットは、個人向けのクレジットカードの利用金額をベースに予測。デビットはJ-Debit、ブランドデビットを合算した数値。プリペイドカードについては、プラスチックプリペイド、ブランドプリペイド、ギフト・プリペイドカードの他店舗販売、非接触電子マネー、インターネットで利用される他店舗販売の数値をベースに算出。プリペイドについては、たとえばブランドプリペイドがギフト・プリペイドカードの他店舗販売となるコンビニエンスストアで販売されているように、当然、それぞれ算出した数値に重複が出てくるため、それを踏まえてトータルの市場予測を算出している(PET型カードの数値は除外)