2020年3月4日8:00
セイコーホールディングス株式会社の全額出資事業会社で、システムソリューション事業を展開するセイコーソリューションズ株式会社は、キャッシュレス決済サービス「CREPiCOブランド」の決済端末の普及に力を入れている。決済端末「AT-2300」とマルチ決済端末の「AT-7400」の2機種について、タクシー市場を軸に一段のシェアの拡大に取り組む方針だ。
タクシーメーター非連動の「AT-2300」
コンタクトレスやクレジット、QRコード決済に対応
セイコーソリューションズ株式会社 データサービス本部CREPiCO統括部長の伊藤浩二氏は「タクシーメーター非連動のAT-2300と、タクシーメーターと連動するAT-7400の双方を提供し、タクシー業界のキャッシュレス決済の推進を力強くサポートしていきます」と意欲を示す。
AT-2300は、大画面タッチパネル液晶・カメラを搭載。操作部、通信モジュール、プリンターが一体となり、これ1台でキャッシュレス決済が完結する。運賃は手入力でタクシー車両間の移動が可能だ。最新のセキュリティ規格である「PCI PTS 5x」をはじめ、その他の各種規格やガイドラインに対応している。
クレジット(磁気、接触IC、コンタクトレス)、J-Debit(磁気)、銀聯(磁気、接触IC、コンタクトレス)、電子マネー、QRコード決済など多彩な決済手段に対応しているのが特徴。口座振替、クレジット継続払いなど毎月の支払登録もその場で完了できる。高速LTE通信モジュール、プリンター一体型なので、場所を選ばず使用することが可能だ。
伊藤氏は「タクシー市場では、ドライバーにとっての使い勝手の良さが大事になります」と話す。QRコード決済では、ドライバーの操作負担を軽減するため、利用者が、QRコードを表示するCPM(Consumer Presented Mode)を採用している。
メーター連動の「AT-7400」
みんなのタクシーの1万台で導入
AT-7400は、メーターや車載プリンターと連動するため、自動日報やETCとの連携も可能。運賃はメーターとの連動により、自動表示される。タクシー車両に固定設置する。
ICクレジットカード決済に対応(改正割賦販売法対応)しているほか、J-Debit(磁気)、銀聯(磁気,接触IC,コンタクトレス)、電子マネーなど多種の決済種別に対応予定。乗務員タブレットシステム(他社製)にも接続可能で、各種QRコード決済とも連携する。
配車サービスを提供するみんなのタクシー株式会社とも連携し、「CREPiCOブランド」の決済端末の導入が始まっている。同社は、2018年5月に準備会社として設立され、株式会社グリーンキャブ、国際自動車株式会社、寿交通株式会社、大和自動車交通株式会社、株式会社チェッカーキャブのタクシー会社5社と、ソニー株式会社、ソニーペイメントサービス株式会社の7社との合意に基づき、事業会社へ移行している。タクシー会社5社が保有しているタクシー車両は都内最大規模の1万台を超えるという。
外食、訪問販売、催事などでも展開
口座振替機能のニーズも多い
セイコーソリューションズは、タクシー市場以外にも、モバイル端末AT-2300の一段のシェア拡大に取り組む方針だ。
外食業界向けには、個室接待の高級店などを軸に拡大を図る。また、プリンター一体型であるため場所を選ばずに使用することができるメリットを生かし、ケーブルテレビや保険のための顧客訪問、催事や移動販売での支払い、顧客を訪問した自動車ディーラーが修理代金等の徴収をする場合などに最適だ。
さらに、口座振替、クレジット継続払いなど毎月の支払いのためのキャッシュカードやクレジットカードの登録も一度で完了するため、スポーツクラブや学習塾の契約、ガスや電気などの公共料金などにも便利になる。
伊藤氏は「口座振替受付機能は『古い』『今さら』といった意見もありましたが、日本のキャッシュレス決済の古くからある手法で、金額の単価が高い契約に関しては、手数料を考慮して、クレジットよりも口座振替を好むお客様はまだ多いはずです」と話す。
モバイル決済端末としては、インバウンドを見据えると、QRコード決済に対応していることは極めて重要になる。高級宝飾店でショッピングを楽しむ中国からの買い物客も、数万円単位の買い物はQRコード決済で支払うケースが多いという。
ハードル高いシンクライアント型
交通系電子マネーで安定した運用
また、伊藤氏は「モバイル決済端末AT-2300とタクシー用決済システムAT-7400について、交通系電子マネーの一般使用が可能となったことは、普及に向けたはずみになりました。業界では、シンクライアント型交通系電子マネーの使用はハードルが高いと言われています。振動、温度、ドライバーの操作性などを評価するための3,000回を超える実車でのフィールドテストにパスし、運用系も含めてお墨付きをいただきました。厳しい条件を一発クリアしたことは、業界でもサプライズとして受け止められています」と成果を述べる。
