山口FG、「ワイエムデビットJCB」でクレジットカードとは異なる顧客への訴求を強化

2016年9月28日8:20

山口銀行、もみじ銀行、北九州銀行によるシステム共同化で発行・運用コストを抑制

山口フィナンシャルグループ(山口FG)傘下の山口銀行、もみじ銀行、北九州銀行は、ジェーシービー(JCB)と提携し、2016年3月30日から全世界のJCB加盟店で利用可能なデビットカード「ワイエムデビットJCB」の発行を開始した。グループ3行での発行の狙いについて話を聞いた。

「ワイエムデビットJCB」はメイン口座獲得の有効な手段
クレジットカードを持てない、持ちたくない層に訴求

「ワイエムデビットJCB」は、クレジットカードと同様に、日本国内および海外のJCB加盟店で利用可能なカードであり、原則15歳以上(中学生は除く)の個人の利用者に対し発行する。カードは、一般会員が1,250円(税別)、ゴールド会員が1万円(税別)となる。スタンダードのデザインに加え、もみじ銀行ではオリジナルのカープデザインを用意しており、同行では圧倒的に人気がある。

左から山口フィナンシャルグループ 営業戦略部 副部長 北川信之氏、営業戦略部 次長 営業企画グループ 竹下秀明氏、営業戦略部 営業企画グループ 副調査役 大屋高志氏
左から山口フィナンシャルグループ 営業戦略部 副部長 北川信之氏、営業戦略部 次長 営業企画グループ 竹下秀明氏、営業戦略部 営業企画グループ 副調査役 大屋高志氏

山口FGでは、2014年12月からブランドデビットのリサーチを始め、2015年4月に発行の検討を開始。国際ブランド側のシステムや銀行側のシステム開発の準備を経て、2016年3月30日から発行を開始した。中四国・九州地域では最も早いブランドデビットカードの発行となった。

山口FGではクレジットカードとして、山口銀行と北九州銀行が「ワイエムカード」、もみじ銀行が「もみじワイエムカード」を展開しているが、クレジットカードを持てない若年層、抵抗があって保有しない高齢者などを含め、ワイエムデビットJCBはメイン口座を獲得するために有効な決済手段であると考えたそうだ。

ワイエムデビットJCB。左から一般カード、ゴールドカード
ワイエムデビットJCB。左から一般カード、ゴールドカード

勘定系システムの共同化でコスト削減に成功
会員数や稼働実績がクレジットカードと同様になる想定で収益を試算

山口フィナンシャルグループ 営業戦略部 副部長 北川信之氏は、「弊社では、グループ3行でシステムの共同化を行っていますので、コストを抑えて発行することができました」と語り、笑顔を見せる。山口FGでは、常陽銀行等と勘定系システムの共同化を実施している。今回は、同システムをベースにブランドデビットに対応したシステムを開発したため、コストを削減できたという。収益性については、会員数、会員の稼働実績がクレジットカードの実績と同様になるという想定のもと収支を試算し、十分に採算が見込める結果となった。

カード発行に向けて、国際ブランドのJCBと提携。山口フィナンシャルグループでは、本体発行しているブランドは、JCBとDC Visaの2つがある。グループでの本体発行は山口銀行となり、もみじ銀行はもみじカード、北九州銀行は山口銀行がイシュアとなっている。営業戦略部 次長 営業企画グループ 竹下秀明氏は、「本体発行はJCBブランドの歴史が古く、また、会員数が多いといった理由があったため、提携することになりました」と説明する。ただ、同発行が軌道に乗り、顧客からの要望があれば他ブランドについても検討していきたいとしている。

なお、銀行のシステムが停止している間は、JCBが情報を受け取り、代行決済を実施。また、システム再開後はその情報を山口FGが受け取って処理を行うため、24時間365日の運用が可能となっている。

発行枚数は初年度の計画通りに推移
数千円の買い物でコンスタントに利用される

サービス開始後の会員数は非公表としながらも、「銀行のチャネルを使って、初年度の計画通り獲得できています」と竹下氏は成果を口にする。保有者をみると、「全体の3割程が若年層、高齢者となり、これまでカードを持っていない層にお持ちいただいています」と同氏はほほ笑む。

デビットカードは、キャッシュカードと別に発行されるが、「2枚の方がよりお客様の利便性が高まると考えました」と北川氏は話す。また、営業戦略部 営業企画グループ 副調査役 大屋高志氏は、「当行ならではの特徴として、ワイエムデビットJCBカードをお持ちいただいている方は、山口銀行・もみじ銀行・北九州銀行のATMの時間外手数料が無料になります」と説明する。これにより、時間外でも便利に預金の引出しが可能だ。

決済単価は、クレジットカードよりはやや低いが、数千円の買い物でコンスタントに使われる傾向がある。また、1回の買い物の上限金額は100万円までとなっているが、利用者によっては200万円まで増額可能だ。今後は、JCBと協力し、稼働促進のキャンペーンを行うなど、稼働を高める取り組みを強化する方針だ。

ブランドデビットやクレジットカードが利用できる加盟店の開拓については、グループのやまぎんカードを中心に実施。また、たとえば地域の店舗でカードを利用するとポイントがお得に獲得できるといった特約店の開拓についても検討を進めている。

一方で、現状のワイエムデビットJCBの課題として、ゴールドカードの訴求が挙げられる。ゴールドカードのメリットをクレジットカード同様に理解してもらうことは難しいが、保有者の稼働率は高いため、告知を強化していく方針だ。

『マネーフォワード for YMFG』で口座の入出金、決済データを見える化
利便性を実感してもらいキャッシュレス化につなげる

山口FGでは、Fintechスタートアップ企業と連携した新たな金融サービスの取り組みも行っている。マネーフォワードと提携した『マネーフォワード for YMFG』のiOS版とAndroid版、WEB版では、山口銀行・もみじ銀行・北九州銀行の口座、ワイエムデビットJCB、ワイエムカードへの連携が可能だ。利用者のホーム画面には各行の口座残高が表示され、インターネットバンキングのスマートフォンアプリを起動することができるほか、各行からの通知を受け取ることができる。

「1年前に資本業務提携したマネーフォワードの『マネーフォワード for YMFG』では、ワイエムデビットJCBご利用のお客様も口座連携でき、いつでもデビットカードとして利用された履歴が閲覧できます。自分のお金を見える化する大変便利なツールです。お客様は一度ご利用いただき、その利便性を実感していただけると、自ずと消費行動がキャッシュレスに変わっていくと思います」(北川氏)

3行では、2016年9月~2017年3月まで、『マネーフォワード for YMFG 新規登録キャンペーン』を実施。「マネーフォワード for YMFG」と、山口銀行・もみじ銀行・北九州銀行の口座、ワイエムデビットJCB、ワイエムカードを紐づけた人に対し、Amazonギフト券500円分を進呈するキャンペーンを行っている。

北川氏は最後に、「ワイエムデビットJCBの発行枚数は想定通りに推移しているため、まずは一度利用してもらい、コンスタントな稼働を高めていくことを重視していきたいです」と意気込みを見せた。

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