「NEOBANKスマホデビット(Mastercard)」がApple Pay、Google Pay対応 スマホ1台ですべてが完結できる世界を目指す

2022年5月23日8:30

住信SBIネット銀行は、デビットでは初となる Mastercardのデジタル・ファースト・プログラムに対応したデビットである「NEOBANKスマホデビット(Mastercard)」(以下、スマホデビット)の提供を2022年3月30日より発行開始した。同社では、2019年から国際ブランドのデビットカードを発行しており、順調に取扱金額が伸びているが、現在はApple Pay、Google Pay対応など、スマートフォンでの発行を強化している。

住信SBIネット銀行 リテール事業部 担当部長 井上史章氏(右)、主任 陰山 明日香氏(左)、山口 飛鳥氏。住信SBIネット銀行ではスマホデビットのリリースを記念してさまざまなキャンペーンを展開。デビットカード Apple Pay対応記念キャンペーンも実施

記事のポイント!
①Apple Payに加え、Google Payにも対応、モバイル戦略強化
②デビットは2018年比で約3倍の成長、スマホで完結できる世界を目指す
③Apple Payの登録率は6割と好評
④スマホですべて完結できる世界を目指す
⑤モバイル決済への非対応加盟店が一定数あることが課題
⑥法人カードにも対応、提携NEOBANKへの展開も視野に
⑦Mastercardのデジタル・ファースト・プログラムに国内初対応
⑧Apple Pay・Google PayのTSPは2社、カード会社の協力も得る
⑨モバイル戦略でのATMキャッシングは?
⑩新規の取扱高の見込み、スマホアプリ利用者の目標は?

アプリでEC決済が可能な「スマホデビット」
Apple Pay、Google Pay対応でリアル決済が可能に

住信SBIネット銀行では、2022年3月30日から、アプリでデビットカード番号、有効期限、セキュリティコードを管理することで、物理的なカードを持つことなく、オンラインショッピングでデビットカードを利用できる「NEOBANKスマホデビット(Mastercard)」を導入した。4月18日には、Apple Payにも対応し、「Mastercardコンタクトレスの対応マーク」、および日本全国の「iD」ロゴのある店舗で非接触決済が利用可能だ。5月19日には、Google Payへの対応も開始している。

プラチナデビットカード(Mastercard)、デビットカード(Mastercard)。Mastercardコンタクトレスにも対応

住信SBIネット銀行 リテール事業部 担当部長 井上史章氏は「もともと当社の利用者の分布として若年層が多く、20~40代で8割を占めています。Mastercardと20代のニーズ調査をした際に、スマホベースのApple Pay、Google Payのニーズが強かったので、投資をしていく必要があり、1年前から開発を進めました」と話す。同じくリテール事業部 主任 陰山 明日香氏は「スマホデビットでは、口座開設完了後に住信SBIネット銀行のアプリでデビットのカード番号が即時発行され、それをApple Pay、Google Payに登録することで、リアル店舗で即時利用できるため、口座開設からのタイムラグが短縮されます」と特徴を述べる。

2018年比で3倍の取扱高に
キャッシュカード一体型戦略でデビットが成長

住信SBIネット銀行では、2016年1月からVisaブランド、2019年に日本で初めてMastercardブランドのデビットを発行した実績がある。同社では、年々国際ブランドデビットの取扱額を伸ばしており、日本銀行の決済動向で公表されている市場の伸びよりも高い成長を示している。国際ブランドデビットの成長は参加行が増えたことも大きいが、「2018年比で約3倍となり、単独でシェアを伸ばしています。2016年頃まではデビット市場の黎明期で、当社でもクレジットカードとの二本立てでリテール商品を進めてきましたが、現在はデビットが圧倒的な収益源になっているのは間違いありません」と井上氏は成果を述べる。Mastercard、Visaブランドともに遜色ない稼働率となっているが、デビット特有のインフラ上の課題から利用できないイシュアも多いガソリンスタンドなども積極的に広げてきたため、平均単価のアップにつながっているそうだ。

住信SBIネット銀行は、アプリ「住信SBIネット銀行」での「NEOBANKスマホデビット(Mastercard)」の発行を開始し、デビット管理機能もリリース。これに伴い、SDGsの達成に向けた環境負荷低減取組みの一環として、DX推進による新規口座開設時のカードレス化は、プラスチック原料の使用量も削減

これまでの成功の要因として、キャッシュカード一体型戦略が大きかったという。同社では昨年、試験的にキャッシュカードの発行を推進しない体制をテストしたが、その結果デビットカードの発行枚数も減り、新規会員の取扱高が伸びなかった。今回のスマホデビットにより、スマホによるATM即時利用に加え、Apple Pay、Google Payの登録が形になり、カード券面のコストを削減できる。将来的にはスマホですべてが完結できる世界を目指す。スマホデビットだけでは不安な人に対しては、ナンバーレスのリアルカードを追加オプションとして有料で発行することが可能だ。なお、リアルカードの発行手数料、切り替え手数料に関しては9月30日をもって無料化は終了し、10月1日以降は有料となる。

既存ユーザーの登録率は6割と好評
デジタル対応で「モバイルSuica」チャージ増など期待

サービス開始から間もないが、プラチナデビットカード(Mastercard)、デビットカード(Mastercard)利用者のApple Payの登録率は6割と好評だ。まずは既存のカードホルダーの登録を促しているが、新規口座開設者の利用はここから伸ばしていきたいとした。デジタル対応により、カードを取り出すことなくモバイル決済できるため、稼働率アップに期待している。EC決済はスマホデビットによるオンライン決済、登録したApple PayやGoogle Payでの支払いが可能だ。オンラインでは「モバイルSuica」へのチャージなどの伸びが期待される。また、デジタル対応によりリアル店舗では、コンビニやスーパーなどの少額決済などが伸びると思われる。

課題としては、リアルの店舗でMastercardコンタクトレスとiD決済に対応していない加盟店が一定数あることだ。一方で、両決済の加盟店は現在も伸びており、「世の中の流れとしてキャッシュレスは当たり前になっていますので、使えない店舗は少なくなってきていると感じています」とリテール事業部 山口 飛鳥氏は期待する。

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