2017年1月10日8:00
INFOXとJET-Sに対応し、従来機から機能を大幅に拡張
東芝テックは、2016年10月にカラー液晶でフルタッチパネルを搭載した新型決済端末(CT-5100)の出荷を開始した。NTTデータの「INFOX-NET」、日本カードネットワークの「CARDNETオンラインセンター」へ接続し、多彩な決済をコンパクトな端末に集約している。また、POS直結も可能なピンパッドはPCI PTS V4.1かつEMV Selectable Kernel認定品となっている。
銀聯のICカード決済やDCCに対応
端末の性能は数倍に
東芝テックでは、2010年4月から、INFOXおよびJET-S端末に対応した決済端末「CT-4100」を提供している。これまでに約15万台の出荷実績がある。
同社が2016年10月から提供を開始した新型端末「CT-5100」は、「機能の充実を図りつつも、従来の端末と同様の価格で提供しています」と、東芝テック 商品・マーケティング統括部 上席主幹 金澤 肇氏は話す。
新端末では、クレジットカード(磁気・IC)やJ-Debit、電子マネー、ポイントはもちろん、銀聯(Union Pay)のICカードや「多通貨決済:DCC(ダイナミック・カレンシー・コンバージョン)決済サービス」に対応する。また、4.3インチのワイドスクリーン・カラーTFT液晶ディスプレイの大きさは旧端末同様だが、画面をフラットにしたため、より画面を見やすくなり操作性もアップしているという。さらに、従来通り、フルタッチパネルによる操作が可能だ。CPUやメモリの性能も大幅にアップしており、また高速サーマルプリンタによる200mm/秒の印字速度を実現したことで従来機と比較してスピーディな処理が可能となった。
外部インターフェースとして、SDカードスロット、USBを具備し、周辺機器の拡張性も考慮されている。そのほか、同社独自のLANによるPOS連動を実現している。
電子マネーはシンクライアントで提供
ハウスプリペイドやポイント、QRコード決済の引き合いが増加
電子マネーについては、「CT-4100」同様に、トランザクション・メディア・ネットワークス(TMN)のセンターへ接続している。CT-4100では、2013年8月にJET-S端末でTMNのセンターを利用して電子マネー対応を行ったが、半数以上が電子マネー端末とセットで申し込むなど、端末の普及につながった。金澤氏は、「ここ1年は、電子マネーの引き合いは若干落ち着いているものの、磁気カードによるハウスプリペイドやポイント、QRコードを活用したモバイル決済など、ローエンドの決済のお問い合わせが逆に増えています」と口にする。
新型端末では、ハウスポイント、プリペイド、共通ポイント等の機能を3つまで搭載することが可能だ。東芝テックでは、「JET-S端末では複数のポイント及びプリペイド事業者と接続し、多くのプリペイド、ハウスポイントを実現した実績があります」と同統括部 決済・SCシステムソリューション商品部 決済システムソリューション担当 部長 三木 孝浩氏は話す。また、ブランドプリペイドカードでは、JET-S端末を利用して遠州鉄道の「EPiCA(エピカ)」で運用された実績がある。
インバウンド対応としては、銀聯ICカードやDCC機能に加えQRコード決済やNFCペイメントへの対応も今後予定している。新型決済端末ではないが東芝グループのインバウンド実証実験として福岡・天神の地下街で、「微信:WeChat(SNS型コミュニケーションアプリ)」での販促サービスが展開され、また、西武プロパティーズが運営する軽井沢・ショッピングプラザで行う訪日外国人の集客力向上を図るサービスの実証実験で「Wechat Payment」の展開を行っている。
ピンパッドはPCI PTS4.1とEMV Selectable Kernelに対応
EMVコンタクトレスやQRコード決済の搭載も視野に
ピンパッドは、大型の覗き見防止カバーを備えたデザインを採用。EMVレベル1、レベル2および各種ブランド認定を取得している。なお、東芝テックでは、2010年から「CT-4100」において、PIN入力の国際基準「PCI PTS2.1」に対応したICカードリーダライタ付きピンパッド「PADCT-4100」を提供していたが、その有効期限が2017年4月に切れるため、PCI PTS 4.1(オフライン/オンライン)に対応している。またEMVレベル2は2016年2月の実行計画で記載されているPINレス・サインレスのためのNo CVMや銀聯ICカードのオンラインPINへの適用を考えSelectable Kernelとして認定取得を実施している。PINパッドのセキュリティに加え、本体の「CT-5100」も、AndroidやLinux等のオープンなOSではなく東芝テック独自のクローズドな リアルタイムOSを採用し、搭載されるすべてのソフトウェアに東芝テック独自の認証及び暗号機能を搭載しているため、外部からのハッキングに対して強固なセキュリティ性を保持しているそうだ。
2020年の東京五輪に向け、POSのEMV対応の加速も期待されるが、東芝テックでは百貨店や専門店でのPOSのIC化についても屈指の実績を築いている。
今後の予定として金澤氏は、「17年度には、EMVコンタクトレスやQRコード決済機能を付ける予定です」と構想を口にする。特にEMVコンタクトレスは、インバウンド対応として、引き合いが増えると予測。現状、日本での対応加盟店は少ないが、2020年の東京五輪がトリガーになると見ている。また、POSで実現している機能の一部搭載やクラウド型で実現する機能の実装も将来的に検討していきたいとしている。