2018年6月15日8:23
デジタルセキュリティベンダーのIDEMIA(アイデミア)は、生体認証決済カード「F-Code(エフコード)」、セキュリティコードが可変するワンタイム・パスワードカード「OT MOTION CODE(オーティー・モーション・コード)」、銀行が複数のサービスを切り替えて使用できる「BRINK CARD(ブリンク・カード)」など、セキュリティや利便性に配慮した次世代のカードの展開を進めている。また、決済端末のカメラを利用した顔認証も開発している。
「F-Code」はバッテリー搭載で決済をスピーディに
Mastercardともプロジェクトが進む
IDEMIAとJCBは、2018年の「第15回JCB世界大会」(2017年11月1日、2日開催)において、生体認証決済カード「F-Code」を日本国内のユーザー向けに提供していくと発表している。2018年4月18日には、JCBが指紋認証機能搭載の「JCB Biometrics Card」を発行し、JCBブランドの非接触IC決済サービスである「JCB Contactless(コンタクトレス)」での活用について実証実験を行うと発表された。
「F-Code」は、指紋をPIN(暗証番号)として使用するカードであり、独自の認証により本人確認を行うことができる。これまで、市場で展開されたバイオメトリクスカードのほとんどはバッテリーレスであり、接触時に給電して、指紋認証に用いるケースが多かった。「F-Code」は、バッテリーが搭載されているのが特徴で、接触に加え、非接触決済への対応が可能だ。IDEMIA ヘッド・オブ・ストラテジック マーケティング Nicolas Raffin(ニコラス・ラフィン)氏は、「バッテリーレスのカードは決済時に時間が必要となりますが、反応が早いのが特徴です」と強みを口にする。また、指紋認証を利用して、PINレスで高額な取引で非接触決済が利用可能だ。すでにJCBブランドに加え、Mastercardともプロジェクトが進んでいるという。2018年は全世界で10のパイロットが進むそうだ。
「OT MOTION CODE」は世界で50万人のユーザーを有する
全世界で20のプロジェクトが動く
ワンタイム・パスワードカード「OT MOTION CODE」は、カードの裏面に表示された3桁の静的なセキュリティコードを、ミニスクリーンに表示された動的な番号に置き換えて使用できる。動的な番号を1時間ごとに表示できるため、仮にカードデータが盗みとられても3桁の暗証数字はすぐに無効となり不正を防止可能だ。
Raffin氏は、「すでに全世界で50万人のユーザーがいます」と説明する。フランスのソシエテ ジェネラル(Société Générale)では、2017年10月19日にMOTION CODEによるオンライン取引が100万件を突破したと発表したように、浸透している。また、中東・アフリカ(MEA)の決済ソリューションプロバイダーであるネットワーク・インターナショナル(Network International)と提携しており、米国、中国、南アフリカなど、全世界で20のプロジェクトが動いているそうだ。
「BLINK CARD」は5つのサービスを切り替えて使用可能
Ingenicoの決済端末で顔認証を実現
接触および非接触決済に対応した「BLINK CARD」は、1枚のカードでデビット、クレジット、プリペイド、ロイヤリティカードなど、5つのサービスを切り替えて使用できる。消費者は、カードのボタンをタップして、使いたい手段を選択可能だ。Raffin氏は、「アジアでクライアントと準備を進めています」と話す。
カード形状以外の認証強化策としては、決済端末ベンダーのIngenico(インジェニコ)と提携し、同社の決済端末「Lane / 5000」に搭載されたカメラによる顔認識システムを開発している。同端末以外でも指紋認証装置などをつなげることで、認証が可能になるそうだ。
※取材は2018年4月15日、16日にUAE ドバイで開催された「Seamless Middle East2018」のIDEMIAブースにて