2017年5月16日8:17
Ingenico Group(インジェニコグループ)と、Androidベースのリーダーを開発するFAMOCO(ファモコ)は、2017年2月28日にパートナーシップを発表し、両社の強みを活かした製品を開発している。スペイン・バルセロナで開催された「Mobile World Congress2017」においてデモが行われたが、5月1日、2日にドバイで開催された「Seamless Middle East2017」でも展示された。決済業界のリーダーの1つであるインジェニコと、スタートアップのFAMOCOとのパートナーシップの成果が注目される。
Ingenicoの「Link/2500」とFAMOCOのAndroidテクノロジーを組み合わせる
いずれもフランスの企業であるIngenico とFAMOCOが開発する製品は、mPOS(モバイルPOS)のローコストモデルとして登場した「Link/2500」と、FAMOCOのセキュアでリモート管理されたAndroidデバイスの強みを組み合わせた製品となる。FAMOCOによると、10月以降の年内には市場に投入する予定だ。
Ingenicoは世界屈指の端末ベンダーであり、国内での展開も強化している。FAMOCOと共同開発している製品もマグストライプ、接触、非接触決済に対応している(関連記事)。一方、FAMOCOの「FAMOCO MDM(Mobile Device Management:モバイルデバイス管理)」では、Androidの中でも高セキュリティな処理が可能であるとしている。また、決済サービス、セキュリティツール、およびビジネスサービスを監視する単一プラットフォームによって管理される(関連記事)。両社が開発する新たなmPOS(モバイルPOS)は、Ingenicoの決済ソリューションをFAMOCOのAndroidベースのデバイスと融合し、メタデータを保護するそうだ。
プライベートストアからカスタマイズされたサービスをダウンロード可能
具体的な活用として、表側のIngenicoの決済アプリケーションによる支払い処理に加え、裏面のFAMOCOのAndroidベースのスクリーンでメニューの閲覧、オーダーエントリーが可能だ。また、店舗での買い物の際、店内に商品のストックがない場合、オンラインで在庫を調べることができる。同端末では、プライベートストアからダウンロード可能なビジネスアプリを通じて、カスタマイズされたサービスを提供しており、店舗では自社にあったサービスを利用することができる。
FAMOCO Co-founder Olivier Cechura氏によると、今回の提携に向けてはIngenico側から話があり、実現したそうだ。Ingenicoにとってもセキュアで最適化されたAndroidベースの決済ソリューションの提供は初となる。
FAMOCOはAlipay決済、オレンジへKYCソリューションを提供へ
FAMOCOでは現状、欧州、アジア、アフリカでサービスを展開しているが、「国際的な成長を加速させるため、2月に1,100万ユーロの資金を調達しました」とOlivirer Cechura氏は説明する。今後は、日本をはじめ、Ingenicoがサービスを展開する地域での展開が期待されるところだ。
なお、FAMOCOではAlipay決済に対応した欧州で最初のスタンドアロンデバイスを展開する。また、モバイルネットワーク事業者(MNO)のオレンジがネットワーク上に展開することを決定した、識別性と機密性を強化する「KYC(Know-Your-Customer)ソリューション」は、複数のアフリカ諸国で展開される予定だ。
※取材は2017年5月1日、2日にUAE ドバイで開催された「Seamless Middle East2017」のFAMOCOブースにて。