2016年12月6日8:48
世界的なデジタルセキュリティベンダーのGemalto(ジェムアルト)では、モバイル認証ソリューション「Ezio Mobile Suite」を提供している。同社では、スマートフォンの生体認証機能を活用したオンライン認証サービスを世界の銀行等に勧めており、同サービスでは、指紋などに加え、モバイルに顔の画像を登録し、まばたきにより認証が可能だ。日本では、大日本印刷(DNP)と提携して営業を行っており、クラウドサービスとして2017年の第一四半期にはサービスが開始される予定だ。
国際ブランドのまばたきによる認証との違いは?
スマートフォンなどのモバイル端末に顔画像の情報を登録
Gemaltoでは、世界の金融機関に対し、バンキングの認証ソリューションを提供している。たとえば、旅行者が旅先で自国にいる子供のアカウントに安全に送金する仕組みを、利便性とセキュリティを両立した上で実現させることを目指している。従来のパスワードを利用した認証に加え、生体認証を活用した取り組みを進めている。現在、Gemaltoの認証ソリューションを導入している銀行では、ユーザーがパスワードか生体認証かを選択できる仕組みとなっているが、今後はより生体認証が利用されるようになるとみている。
生体認証では、指紋認証に加え、登録した顔画像を利用して“verified (認証)”するソリューションを用意している。利用者はまず、スマートフォンにアプリをダウンロードし、アプリに顔画像を登録する。認証の際、アプリでは顔全体を写しだし、ユーザーはそこでまばたきを行うことで認証が行われる。顔全体が動いたり、まばたきをすることで、生きている人間の顔、なおかつ本人であるとマッチングされて、認証される仕組みだ。
まばたきによる認証は、ペイメントカードの国際ブランドも提供しているが、「他社の場合、サーバーで情報のマッチングが行われますが、弊社ではモバイル端末に情報を格納するため、プライバシーは侵害されることはなく、なおかつ第三者がハッキングできないのが特徴です」と、Gemalto Ezio Mobile solutions マーケティング・マネージャー Guillaume Pierquin氏は説明する。ユーザーは、最初に金融機関にサービスを登録した上で、スマートフォンなどのモバイル端末に情報を格納する流れとなるため、よりセキュアな仕組みとなっていると自信を見せる。
複数の認証を組み合わせた二段階認証にも対応可能
海外では2016年12月から銀行でローンチ
具体的な利用のシーンとして、モバイルバンキングや送金の認証、本人認証サービス「3-Dセキュア」の際のパスワードの代替などを想定している。オンラインバンキングにおいては、パソコンで手続きを行う際、認証のみをモバイルで行うことも可能だ。また、セキュリティのレベルに応じて、パスワードやICカードなど、他の認証方式と組み合わせるといった、二段階認証にも対応している。
すでに海外では、eコマースでは採用されているが、12月から銀行のサービスで利用がスタートするそうだ。日本ではDNPと協力し、2017年第一四半期から本格的な展開が行われるという。
また、今後は声紋や虹彩など、新しい生体認証方式への対応も行う方針だ。Guillaume Pierquin氏は、「世界中のメジャーな銀行に採用してもらいたいですね」と語り、笑顔を見せた。
※取材は2016年11月29日~12月1日まで、フランス・カンヌで開催された「TRUSTECH(トラステック)」にて