2016年7月21日9:08
分単位で注文対応を可能にすることで、「THE LOCAL」での「O:der」経由の売上は18.6%まで高まる
Showcase Gigは、モバイルを活用した事前オーダー・決済が可能な実店舗運営支援ソリューション「O:der」に接客・購買ナビゲーションサービス「O:der Cognis(オーダー コグニス)」を搭載すると発表した。「O:der Cognis」は、実店舗やECサイトにおける販売シーンに特化した、チャット形式での対話型UI(チャットボット)となり、対話型UIにより実在の人気バリスタや店舗スタッフとのやり取りを行うことができる。7月20日には、「O:der」のモデル店舗であるキャッシュレス/デジタル コーヒースタンド「THE LOCAL」において、メディア説明会を実施した。
「THE LOCAL」での事前注文・決済比率は順調に増加
プリペイド式チケットを7月末から提供へ
「THE LOCAL」には、国内外のロースターが焙煎した豆が、フレッシュな状態でデリバリーされる店舗となる。同店舗では、モバイルウォレットサービス「O:der」のショーケースとなる店舗を目指している。「O:der」は、スマートデバイスを活用することにより、デジタルCRMを実現する決済機能も備えたモバイルウォレットサービスだ。スマートフォンアプリの活用により、接客と店舗オペレーションの改善を目指す。利用者は、来店までに自身のスマートフォンから事前注文・支払いが可能となり、店舗にとっては注文や調理の待ち時間を削減できる。また、「O:der by Self」は、店舗に設置された専用のセルフ注文・決済端末を活用し、スマートフォンアプリの利用者でなくても、端末から商品の注文や接触ICカードおよび磁気によるクレジットカード決済がセルフで可能になる。
Showcase Gigでは、モデル店舗となる「THE LOCAL」において事前注文・決済を極めることで、さらなる顧客サービスの向上を図っているが、同店舗での「O:der」経由の売上は4月で9.7%、5月で13.1%、6月で18.6%と、毎月順調に伸びている。Showcase Gig 代表取締役 新田剛史氏は、「米国のスターバックスのモバイル決済比率が25%程となっていますが、そこに近づいています」と手ごたえを口にする。
コーヒーは分単位で味が変わるため、利用者が出来立てで、美味しいコーヒーを事前に注文して、受け取るのは難しい。「O:der」では、店舗の混み具合や注文数から調理時間を計算する機能を実装。これにより、待ち時間を自動でユーザーに表示させることができるという。
また、サービスのリニューアルとして、ユーザーが楽しみながらインセンティブを獲得できることを意識したリワード機能を提供。さらに、プリペイド式チケットを7月末から提供する予定だ。これにより、店舗はユーザーの再来店を促し、売上アップにつなげることが可能となる。
実際の販売シーンのようなチャットでのやり取りが可能に
店舗の本日のおすすめ情報などから注文・決済まで実施
7月21日から新たに提供を開始する「O:der Cognis」は、企業のオウンドメディア(アプリ・WEB)へのチャットボット導入を簡易に、効率的に実現するサービスとなるそうだ。実店舗やECサイトにおける販売シーンに特化した、チャット形式での対話型UI(チャットボット)であり、レジやデジタルサイネージなどのデバイス、他社基幹システムと接続されるAPIなどによって構成されるモジュール群となる。AI(人工知能)を組み込むことで、 実際の販売シーンのように会話のやりとりから文脈を判断し、潜在的なニーズに基づいた内容や、その人のパーソナリティにフィットした方法で自然におすすめが可能となる。
例えば、THE LOCALでは、ヘッドバリスタの大槻祐二氏と会話を行いながら、本日のおすすめのコーヒーなどを知ることができ、さらに注文まで行うことが可能だ。
また、注文以外にも店舗情報、コーヒーの紹介、メニュー情報、バリスタ情報などについて対話することができる。
既存のメッセンジャーなどにも対応へ
「O:der Cognis」を小売、交通、ホテルなどにも勧める
「THE LOCAL」以外での導入店舗としては、ユナイテッド&コレクティブ運営の「the 3rd Burger」アークヒルズサウスタワー店、にしの運営の「フィコ&ポムム ジュース」青山店でも8月初旬をめどに導入する予定だ。
新田氏は、実店舗でメッセンジャーを使ったアプリでの事前決済は世界的にもほとんど事例がないと説明する。今後は、オウンドメディアや既存メッセンジャーなど、あらゆる消費接点で接客・購買を実現させていきたいとしている。また、業種も飲食に留まらず、小売、交通、ホテルなどにも「O:der Cognis」の導入を進めていく方針だ。
なお、Showcase Gigでは、スカイライト コンサルティングと資本業務提携契約を締結。両社は、互いが持つ強みを組み合わせることで、デジタルビジネス領域において、主に大企業が持つデジタルビジネス課題を解決できるソリューションをワンストップで提供していく。
「O:der」は大手企業からの引き合いが増加
「プリペイドチケット」は将来的にはチャージ型も想定
記者説明会後、新田氏に「O:der」の現状と今後の目標について話を聞いた。
――「O:der by Self」を開始されましたが、その成果についてお聞かせください。
新田:オーダーの利用率は順調に上がっており、週5回利用される方もいるように、コーヒーショップとの相性がいいことが証明され、デジタル消費とモバイルペイメントの関係の良さもわかってきて、趣味・施行からレコメンド機能を広げていくことで、さらに掘り下げていきたいです。「O:der Cognis」もフロントの仕組みを変えるだけで、店舗のオペレーションは変わりません。
――店舗での「O:der」導入の広がりについてはいかがでしょうか?
新田:最近では、ラージビジネスの引き合いも増えており、「THE LOCAL」で作ったモデルを大企業向けに広げていく予定です。大企業で模範例が出てくれば、中小もさらに広がると思います。海外でも今年くらいからスモールビジネスに浸透してきた段階であり、2年くらいのスパンで本格的に浸透していくと見ています。
――「THE LOCAL」で味が劣化するコーヒーショップでの事前注文・オーダーを極めたいということでしたが、その成果についてお聞かせください。
新田:ここまで極めていいのか、というくらい精度は高まっています。待ち時間を自動でユーザーに表示させる機能を分刻みで行っている仕組みは、恐らく世界的に見てもそれほどないと考えています。
――7月末から開始される「プリペイドチケット」についてはいかがでしょうか?
新田:プリペイドチケットは、再来店を促す回数チケットとなります。まずはそこからスタートし、さらに発展させていきたいですね。将来的にはチャージしたプリペイドなどへの拡張も検討しています。
――将来的に「The Local」での「O:der」の事前注文・オーダーの関与率はどの程度まで伸びると思われますか?
新田:現状は20%弱ですが、将来的に50%まで高められればいいですね。2016年に入り、ラージビジネスチェーンやPOSレジメーカーの関心も高まっているように、市場は立ち上がり始めている感触を得ています。