2018年4月20日8:00
ビザ・ワールドワイド・ジャパン(Visa)は、2018年4月18日に記者説明会を開催し、2020年に向けたキャッシュレス化の戦略、イノベーションおよび決済の将来像について説明した。2018年は、Visa設立60周年、株式公開10周年の節目の年となる。Visaでは、2020年に向けて加速する「キャッシュレス化」を牽引するべく、新ブランディングキャンペーン「NEW NORMAL(ニューノーマル)」~支払いの進化で、明日の当たり前を作る~を開始。当日は、オリンピックに向けて努力する選手を応援するTeam Visaアスリートとなる「Team Visa」メンバーを代表して、東京2020オリンピックの新種目となるBMXの中村輪夢選手も登場し、トークやパフォーマンスを披露した。
会社設立60周年、株式上場後10年の節目の年に
新ブランディングキャンペーン「NEW NORMAL」展開
Visaは、1958年にカリフォルニアで設立。2018年は会社設立から60周年、ニューヨーク証券取引所に上場後10年の節目の年となる。Visaは、60年の歴史の中で、未来を予測し、ペイメントイノベーションを推し進めてきたが、「これからの数年は、10年以上の変化が起こり、デジタル化がキャッシュレス化の未来につながります」と、ビザ・ワールドワイド・ジャパン 代表取締役社長 安渕聖司氏は話す。
Visaでは現在、新ブランディングキャンペーン「NEW NORMAL(ニューノーマル)」~支払いの進化で、明日の当たり前を作る~を展開している。「New Normal」は、これまでの常識や既成概念に捉われず、賢く柔軟に対応して、チャレンジする人々に寄り添い、支払いの世界の明日の当たり前を作っていくという想いが込められている。
また、同日には、東京2020オリンピックに向け、五十嵐 カノア選手(サーフィン)、瀬戸 大也選手(競泳)、中村 輪夢選手(BMX)がTeam Visaアスリートの最初のメンバーとなったことを発表した。Visaでは、これまで400名以上のアスリートを支援しており、選手のオリンピックに向けての夢の実現を後押ししている。今後は、東京五輪の開催に向け、幅広い競技種目、多様なバックグラウンドから構成されるアスリートを拡大していきたいとした。
2017年のVisaデビットは前年から40%取扱高が伸長
タッチ決済を推進、モバイルやウェアラブルなども活用
Visaでは、2020年に向け、①国内のキャッシュレス化のさらなる推進、②イノベーションの推進、③加盟店にとっての利便性、安全性、将来性の高い決済の提供――を目指す方針だ。
Visaの調査によると、5,000円以下の少額決済の実に91%が現金決済であるという。これを解決できる手段として、VisaデビットやVisaの非接触決済(タッチ決済、海外ではVisa payWave)が欠かせないとした。
Visaデビットは現在、21行が発行・展開している。昨年までの取り扱いをみると、年平均70%の高比率で成長。また、2016年と2017年を比較すると、単年度で40%取扱高が伸長した。安渕氏は「銀行のキャッシュカードに標準装備して発行される金融機関が増えています」と成果を口にする。
一方、タッチ決済は、クレジット、デビット、プリペイドのすべてに搭載可能であり、国内の発行金融機関は現在12行となる(発行予定のジャパンネット銀行含む)。加盟店の対応も順次拡大しており、マクドナルド、TSUTAYA、表参道ヒルズなどで利用可能だ。イオングループでもグループ内各社合計10万台を対象に導入を予定する。さらに、昨年は旅行会社のJTBと提携する宿泊施設、土産物屋での利用が可能となった。
今後も日常利用加盟店、旅行・外食店舗での導入を強化していく方針だ。また、モバイルやウェアラブルなどホームファクターの多様化にも取り組む。日本では、GARMIN(ガーミン)からウェアラブル製品が出る予定。
トークンテクノロジの活用でデジタルペイメント強化
「Visa Everywhere Initiative」は日本での展開も見据える
デジタル化の推進では、トークンテクノロジの活用を促す。トークン化により、カード番号と紐付いたデジタル番号を発行させることが可能だ。これにより、個人や企業、インターネットにつながるデバイスに安心・安全なデジタルペイメントを提供することができる。また、Peer to Peerの個人間の送金、デビットカードを活用した送金、割り勘アプリ、企業から個人などへの支払いなど、利便性の高い決済体験を提供できるとした。
ビザ・ワールドワイド・ジャパン デジタル・ソリューション& ディプロイメント 部長 鈴木章五氏は、「トークン化により、このお店でしか使えない、1度のみ、金額の制限などをつけることができます。ネット加盟店で漏えい事件があった場合、他のお店で使えないような属性番号を付けることも可能です」とした。
テクノロジの推進に向けては、世界5 大陸、40カ国以上で展開しているグローバルなイノベーションプログラム「Visa Everywhere Initiative」の役割も大きい。これは、将来のビジネス課題の解決、商品提案の強化、Visaの巨大なパートナーネットワークへの先見的解決策の提案という3つのチャレンジをスタートアップ企業に呼びかけるもので、日本での開始も予定する。
また、「Visaデベロッパープラットフォーム」では、APIとSDK(ソフトウェアデベロッパーキット)などのVisaテクノロジへのアクセスが可能になっており、スタートアップは新たな決済サービスを生み出すことができる。
セキュリティについては、トークナイゼーションの推進に加え、本人確認のさらなる強化も重要となる。指紋や虹彩といったバイオメトリクス、音声認識、購入パターンなどから本人確認を行う方法も研究している。また、本人認証技術「3-Dセキュア」の次期バージョンである2.0の推進も他ブランドと協力して行っている。
Visaでは、近い将来、ヒトに加え、あらゆるデバイスがインターネットに接続するIoT(Internet of Things:モノのインターネット)の世界が訪れ、決済のあり方が変わる可能性があるため、イノベーションの進化を続け、明日の当たり前を作っていきたいとした。