2010年9月9日8:10
「カード決済とCRM/付加サービスの親和性」劇団四季(後篇)
年内に一席の価値を提供するシステムを提供開始
ペアでの購入や券面を工夫したチケットも検討
現状は贈答用のカードとして「新規開拓」に活用しており、自己利用は想定していない。小売・流通店舗などで自社のギフトカードを販売することも検討はしているが、演劇チケットという性質上、販売店舗との親和性がよほど合わない限り、流通は難しいと考えている。なお、ギフトカードの残高管理は将来的に販路を拡充する際、百貨店などとの連携を取りやすくなると考え、凸版印刷と富士通エフ・アイ・ピーのシステムを利用している。
「年内にシステムを拡充し、『オープンチケット』システムを採用します。これは、金額ではなく、一席の価値を提供することができるシステムで、決済金額に左右されずに座席の購入が可能になります」(四季 広宣部 宣伝/インターネット担当 課次長 植田義人氏)
システム拡充後はペアで購入できるチケットやデザインに工夫を持たせた券面も検討している。また、ディスカウントしたカードを発行する可能性もあるという。例えば、平日の夜の公演は観客が足を運びにくくなっているため、曜日や売価を曜日に合わせて設定し、来客を促すことを考えている。
QRコードを活用したスマートチケットシステムを開始
「チケット譲渡システム」も11月にスタート
同社のウェブプラン2010では、携帯電話で利用できる「スマートチケットシステム」の提供も7月から開始した。これはWebサイトやモバイルサイトで同社のチケットを予約後、ケータイに届く確認メールからQRコードをダウンロードし、それを当日劇場入り口のリーダにかざすとスムーズに入場ができるもの。例えば、劇団四季ギフトカードで決済を行い、スマートチケットを利用して入場することも可能だ。
「FeliCaなどのICカードではなく、QRコードを採用したのはコスト面でメリットがあることと、アプリケーションのダウンロードなどお客様の手間がかからないように考慮したためです。QRコードならば視覚的にも分かりやすいですね」(植田氏)
まだ1劇場しか展開していないが、開始一カ月で10%の観客が利用しており、初動としては非常に好調だ。11月からは、チケットを購入したものの、観劇できなくなった顧客への救済策として「チケット譲渡システム」の提供を行う予定だ。
劇団四季ギフトカードの今後について吉田氏は、「発行から一カ月が経過しましたが、弊社としてはまだテスト期間と捉えており、本格的な展開はウェブプラン2010が本格稼働する来年からです。短期的な視点ではなく、長い目で運用を考えていく方針です」と説明してくれた。