2017年11月14日6:30
台湾台北にて行われた「第15回JCB世界大会」(2017年11月1日、2日開催)では、「決済技術の進化を踏まえた JCB 特有の価値提供」と題し、ジェーシービー ブランドインフラ推進部長 渡辺 貴氏が講演した。渡辺氏は、これまでのJCBの非接触決済やモバイル戦略、将来に向けてJCBの考える戦略と、決済イノベーションの鍵となる要素、JCB特有の価値の提供について説明した。講演では、JCBが提供する2つの非接触決済ソリューション、「QUICPay」と「J/Speedy」の展開についても紹介された。
海外のiPhoneユーザーへのQUICPayサービスにも取り組む
Apple Pay登録前後で、稼働率3.7ポイント、取引件数11.1%増加
まず「QUICPay」は、FeliCa ICカード技術を用いたソリューションであり、モバイルを含めて、さまざまな形状での発行が可能だ。また「QUICPay+」としてデビットやプリペイドもサポート。国内で57万台のアクセプタンス(端末台数)を提供している。
一方、「J/Speedy」はISO/IEC 14443 TypeA/Bに対応しており、EMV非接触をベースとしたグローバル市場での展開を意図したソリューションだ。モバイルについては、カード情報をクラウド内に格納するHCE(Host Card Emulation)技術にも対応している。
2016年10月にリリースされた日本のApple PayではQUICPayが採用された。また、2017年9月22日からは、Apple PayでJ/Speedy機能の提供を開始している。これにより、国内のJCB会員は、海外でJ/Speedyによる決済が可能だ。
また、「グローバル市場でのFeliCaサービスの機器増加に伴い、海外のお客様へのQUICPayサービスにも取り組んでいきたいと考えます」と渡辺氏は意気込みを見せる。
現在、国内のApple Payのイシュア31社のうち、21社がQUICPayを採用しているが、「サービス開始以降、弊社会員ベースでのApple Pay登録前後で、稼働率が3.7ポイント、取引件数も11.1%増加という結果が出ています」と渡辺氏は成果を口にする。
JCBブランド、QUICPayブランドのトークンを同時に発行可能なJTP
海外でのJ/Speedyの発行、加盟店の開拓状況は?
なお、Apple Payでの対応をきっかけに、EMVトークンフレームワークに準拠した「JCB Token Platform(JTP)」を2016年にリリースした。同システムの構築に当たってはIDEMIA(旧OT-Morpho)の技術を採用している。同システムではJCBブランド、QUICPayブランドの2つのトークンを同時に発行するという複雑な機能を盛り込む必要があったが、短期間で高品質なシステムを構築できたとした。JCBでは今後、EMVトークンの重要性は増すと考えており、モバイルだけではなく、さまざまなユースケースに対応していく方針だ。
海外でのJ/Speedyの展開については、タイのカシコン銀行、フィリピンのBDOで対応カードが発行された。また、台湾の臺灣行動支付(TWMP)と、「HCE(Host-based Card Emulation)対応モバイル決済サービス」の取り扱いについて合意している。加盟店も順次拡大を進めている。ロシアにおけるUnited Card Serviceのスターバックス、中国での中国工商銀行のユニクロへの対応、オーストラリアで協業しているアメリカン・エキスプレス(American Express)のタクシーの一斉対応などが挙げられる。
さらに、デンマーク国内でNets Denmark A/Sが提供しているデビットカード機能付きキャッシュカード「Dankort(ダンコート)」のHCE対応モバイル決済が導入されるとともに、同国内の加盟店にてJCBの提供する非接触型IC決済「J/Speedy」の取り扱いが開始された。