2021年10月7日8:00
加盟店にICカード端末を設置する際には通常カード会社による所定のテスト、通称ブランドテスト(又はL3テスト)を実施する必要がある。このブランドテストはブランドが定めていたためテスト方式や提出方法もまちまちであった。EMVCoでは”Level 3 Testing Group(L3TG)”を組織し、一貫性のあるテスト方式(L3 Framework)の策定に取り組んでいる。本稿ではその概要と、日本国内への影響について解説する。
記事のポイント!
①ブランドテストの手順
②他社テストツールと入力項目が共通化
③テストツールから閲覧できるように
④テスト結果はTSEZファイルを検証機関に提出
⑤国内への影響は?
⑥L3 TSEファイルの可読性が有りうる
⑦ブランドによっても移行時期に差が
•何が便利になるのか?
現在のブランドテストはブランドにより異なるが、概ね以下の手順で行われる。
1.ブランド(またはアクワイアラ)への申し込み
2.テストケースの決定
3.テスト実施&結果提出
4.テスト完了、認定レターの発行
この中で2と3については、内容についてはブランドに依り異なるものの、その体裁もブランド毎に決められているのが現状であった。またテストケースについての詳細はブランドが提供する仕様書に集約されており、複数ブランドに対応するためには異なる記載方式を読みこなす努力が必要であった。
L3TGが提唱するL3 Frameworkではいくつかの要素が定義されているが、2.に相当するテストケースとその内容、テストケースを決める端末の機能については、L3 TSE(Test Selection Engine)という形式にまとめられることになった。L3 TSEファイル自身はそのままでは読むことが難しいが、適切なテストツールを介すれば容易で、テスト条件の合否も明確に表現されているため、ブランドテストの範疇ではテスト実施者が目視で確認する必要はない(FIMEは独自の知見によりテスト結果を確認しアドバイスすることがある)。
以下の図は一足早く対応を表明したDiscoverブランドにおけるTSEファイルの一部である。FIMEのブランドテストツールであるSAVVI Test Platformは3.30からL3 TSEをサポートしているが、従来はFIME独自の画面にて入力を行っていた。 L3 TSEでの入力になったことにより、他社テストツールと入力項目が共通化され、テストケースの決定が容易になっている。
また、テストケースも以下のようにテストツールから閲覧できるようになった。これらの情報はブランドがEMVCoに情報を提供し、EMVCoがL3 TSEとして表示可能か検証するため、テストバージョンが変わらなければ原則として内容が変わることは無い。
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