2017年7月18日8:15
東京大学大学院情報理工学系研究科 ソーシャルICT研究センターは、2017年7月6日、東京大学本郷キャンパスにおいて、シンポジウム「AI/IoTが拓く安全快適社会への展望」を開催した。同シンポジウムでは、「ライフスタイル認証実証実験と今後の展望」と題して、ソーシャルICT研究センター 次世代個人認証技術講座 特任准教授 山口利恵氏が講演した。
東京大学ソーシャル ICT 研究センター 次世代個人認証技術講座は、次世代の個人認証技術研究開発を行っている。カード会社の三菱UFJニコスの寄付講座として、東京大学大学院情報理工学系研究科に次世代個人認証に関する寄附講座を開設し研究を続けている。
ライフスタイル認証では、認証にユーザーの普段の動作から抜き出したデータを活用。ユーザーは明確な動作をすることなく、本人認証が実現する。また、IoTを利用し、スマートフォンやウェアラブル端末等のデータによって本人性や行動を機械学習で解析するそうだ。
たとえば、低額のペットボトルのお茶と、高額なダイヤモンドをクレジットカードで購入する際のセキュリティが異なるように、安全性と利便性を考えて、多要素、段階認証の実現としてライフスタイル認証を実現させることを目指している。
同研究センターでは、2017年1月11日から4月26日まで、産学で連携したライフスタイル個人認証に関する実証実験を行った。実験には、延べ5万7,000人が参加。この数は、「多要素認証の研究として、数万人を手元に残しているのはトップクラスだと自負しています」と山口氏は話す。
また、カレッタ汐留や六本木ヒルズなどのイベント施設を利用したデモンストレーションを同時に実施。目的は、多要素認証に関わる大規模データ収集、システムの接続可能性のチェックとなった。利用要素は、端末、電波(Wi-Fi)、位置、IPアドレス、運動履歴、マンガ履歴、血圧計、電子チラシ履歴となり、凸版印刷 「Shufoo!」 および、小学館「マンガワン」などで実験を告知した。
その結果、端末の情報や、位置情報などのデータを手にすることができ、ユーザーの行動特性を把握することができたという。