2016年12月16日10:00
フランス、ベルギー、香港にオフィスを構えるFAMOCOは、セキュアで、リモート管理が可能なAndroid端末とプラットフォームを提供している。同社の「FAMOCO MDM(Mobile Device Management:モバイルデバイス管理)」では、「Alipay(アリペイ)」などの決済時の際、低コストで、SaaSプラットフォームを介して高セキュリティな処理が可能であるという。同社 Co-founder/CEO Lionel Baraban氏に話を聞いた。
セキュアなシステムを実装した端末を安価に提供
――まずはFAMOCO様のビジネスについてお聞かせください。
Lionel Baraban:Androidを活用した決済のトランザクションは多く利用されていますが、それをセキュアにプロバイドするシステムを提供しています。お金のトランザクションの動きは、従来の国際ブランドであるVisaやMastercardに加え、Alipayなど新たなシステムが登場しています。また、決済処理に加え、バウチャー、アクセスコントロールのセキュリティ、電車の移動における支払いも関わりますが、これをビジネスとして確立する際は、それらすべてにおいて、セキュリティは強くなければいけません。
たとえば、弊社がサポートしているAlipayの取引は、Androidのシステムをベースに構築されている最たる例ですが、消費者がAlipayを使うためのアプリケーションを決済端末に格納しているとします。店舗にはPOSがあり、消費者から初めてお金を受け取ることが可能です。もし、アプリケーションだけを入れるだけの簡単なシステムで構築すると安全性が担保されないため、それぞれの決済にあったセキュリティが必要となります。その場合、トランザクションごとにセキュリティを満たす必要があり、消費者の用途によって決済端末を変更したり、独自のセキュリティシステムを入れる必要があり、不経済です。それらの決済サービスを一括して使え、セキュリティの高いシステムを安価に提供しています。
ハードウェア、Android、独自のセキュリティで強化
――御社の決済端末であるFXシリーズと「FAMOCO MDM(Mobile Device Management」の強みについてお聞かせください。
Lionel Baraban:3段階のセキュリティに分かれており、まずはハードウェアセキュリティが挙げられます。デバイスの中にEmbedded Secure Element(エンベデットセキュアエレメント)とセキュアアクセスモジュール(SAM)を搭載しています。また、スマートチップそのものにセキュリティシステムを導入しており、その中にユニークなキーを搭載しているため、そのキーがなければ元のデータに戻して読み取ることができません。
2つめは、Androidのなかでも特にセキュリティを強化した独自のサービスとなっています。端末に使われるすべてのアプリケーションにセキュリティをかけており、署名されていないアプリケーションは一切動かないようにできています。
3つめは、独自のセキュリティシステムを提供しています。たとえば、ペイメントシステムに「Pokemon GO(ポケモンGO)」のシステムを入れても動作しません。
現在、ペイメントセキュリティの世界には2つあり、まずはICカードと端末の仕様を定めたEMVがあります。政治的にもペイメント業界の動きはEMVが牽引していますが、弊社にしてみればcertification(検定)であり、それがそのままセキュリティの強化になるとは考えていません。弊社が考えるセキュリティは、使用するデバイスのフィーがそれほどなく、強固なシステムで、なおかつセキュリティを強化したサービスを確立することです。たとえば、大手の決済端末会社では、Alipayに対応した端末を製造していますが、弊社が提供する端末であれば、4分の1の価格で提供可能です。
――これまでの端末の出荷実績、現在のサービスの展開地域についてお聞かせください。
Lionel Baraban:これまでの2年間で10万台の端末を出荷しています。また、他のAndroidデバイスに使用できるアプリケーションの提供も開始しました。弊社のシステムそのものは、各種Android端末でも使用することは可能ですが、弊社の端末を使用してもらうことで、セキュリティを最大限強化することが可能です。
また、弊社の端末は、アジア、アフリカを中心に利用されています。アジアでは、フィリピン、インドネシア、マレーシア、インド、アフリカではカメルーンやマリ、モロッコなどとなります。また、Alipayは、フランスでサービスがスタートしていますし、ヨーロッパ各地に弊社のシステムを広めていきたいですね。
日本での展開は?グローバルな拠点を拡大へ
――日本市場での展開についてお聞かせください。また、今後も目標についてはいかがでしょうか?
Lionel Baraban:日本は先端のサービスを提供している国だと考えており、開発のペースが速いので、弊社のシステムのようにセキュリティが確立されているものをフレキシブルに導入してもらうのは合っていると思います。ただ、日本は特殊なマーケットなので、成功のためには、いいパートナーを見つけて、現地の意見を取り入れながら進めていくのがベストであると考えています。
また、2017年に向けて、北アメリカ、アフリカ、中近東などで、6~10位の支社を作りたいですね。
※取材は2016年11月29日~12月1日まで、フランス・カンヌで開催された「TRUSTECH(トラステック)」にて