2019年9月5日8:00
ジェイアール東日本フードビジネスとShowcase Gig(ショーケース・ギグ)は、JR東日本スタートアップと協力し、セルフ型の次世代注文決済端末「O:der Kiosk」(オーダーキオスク)を2019年9月4日から、JR東グループのハンバーガーショップ、R・ベッカーズ池袋東口店(東京都豊島区南池袋)に初めて導入した。(ライター 小島清利)
「未来型店舗」 スタッフは手作り、接客など「本業」に集中
同店舗は、これまでに、スマートフォンなどを使って事前注文・決済ができるモバイルオーダーサービス「O:der」を取り入れており、今回の新型端末導入により、遠隔での事前注文と店舗内でのセルフ注文の2つに対応した「未来型店舗」を目指す。
ジェイアール東日本フードビジネス代表取締役社長の山際貞史氏は「ベッカーズは手作りの味にこだわり、ハンバーガーに使用するバンズを毎日、店で焼いています。未来型店舗への取り組みはまだ始まったばかりですが、注文や決済が便利になることで、スタッフはハンバーガづくりや接客に注力でき、サービス力がさらに向上します」と話す。
新型の次世代注文決済端末「O:der Kiosk」は、JR東日本グループと、ショーケース・ギグが共同開発した。クレジットカードや交通系電子マネーによる決済に対応している。端末の大きさは縦96.2センチ、横47センチ(スクリーン縦59.8センチ、横33.5センチ)で、対象商品は、フードやドリンクなど昼メニュー約60種類。今秋から、朝・夜メニューを追加するほか、日本語だけでなく英語にも対応する予定。
端末使いクレジットカードや交通系電子マネーで決済
来店客は、店内の入り口付近に設置されているセルフ注文決済の新端末を操作し、欲しい商品を選択し、注文を確定する。その後、クレジットや電子マネーで決済を済ませると、カウンターまで進み、スタッフから商品を手渡される。
さらに、モバイルオーダーサービス「O:der」を活用すれば、待ち時間なく商品を受け取れることも可能になる。具体的には、スマートフォンなどを使い、店外で先に注文と決済を済ませると、厨房の端末に注文内容が表示される。調理が完了すると、注文客のスマホへ通知が届く仕組みだ。
店舗としては、新型端末の導入で、注文受付や会計業務を軽減できる。店舗オペレーションの効率化、省人化を図れるため、外食業界で大きな課題となってい人手不足の解決にも効果が期待できるという。R・ベッカーズ池袋東口店で新端末の導入により、1人分のレジ人員の削減を見込んでいる。
多言語化など使い勝手の向上図り、多店舗にも展開へ
ベッカーズは同社グループの中核フードビジネス。今後、新端末の多言語化など使い勝手の向上を計画しており、他の店舗にも新端末を展開していく方針だ。ベンチャー企業の技術とJR東日本の持つ資産を掛け合わせ、さらなる駅ナカの利便性の向上を進める。
「デジタルキオスク」端末は近年、ファストフード店やショッピングモールのフードコートなどを中心に店舗の省人化対策として世界的に導入が増えている。また、フードチェーンやカフェチェーンなどでは、スマートフォンを使って注文・決済できる「モバイルオーダー」も広がっている。
ショーケース・ギグ代表取締役の新田剛史氏は「世界的には、多くの企業はモバイルオーダーとデジタルキオスクを並行して導入しています。新規の来店客やスマホユーザーでない来店客にも、便利さを味わってもらうことで新しいファンが広がることが期待できるからです」と話す。
モバイルオーダーと併設で新客開拓の相乗効果
ショーケース・ギグは、JR東日本スタートアッププログラム2018における「アクセラレーションコース」の採択企業。18年10月には、本格的な事業推進に対応するため、JR東日本スタートアップと資本業務提携を締結した。
共同サービスの第一弾として、ショーケース・ギグが提供するモバイルオーダー&ペイプラットフォーム「O:der」を使った事前注文・決済サービスを首都圏の駅ナカ店舗に導入した。
R・ベッカーズ池袋東口店は、モバイルオーダーとデジタルキオスクを両方使える未来型店舗の第一号となった。今後、ショーケース・ギグは店舗効率化の効果を検証し、未来型店舗のサポートを加速していく方針だ。