2022年1月18日8:00
東京きらぼしフィナンシャルグループのデジタルバンク、UI銀行が1月17日に開業を迎えた。オープニングセレモニーでは、同グループ代表取締役社長の渡邊壽信氏とUI銀行 代表取締役社長の田中俊和氏が、UI銀行設立の背景やビジネスコンセプト、事業計画について説明。非対面営業の強化と非金融サービスとの連携を核に低収益・高コスト体質からの脱却を図る決意を表明した。営業コストカットにより確保される収益は、預金金利や為替取引手数料の優遇というかたちで顧客に還元したいとしている。
将来はBaaSなど法人向けサービスも視野に
店頭で対面によるサポートも提供
1月17日、東京きらぼしフィナンシャルグループのデジタルバンク、UI銀行が誕生した。まず普通預金、定期預金を中心とした預金と為替から業務をスタート。来年度には外貨預金の取り扱いを開始予定。貸出についても逐次、カードローンを含む当座貸越型ローン、教育や自動車購入といった目的別無担保ローンを提供。最終的には有担保の住宅ローンもラインナップした個人向けフルバンクを目指す。さらに将来的にはBaaS(Banking as a Service)などの法人向けサービスの提供も視野に入れている。
デジタルバンクであるUI銀行は店舗を置かず、口座開設、預金、振込等をすべてスマホ操作で完結。ただし首都圏160店舗のグループ店舗網を活かし、手続きや操作方法などの問い合わせに対面でも応じられる体制を敷く。グループのきらぼし銀行はUI銀行の銀行代理業を担い、パンフレットを配布したりデジタルコンシェルジュを配置したりするなどして、UI銀行の新規顧客獲得やカスタマーサポートを支援する。
3年後の預金口座数の目標は、27万~30万。預金残高の目標値は3年後4,500億円、5年後6,000億円に設定している。
インターネットバンキングでは不十分?
低減したコストは上乗せ金利で還元
東京きらぼしフィナンシャルグループ 代表取締役社長 渡邊壽信氏は、UI銀行設立の背景について、「長期にわたる低収益・高コスト体質から脱却するために、ビジネスモデルの変革が急務でした」と振り返った。長年の低金利政策によって本業の収益力が低下。一方、インターネットバンキングの普及などにより来店客が減少する中で、店舗を維持する費用は依然として経営に重くのしかかる。コストを低減し、収益を改善するために、非対面営業へのシフトを加速させる必要があった。
きらぼし銀行でも当然すでにインターネットバンキングを展開している。デジタル化を進めるのなら、これを拡張することで対応すればよいという考え方もなくはない。だが「従来のインターネットバンキングサービスで、多様なニーズにスピーディに応えられるようにするには、基幹の勘定系システムに手を加える必要が出てきます。これには長期の開発期間と大きなコストを要し、現実的ではありません」(渡邊氏)。そこで、新たにデジタルバンクを創設する選択をしたのだという。
東京きらぼしフィナンシャルグループは、2019年に、韓国でデジタルバンキングを展開している新韓金融グループの日本現地法人であるSBJ銀行と業務提携を結んでおり、同行のシステムを国内で運用している実績がある。SBJ銀行のノウハウとシステムをフル活用することで、安心安全かつローコストで短期間にUI銀行の業務システムを構築することが可能だった。「今回のUI銀行の設立によって東京きらぼしフィナンシャルグループの非対面営業チャネルを確立することができました」と渡邊氏は胸を張る。
デジタル化により低減されるコストは、預金金利の上乗せや為替取引手数料の優遇というかたちで顧客に還元したいとしている。
“非対面”と“非金融”がキーワード
「ララPay」と連動した独自のエコシステムに期待
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