利用者のニーズが高い交通系電子マネーが使えることになり、タクシーにおけるキャッシュレス決済の利便性が一段と高くなった。
さらに、セイコーソリューションズは、CREPiCO決済情報処理センターの他社製の端末との連携の拡大も目指していく。セイコーソリューションズ株式会社データサービス本部リテールシステム統括部長理事の渡邊圭一氏は「CREPiCO決済情報処理センター側の機能を拡充していきます。具体的には、ポイントとの連携や次世代のフューチャーなども搭載するなど、さらに魅力を高めていきます」と意欲を示す。
20年以上にわたる安定した実績
内回りの「PCI P2PE」も外食等に提供
CREPiCO決済情報処理センターは、1999年以降およそ20年にわたり無線決済システムで実績のあるセイコーソリューションズが運用している決済情報処理センターだ。
2018年6月、クレジットカードにおいて「PCI P2PEソリューションプロバイダー認定」を取得しており、より安心、便利な決済環境を実現し、加盟店の決済端末からCREPiCO決済情報処理センターまでカード情報の暗号化を実施し、カード情報の漏洩リスクを低減する仕組みを提供している。各種電子マネー決済にも対応している。
CREPiCO決済情報処理センターの特徴は、その柔軟性の高さにある。
「大手の情報処理センターに比べて、規模が小さいですが、その分、小回りが効き、端末を展開する企業様のニーズを的確にとらえることが可能です。お客様の必要とする機能に特化し、手ごろなコストで、特定の分野のサービス向上を追求することが可能で、緩やかな連携も歓迎します」(渡邊氏)
また、稼動率99.999%の精度を確保できる「ファイブ・ナイン」のシステムに対応する。渡邊氏は「ファイブ・ナインで稼動させるには1年で約5分程の故障しか許されません。自社ではもちろんファイブ・ナインですが、万一利用しているネットワークサービスに障害が起こった場合、当社へのサービスへの影響はゼロではありません。そのような場合に備え、複数のクレジット決済ネットワークを採用しており、万が一の対策も万全です」と話している。
他社との連携はすでに進んでいる。例えば、外食チェーンの株式会社野家では、多種多様な電子マネー決済サービスを導入するべく、2018年8月からCREPiCO決済情報処理センターを利用している。
今後は、ファストフードチェーンや運送会社など幅広い業界をターゲットに、受け入れを拡大していく方針だ。
「自動精算機」の分野もサポート
無限に専用分野が広がるマーケット
セイコーソリューションズが注目する新たなマーケットは「自動精算機」の分野だ。
ビジネスホテルの自動精算機やイベント施設の券売機、宅配ロッカーなど、人手不足や深夜営業への対応などの労務環境の変化を背景に、自動機の市場は今後もさまざまな分野に拡大していくことが予想されている。
渡邊氏は「インターネットの普及で、ECでの決済が広がっていますが、それでも、リアルの場で決済するシチュエーションはなくなりません。むしろ、自動機を使った精算は今後、無限に適用分野を広げていくと予想しています」と話す。
セイコーソリューションズは「CREPiCOブランド」のモバイル決済端末を使った自動精算の活用法を展示会などでアピールしている。すでに、2月18日から21日、千葉・幕張メッセで開かれたホテル・旅館・観光・各種施設の国際ホテル・レストラン・ショー(HOTERES JAPAN)では多くの来場者の関心を集めた。
渡邊氏は「支払いの際にカードを手渡しせず、利用者自身が端末を操作して決済する場面はこれからどんどん増えていくと思います。モバイル端末AT-2300はそのような利用シーンで非常に有効です。また、当社の飲食店向けオーダリングサービスであるLinkto(リンクト)との連携も検討課題になります。支払い額が比較的高額でキャッシュカードによる口座引き落としのニーズが高い病院など医療機関へのキャッシュレス普及にも取り組みたいと思います」と話している。
クレジットカード、電子マネーに加え、QRコード決済や口座振替にも対応したマルチ決済サービスを提供するセイコーソリューションズの安心・安全、かつ安定したサービスは、今後もさまざまな事業者の支払いを強力にサポートすることは間違いない。
■お問い合わせ先
セイコーソリューションズ株式会社
CREPiCO統括部
TEL:043-211-1004
E-mail:support@seiko-sol.co.jp
URL:https://www.seiko-sol.co.jp/