2020年3月12日18:45
ビル&メリンダ・ゲイツ財団、 Wellcome(ウェルカム)、 Mastercardは、2020年3月10日、 治療法の特定・評価・開発・拡大により新型コロナウイルス感染症の流行への対応を迅速化するため、 新型コロナウイルス対策として最大1億2,500万ドルの資金提供を発表した。連携先機関などでは、開発人材の少ない環境下でも入手可能かつ手頃な価格での商品提供を含め、公平な治療薬提供を約束するという。「COVID-19 Therapeutics Accelerator(新型コロナウイルス感染症療法論アクセラレーター)」は、短期的には新型コロナウイルス治療、そして将来的には、その他ウイルス病原体に対する新薬およびすでに承認された候補薬および生物学的製剤の評価および導入の促進を目的としている。 現在、新興病原体との戦いに利用できる広域スペクトル抗ウイルス薬や免疫療法はなく、新型コロナウイルス感染症への使用が認められているものはないという。
ゲイツ財団とWellcomeはそれぞれ最大5,000万ドルの資金を提供し、Mastercard Impact Fundは同アクセラレーターの初期活動を促進するために最大2,500万ドルの資金提供を行う。ゲイツ財団の資金は、先月同財団が発表した新型コロナウイルスによる肺炎対策に拠出する1億ドルの一部となる。
アクセラレーターは、 世界保健機関(WHO)、 政府および民間セクターの資金提供者および組織、さらに国際的な規制および政策策定機関と連携する。アクセラレーターは、医薬品パイプラインの開発から製造・スケールアップまで、エンドツーエンドの焦点を持っている。 研究を共有、投資を調整、資源を共有することによって、これらの取り組みは研究を加速するのに役立つ。このような連携は、2014年のエボラ出血熱の流行から得られた重要な教訓によるものだ。開発プロセスの重要な段階で迅速かつ柔軟な資金提供を行うことにより、 アクセラレーターは新型コロナウイルスおよび将来感染拡大するかもしれない病原体による脅威に対する新薬および生物製剤のリスクを軽減し、低資源国における提供を確保するとしている。
アクセラレーターは、資金提供者の主導により、組織内外の専門知識を活用して共同で運営される。アクセラレーターは、候補製品から臨床評価・使用・製造までのプロセスを合理化するために、 開発サイクルのいくつかの側面を追求する。 候補化合物を特定するために、 加速器は3つのアプローチ、①承認された薬剤の新型コロナウイルスに対する活性の試験、 ②確認された安全性データを持つ何千もの化合物のライブラリーのスクリーニング、 ③新しい研究化合物とモノクローナル抗体の検討を行う。最初のスクリーニングに合格した薬物またはモノクローナル抗体は、その後連携先機関によって開発される。バイオテクノロジー産業と製薬産業は重要なパートナーであり、それぞれの化合物ライブラリーと臨床データを共同研究に持ち込み、 商業化や、成功する薬剤やモノクローナル抗体のスケールアップに必要なそのほかの専門知識を貸し出す。新型コロナウイルスパイプラインの開発と並行して、加速器は規制当局と協力して基準を調整し、製造能力を産業界に合わせて開発する。有効な治療法を患者にもたらすまでの期間は、現在承認されている製品や既存の臨床データを有する候補製品では約1年となる。既存の臨床データが限られているパイプラインのさらに上流の化合物については、期間が長くなるそうだ。
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ペイメントナビ編集部
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