2016年10月5日11:57

三井住友カードと協力し、便利で安全なサービスの提供を目指す

米Stripeの日本法人であるストライプジャパンと、カード会社の三井住友カードは、2016年10月4日に記者会見を開催し、オンライン決済サービスの国内提供を開始すると発表した。

左からStripe CEO and co-founder パトリック・コリソン(Patrick Collison)氏、三井住友カード 取締役会長 島田秀男氏、ストライプジャパン 代表取締役 ダニエル・ヘフェルナン(Daniel Heffernan)氏
左からStripe CEO and co-founder パトリック・コリソン(Patrick Collison)氏、三井住友カード 取締役会長 島田秀男氏、ストライプジャパン 代表取締役 ダニエル・ヘフェルナン(Daniel Heffernan)氏

2年間にわたり本格展開に向けた準備を慎重に進める
決済手数料は一律3.6%のシンプルな体系に

Stripeは、Webサイトやアプリケーションにコードを組み込むことでクレジットカード、デビットカードなどによる決済サービスを提供できる仕組みとなる。Stripeでは、2014年6月にストライプジャパンを設立。2015年5月から日本において招待制のベータ版のテスト運用を行ってきた。Stripe CEO and co-founder パトリック・コリソン(Patrick Collison)氏は、「日本のユーザーが何を必要としているのか、何が重要なのかを特定するため、慎重に2年間調査を重ねてきました」と説明する。ベータ版では、Peatix、Gengo、ANAなどからフィードバックを受け、日本市場にあったサービスの提供に努めたという。

日本での導入企業。日本では導入企業がその良さを他の企業に伝えてもらうことがサービス拡大につながるとした
日本での導入企業。日本では導入企業がその良さを他の企業に伝えてもらうことがサービス拡大につながるとした

また、決済手数料は一律3.6%。コリソン氏は、「料金の上乗せなく、より簡単に簡潔なモデルにしたかったため、ワンプライスにしました」と話す。

Stripeでは、インターネットを通じて複数の売り手と買い手の売買を実現するマーケットプレイスを対象とした決済システム「Stripe Connect(ストライプ・コネクト)」を提供しているが、日本国内でも利用が可能となる。また、サードパーティ内のアプリで商品を直接表示したり、アプリで購買ボタンを表示して決済につなげることができる「RELAY(リレイ)」も提供する。

さらに、「Dashboard(ダッシュボード)」機能では、全取引、顧客情報、定期支払い、振込などを直接管理。また、Stripe 上のデータは、Netsuite、Quickbooks など既存のシステムと同期して経理担当者の会計管理とレポーティングを効率化させることが可能だ。

世界の名だたる企業がStripeを利用
130通貨の決済を提供

コリソン氏は、米国の2015年のオンライン購入のうち40%でStripeが利用されていることを紹介。また、Kickstarter、Pinterest、Twitter、Facebook、Salesforceなど、世界の名だたる企業で利用されているとした。

日本でも越境ECに取り組む企業が増えているが、130通貨に対応した多通貨決済へのサポートにより、サイトの開始当初からグローバルな展開を行うことが可能だ。さらに、不正への対応として、機械学習ベースの不正検知システムを搭載している。

スモールマーケットを中心にカード決済のすそ野を拡大
売上代金は週に1回精算

記者会見では、日本でのビジネス展開における戦略的パートナーである三井住友カード 取締役会長 島田秀男氏も登壇。今回のStripeと提携した理由について紹介した。

まずは、ECマーケットにおいてスモールマーケットを中心に裾野を拡大し、同社のプレゼンスを高める狙いがある。EC市場はこの5年間で2倍弱の規模に成長を遂げており、さらなる拡大が期待されている。スタートアップ企業は自身でECサイトを構築するのはハードルが高いが、Stripeのチェックアウトサービスを利用すれば、簡単に素早くクレジット決済機能を導入できるとともに、売上代金は週に1回精算されるため、キャッシュフローの面でも現金決済に近い形で処理が可能とした。

「チェックアウトサービスは、顧客がWebサイトで入力したカード情報が加盟店のサーバを通過しない非通過型の仕組みとなっています。カード情報の漏洩リスクは非常に低く経済産業省や日本クレジット協会からも推奨されている方式の1つとなるなど、安心・安全な決済サービスとなります」(島田氏)

さらに、Stripeのサービスを継続的に導入することにより、消費者やECサイトへのサービスを強化できる。ネット決済の拡大、モバイル端末、マーケットプレイスやソーシャルネットワークの普及により消費者の購買行動は変化し、多様化している。そういった潮流の中で、複数のWebサイトやアプリ間の取り引きをサポートできる「RELAY」のサービスは生かされるという。

また、多通貨決済を本格展開に合わせてリリースしたが、インバウンド需要の高まりを背景に、グローバルに事業を拡大させたいと考える企業に対応できる。

加盟店管理、カード不正防止を三井住友カードと協力して実施
Stripeのノウハウを今後の事業展開へ役立てる

今回のStripeのサービス展開は三井住友カードの事業の拡大にもつながるそうだ。Stripeが包括加盟店としてカード会員のオーソリや加盟店管理を行うが、三井住友カード自身でもブランド精算や加盟店管理を行うWチェック体制となる。特徴的なのは、加盟店管理、カードの不正防止についての管理を両社がそれぞれ行い、安心・安全な決済取引を目指すことだ。

島田氏は、「Stripeは25カ国で事業展開をしていますので、不正利用のグローバルな傾向も分析することができ、その精度は日に日に高まっていると思われます。こうしたEC決済にかかわる不正検知はもとより、各種商品、サービス開発における高度な技術やノウハウを本提携によってしっかりと吸収し、今後の事業展開に役立てていきたいです」と語った。

※この5年間で2倍弱の規模に成長を遂げているのは「決済市場」ではなく「EC市場」の誤りでした。お詫びして修正させていただきます(2016/10/13)。

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