2017年5月19日9:07
仏のオベルチュール・テクノロジーズ(Oberthur TECHNOLOGIES:OT)は、ワンタイム・パスワードカード「OT MOTION CODE(オーティー・モーション・コード)」、リアル店舗での支払いの際にPINで認証するバイオメトリクスカード「F-CODE(エフコード)」、5つのサービスを切り替えて使用できる「BLINK CARD(ブリンク・カード)」といった次世代のカードを開発している。これらのカードの展開について、中東・ドバイで開催された「Seamless Middle East2017」で担当者に話を聞いた。
グローバルに採用が進む「OT MOTION CODE」
欧州、米国、南米、中東などで展開
ワンタイム・パスワードカード「OT MOTION CODE」は、カードの裏面に表示された3桁の静的なセキュリティコードを、ミニスクリーンに表示された動的な番号に置き換えて使用できる。セキュリティコードは1時間ごとに変更。これにより、非対面決済での不正を防ぐことが可能だ。
2014年に発表された同カードは、フランスのBNP PARIBAS(BNPパリバ)、ソシエテ ジェネラル(Société Générale)などが採用。オベルチュール・テクノロジーズ M-BU Financial Servicce Institutions ヘッド・オブ・ストラテジック マーケティング Nicolas Raffin(ニコラス・ラフィン)氏は、「フランスではローンチ後、3カ月で5万のカードを作りました」と成果を口にする。
また、欧州に加え、米国、南米、中東、東アジアなどでも展開。日本でも凸版印刷と提携して推進している。中東では、金融ソリューション事業者のNetwork International(ネットワーク・インターナショナル)と提携し、VisaやMastecardブランドでのサービスがローンチされている。
カード券面に指紋センサーを搭載した「F-CODE」
PINの入力なく、本人確認が可能
バイオメトリクスカード「F-CODE」は、カード券面に指紋センサーを搭載。同カードは、EMVの接触/非接触に対応しており、ISO規格準拠の標準的なペイメントカードとして使用が可能だ。
具体的には、ノルウェーのZwipe AS(ズワイプ社)の技術などと同様に、消費者が対面の加盟店で支払う際のPIN入力を置き換えるように設計されている。また、PIN(暗証番号)の入力なく、本人確認が可能だ。
5つのサービスを切り替えて使用できる「BLINK CARD」
Wallet Cardと異なる商品性を持つ理由とは?
そして、EMV接触/非接触に対応した「BLINK CARD」は、デビット、クレジット、プリペイド、ロイヤリティカードなど、5つのサービスを切り替えて使用可能だ。消費者は、カードのボタンをタップして、使いたいカードを設定できる。現在選択されている支払い種別がわかるよう、使用の際は、LEDライトの1つが点灯する。
現在、世界では、スマートフォンからBLE(Bluetooth Low Energy)経由で同期することで、クレジットカードやロイヤリティカードといった、複数の磁気ストライプカードを1枚に集約するワレットカード(Wallet Card)が登場しているが、「BLINK CARD」はそれらのカードとは発想が異なるという。
ラフィン氏は、「Wallet Cardとは違い、銀行のカードの一種となります。同一の銀行でもクレジットカード、デビットカードなど複数のプロダクトを発行していますが、各商品を切り替えて使用できます」と説明する。
ロイヤリティカードについては、提携したプログラムがカードに追加される。なお、コンタクトレスペイメントでの支払いの際もカードの選択が求められるそうだ。
現在、「BLINK CARD」の出荷に向けて準備を進めているが、「数百万枚単位で出荷していきたい」とラフィン氏は意気込みを見せる。ロットにもよるが、想定価格は8~9ユーロとなるそうだ。
※取材は2017年5月1日、2日にUAE ドバイで開催された「Seamless Middle East2017」のOTブースにて。