2020年4月6日7:00
矢野経済研究所は、国内のEC決済サービス市場を調査し、現況、参入企業の動向、および将来展望を明らかにした。同社では、2018年度のEC決済サービス市場(主にECサイト等で発生する決済業務の代行サービス提供事業者の取扱高ベース)を前年度比116.8%の14兆1,617億円と推計した。また、2023年度のEC決済サービス市場規模(主にECサイトで発生する決済業務の代行サービス提供事業者の取扱高ベース)は、約28兆円まで拡大すると予測している。
経済産業省のデータによると、国内のEC市場規模(BtoC)は引き続き年々拡大している。EC市場拡大を背景に、EC決済サービス市場も拡大を続けている。さらに、ECサイト向け決済サービス提供事業者が新たにさまざまな決済手段を提供することにより、消費者のEC利用機会も増えてEC市場の拡大にも寄与するなど、双方の市場がともに拡大を続ける状況となっているそうだ。
決済代行業者やペイメントサービスプロバイダー(PSP)等のECサイト向けに決済サービスを提供する事業者は、これまでEC加盟店向けの決済サービスを主に展開してきたが、競争の激化により、それらのサービスで収益をあげるには厳しい状況にあるとした。一方、QRコード決済(オンライン取引)をはじめとする新しい決済手段が登場しており、決済代行業者を中心にオンライン取引向けにQRコード決済(オンライン取引)サービスを拡充する動きが出ている。これは、多様化する決済手段に対応することで、より広い層の消費者を取り込もうとする加盟店に対して、利用促進を図る意味合いがあるとしている。
また、ECサイト向け決済サービス提供事業者は、企業間取引やBtoB向けのECサイトなどの決済領域へ注力しており、顧客企業に対しては単なる決済の取り扱いに加え、業務削減や資金繰り支援など、利便性を向上させることにより取扱高の拡大につなげようとしているそうだ。
EC決済サービス市場は、今後も堅調に拡大していくと予測する。EC市場の拡大・EC化の促進に加え、BtoB領域でのサービス拡大、セルフレジや自動販売機などの無人機を含めたリアル店舗向けサービスの展開等が成長要因になると考えられるとした。特に、デジタルコンテンツを始めとするサービス分野は物販分野よりもEC化の余地が大きく、今後の市場拡大の鍵になるととしている。さらに、これまで現金決済が主流であった生活関連分野(公共料金や家賃、教育、冠婚葬祭等の費用)において、決済サービスの利用率が引き続き上昇する見通しだという。