2017年11月6日12:30
PayPal Pte. Ltd.(ペイパル)、ラクーン、アイスタイルの3社は、2017年10月27日、越境ECについてのメディア限定勉強会を開催した。当日は、ラクーンが越境BtoBサービス「SD export」について紹介した。
「SD export」の流通量は2年間で3倍に
ラクーンは、同社が運営する卸・仕入れサイト「スーパーデリバリー」の越境ECとなるBtoBの輸出販売サービス「SD export」を2015年から展開している。SD exportの海外向け流通額は、この2年間で3倍の流通量になったという。
「SD export」は、日本国内のメーカーの商品を海外の小売店が仕入れやすくする目的で開始。「SD export」の仕組みとして、日本国内のメーカーが商品を登録。それを翻訳した形でWebページに掲載し、海外の小売店から注文が入ると、日本のメーカーはラクーンが用意した国内の倉庫に出荷する。インボイスやパッキングリストなどの輸出書類を制作し、国際配送で輸出。関税は海外の小売店が直接払う仕組みだ。
PayPal決済比率は2割、欧米対応では有益な決済サービスに
料金は、「SD export」の決済方法であるクレジットカード、T/T(電信送金決済)、PayPal(ペイパル)のいずれかで回収し、国内メーカーには全部まとめて日本円で支払う。現状の決済比率は、クレジットカードが約7割、PayPalが2割、T/Tが1割程の比率となる。
また、「国によって選ばれる決済手段は異なり、欧米だとPayPalが半分近い国もありますが、中華圏だと2割よりも少ない数値です。中華圏以外の売上を伸ばす意味ではPayPalに助けていただいています」と、ラクーン 越境EC事業担当 取締役 阿部智樹氏は話す。
現在、PayPalは中国国内で消費者が加盟店から商品を購入できるライセンスは保持していないが、「バイヤーが海外から商品を購入する際の手段としての利用は可能となっています」と、PayPal Pte. Ltd.東京 事業開発部部長 野田陽介氏は説明する。
PayPalはtensoやDHL Expressと協力して越境ECを支援
なお、PayPalの調査によると、越境ECにおいて、購入率を高めるドライバーとして、「安全な支払い方法」が43%、「自国通貨で表示・支払いが可能」が36%となった。また、送料や配送時間、返品時の手数料など、配送面も重要となっている。
PayPalでは、越境ECのドライバーである決済および配送をサポートするため、パートナー企業と連携して取り組んでいる。tensoとは、共同でEC事業者へのセミナーなどで情報を提供している。また、国内のECサイトには、tensoと共同でのバナー掲載により、国内倉庫から海外へ転送できるサービスを告知している。DHL Expressとは、eBay出品者が、DHLの配送料金をPayPalで支払うことができる仕組みを提供しているそうだ。