2020年7月9日10:00
ソニー銀行が発行する「Sony Bank WALLET」は、世界200以上の国と地域で買い物ができる11通貨対応のVisaデビット付きキャッシュカードだ。2016年1月の発行開始後は、アプリ機能の提供、髙島屋やANAとの提携カードの発行、セキュリティ対策の強化など、サービスをブラッシュアップさせてきた。今回は、ソニー銀行にサービスの現状と取り組みの成果について、説明してもらった。
ショッピング利用額の約20%が海外利用
――まずは、Sony Bank WALLET 発行から現在までの成果、カード発行枚数からご説明ください。
ソニー銀行:発行から現在までの主な成果は以下の通りです。また、2020年3月末時点で66万件を発行しております。
Sony Bank WALLET の歩み
2016年 |
1月 |
Sony Bank WALLET の取り扱い開始 |
4月 |
「Sony Bank WALLET アプリ」の提供開始 |
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2017年 |
3月 |
Sony Bank WALLET /“PlayStation”デザインの発行開始 |
10月 |
タカシマヤプラチナデビットカードの発行開始 |
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2019年 |
7月 |
カード不正監視システムによる利用制限をカード会員自身で解除できる機能を「Sony Bank WALLET アプリ」に世界初採用 |
9月 |
Sony Bank WALLET へ「Visa のタッチ決済」機能を搭載 ANAマイレージクラブ / Sony Bank WALLET の発行開始 |
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11月 |
Sony Bank WALLET の Google Pay への 対応を開始 |
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2020年 |
4月 |
Sony Bank WALLET の Garmin Pay への対応を開始 |
7月 |
Sony Bank WALLET の Fitbit Pay への対応を開始 |
――特に利用の多い加盟店についてお聞かせください。
ソニー銀行:ネット取引ではAmazonやヤフー(Yahoo!JAPAN)の取引が多くあります。Sony Bank WALLET の特徴としては、当カード限定のキャッシュバックや値引き効果もあって、ソニーストアやPlayStation Storeなどのソニーグループ店舗での取引もトップクラスにランクインしています。対面取引では、コンビニエンスストアや鉄道など、生活に密着した身近な取引で利用していただいております。また、プラチナデビットで提携している髙島屋での利用が多いのもSony Bank WALLET の特徴です。
――11通貨が1枚で使えるメリットがございますが、海外での利用状況についてはいかがでしょうか? また、11通貨ではどの通貨の利用が多いのでしょうか?
ソニー銀行:足もとは新型コロナウイルス感染症の影響から海外利用は減少していますが、これまでに120カ国以上で利用されており、ショッピング利用額の約20%が海外利用となっています。日本円を除くと米ドルが一番多く、外貨決済の5割超を占めています。続いてユーロが約2割、ポンドが1割超、オセアニア通貨(AUDとNZDの合計)が1割弱といった状況です。
「Sony Bank WALLET アプリ」は高い利用率を誇る
――利用者の年代など属性データについてご説明ください。
ソニー銀行:概ね銀行口座の保有者数に連動して均等に分布しています(30~50代のビジネスパーソンが中心)。なお、PlayStationデザインは若年層からミドル層の男性による保有・利用が多く、タカシマヤプラチナデビットカードはミドル層以上で比較的女性の保有・利用が多くなっています。
――「Sony Bank WALLET アプリ」のダウンロード数はいかがでしょうか?
ソニー銀行:リリースからの累計利用者数は2020年3月末時点で36万人を超えており、月間アクティブユーザー数(MAU)は15万人程度となっています。月間のアプリログイン回数は8~9回とWebサイトと比較しても高い数字を維持しています。
――通常のカードはキャッシュバック、たとえばANAのカードはマイルが貯まりますが、利用者の反響の違いはございますか。
ソニー銀行:特にマイル愛好家の方にご好評いただいています。その中でも、ANA提携カード保有者限定のマイル付き外貨定期預金は、弊社計画の約5倍もの金額のお申し込みをいただいています。
――非接触決済の「Visaのタッチ決済」に対応されていますが、利用状況はいかがでしょうか?
ソニー銀行:昨年9月の発行開始時点では、EMVコンタクトレスの利用は非常に少なかったものの、昨今コンビニエンスストア等での利用が可能となってきたことから、Google Pay やGarmin Pay などのモバイル決済含めて徐々に利用者が増加している傾向にあります。
不正監視機能と利用者のカード利用を制限する機能で安全性強化
――ソニー銀行様では、2019年7月10日より、ビザ・ワールドワイド(Visa)の不正検知システム「Visa Risk Manager」と、TIS の決済ソリューション「CARD × DRIVE」の連携によって「Sony Bank WALLET アプリ」に、簡易な操作でカード会員自身が本人であることを申告することによって、Visa デビットの利用制限を解除できる機能を追加されました。これによる不正抑止の効果についてお聞かせください。
ソニー銀行:特に非対面取引での不正利用の試行は現在も増加傾向にあり、Visa Risk Managerによる不正監視機能は、Visaデビットカードのイシュアとしてなくてはならないものとなっています。
――カード会員に拒否理由をプッシュ通知する機能、カード会員自身が設定したルールに基づき、カード利用を制限する機能はどの程度利用されておりますでしょうか? また、導入後は不正の抑止効果はどの程度高まっておりますでしょうか?
ソニー銀行:取引制限の発生頻度については非公開とさせていただきますが、実際に取引制限が発生した場合、人数にして約3割のお客さまがこの機能を活用して、速やかにお取引を継続できるようになっています。これは同時に、取引制限解除のためのコールセンターへの問い合わせ削減にも効果を生んでいます。
――デビットカード発行後の収益面の成果について、可能であればご回答いただければ幸いです。
ソニー銀行:弊社のデビットカードはこれによって収益を得ることもさることながら、銀行口座開設の促進や外貨の利用促進等に重きを置いています。デビットカードリリース当初の計画に比べますと、発行枚数において1.3倍、利用金額において1.8倍となっており、相応の成果を達成できていると考えております。
商品性を高めることで愛されるSony Bank WALLET を目指す
――現状のブランドデビットカードのサービス、認知度等の課題についての見解についてご説明ください。
ソニー銀行:2016年に弊社がSony Bank WALLET の発行を開始した時点に比べますと、認知度は非常に高くなったと感じています。ただ、実際に使用されるシーンにおいて、デビットカード独特の決済の特性により、特にご入会直後のお客さまからお問い合わせをいただくケースが多くあります。引き続きデビットカードの特性やメリットについて、よりわかり易くお客さまにお伝えしなければならないと考えています。
――最後に、今後の目標についてお聞かせください。
ソニー銀行:弊社アプリやIoT(Internet of Things:モノのインターネット)デバイスの活用といった決済の利便性をこれからも向上させていくと共に、デビットカード利用のメリットを高められるように商品性の見直し(本年4月にはタカシマヤプラチナデビットカードの商品性を改良)を今後とも進めることで、これからもお客様に愛されるSony Bank WALLET を目指して参る所存です。