2016年6月22日9:18
ドイツのWirecardは、POS、eコマース、モバイル(NFCやウォレット)など、さまざまな販売チャネルでの支払いをサポートするグローバル企業だ。同社では、アジアでの展開を強化している。
決済にかかわるビジネスを多岐に展開
アジアでのビジネスも成長を続ける
Wirecardは、1999年にドイツで設立。同社では、決済取引のためのアウトソーシングやホワイトラベル・ソリューションを提供する国際的なプロバイダだ。eコマース、POS等の対面取引、NFCやウォレットサービス、カード発行業務などを行っている。また、カードに加え、モバイル(NFC、HCE、QRコード、BLE)、ウェアラブル、ロイヤリティプログラムまで、多岐にわたるビジネスを展開している。
国際ブランドとしては、Visa、MasterCard、American Express、JCB、銀聯(CUP)などとの関係を築いている。また、全世界に2万4,000人の顧客企業を有し、120の通貨に対応している。
Wirecard AG エグゼクティブ・ヴァイス・プレジデント カード&モバイル・システムズ マネージング・ディレクター Wirecard NZ limited Andreas Kazamias氏は、「ビジネスの領域として、欧州市場が強いですが、アジアでの成長も続けています」と口にする。アジアでは、オーストラリアやニュージーランドにおいて、ほとんどの銀行と接点がある。また、インドネシアでも対面取引のPOS展開で高いシェアを誇るという。さらに、シンガポール、ベトナム、タイ、マレーシア、バーレーン、ヨルダン、レバノンなどでもビジネスを展開。シンガポールでは、Visaの子会社であるVisa Processing Service(Visaプロセッシング・サービス)の株式を取得し、アジア・太平洋地域でのプリペイドカードの取り組みを強化している。
UAE・ドバイにおいては、中東でも有数の決済ソリューションプロバイダーであるNetwork Internationalにもサービスを提供。また、現在、ドバイにプロセッシングセンターを建設しているそうだ。
アフリカに関しては、エジプトなどでビジネスを展開しており、今後は南アフリカに進出する予定だ。
NFCなど、欧州でのモバイル決済で主導的な役割を果たす
HCEベースのウェアラブルを開発
Wirecardでは、欧州において、NFCをはじめとする決済事業におけるパートナーとして主導的な地位を確立している。例えば、フランスのOrangeの「Orange Pay」、イギリスのVodafoneの「Vodafone SmartPass」などでソフトウェアの開発を担った。また、日本でもインバウンド対応で広がりを見せるAlipayのモバイル決済も提供可能だ。
さらに、クラウド上で機密情報を管理する「HCE(Host Card Emulation)」をベースにしたウェアラブルを開発するなど、新技術の開発を積極的に行っている。
なお、日本のマーケットについては、国際ブランドのJCBとビジネスで連携している。日本は特殊な市場で、テクノロジーもユニークだが、ビジネスを展開していきたいと考えているそうだ。
※取材は2016年5月31日、6月1日にドバイで開催された「Cards & Payments Middle East」で実施。