2011年1月13日8:40
Visaの全世界での取引を分析し不正利用を検知するVAA(2)
イシュアの不正損失のさらなる削減
収益機会損失の削減に貢献
国内の主要なイシュアの多くは自社で不正検知システムを導入しているが、それぞれ個別にシステムを運用しているため、パフォーマンスにバラつきがあったという。VAAの採用により、自社のモニタリングでは防ぎきれなかった不正取引を検知し、不正損失の削減を図ることができるとVisaではアピールを行っている。
また、イシュアのモニタリングシステムでNGにしている正常な取引があった場合、収益機会の損失や会員からのクレームにつながるケースも想定されるが、VAAで正常な取引を見分けることにより、収益の拡大に貢献する。
海外取引での不正損失の削減に貢献
全世界で15億ドル相当の不正の発見が可能に
特にメリットがあるのが海外取引だ。国内の個々のイシュアの取引で国際取引が行われるケースは限定的なため、「どこの国でどのような不正が行われているか」、「どの業種の加盟店が狙われているか」、「どの程度の金額の決済が危ないか」など、不正検知の精度を高める上では限界があったという。VAAはVisaの全世界の取引データを活用しているため、海外での不正の傾向を把握できる。すでに国内でVAAを採用したイシュアもあり、システムへの評価も高まっているそうだ。
「すでに国内の大手のイシュアは、自社の不正検知システムを使いながら、VAAのスコアを取り込み、オペレーションの一元管理を行っています」(井原氏)
米国のNilson Reportによると、2009年の全世界の不正取引の総額は68.9億ドル。VisaではVAAによる不正取引を検知するスピードの向上により、15億ドル相当の不正取引の発見が可能になると見込んでいる。日本クレジット協会発表のデータをみると、国内のイシュアが発行するカードの不正被害は2000年の308.7億円から2009年の101.6億円へと減少傾向にある。VAAを国内のイシュアが採用することで、不正利用被害のさらなる減少につながるか注目されるところだ。