決済端末「Spayd Lite」で国内初の「クレカで決済音」開始、国際ブランドが推進する理由とは?

2022年6月28日8:00

ネットムーブは最新版の決済端末「Spayd Lite」でクレジットカード等の決済時にブランド固有の決済音を再生する UX (ユーザーエクスペリエンス)変更をリリースした。国内ではFeliCaを利用した電子マネー、QRコード決済などで支払い時の決済音は用いられているが、今後はクレジットカード等の国際ブランド決済で広がりそうだ。ネットムーブ ペイメント事業部長 高田理己氏、Spayd プロダクトマネージャ 鈴木朝子氏、同プロダクト開発チームの三科佐知氏に「Spayd Lite」の決済音対応の経緯と国際ブランドが推進する理由、実装のポイントについて、話を聞いた。
※国内初はネットムーブ調べ

Mastercard「ソニックブランド」など国際ブランドが推進
オーソリ時のリスクも低減可能に

――まずは、貴社の「Spayd Lite」でクレジットカードの決済音に対応した理由からお聞かせください。
高田:2年ほど前にMastercardさんからお話がありました。「ソニックブランド」という決済時の UX 改変によるブランディング戦略を推進されており、彼らのマーケティングリサーチの結果として決済音やアニメーションを入れることで消費者の体験として安心感を与えることができるが国内での適用はどうか?という相談を受けました。

すでに日本では電子マネーの決済時にマネーイシュア(発行会社)固有の音源を再生させることが義務付けられているので違和感なく受け入れられるのでは?といったフィードバックはしつつも当時は他ブランドでそのような戦略をヒアリングできていなかったため、単一ブランドのみ決済音を再生するのは厳しいといった印象でした。

状況の変化を感じたのは、昨年後半ぐらいからテレビ CM で 「Visaタッチ」(ビザ・ワールドワイド)や「 Scoop JCB」(ジェーシービー) で決済音を利用され始めたところからでした。各社に確認したところ国際5大ブランドで同様の取り組みを推進されていることが分かり、全ての音源を入手できることができたためリリースする方向で対応を開始しました。

――実機能リリースにあたって留意した点についてはいかがでしょうか?
鈴木:電子マネーでは、マネーイシュアのガイドラインに沿って画面設計書を提示して決済音などを細かく規定したドキュメントを作成して機能実装、ブランド検定、リリースします。こうしたことから、クレジットカードでの取り組みは特に違和感なくユーザ体験としても電子マネーと揃えられるメリットはあるように感じました。

ネットムーブ Spayd プロダクトマネージャ 鈴木朝子氏

今回の取り組みではタッチ決済以外のお取引(接触IC、磁気取引含む)も含めて全てのクレカ決済完了時にブランド固有の決済音を再生することになりますが、非接触EMVの実装を推進されている一部の弊社のお客様からは「電子マネーは決済完了音があるので取引の成否が分かり易い、一方で非接触EMVではカードタップ成功時にEMV規定のかざし成功音を鳴らすが、その後のオーソリに失敗した際には何も音源がなくオーソリ失敗時に成功したものと勘違いしてしまうリスクがあるのでは?」といった指摘もお受けしていました。クレジットカードも決済成功時のタイミングで音源を再生することでこのようなリスクも低減できるのでは?と感じました。

各ブランドのガイドラインに沿って音源再生
決済音でユーザー体験向上へ

――実装にあたって留意した点についてお聞かせ下さい。
三科:実装に際しては各ブランド様から音源と共にガイドラインが提示されます。これらのガイドラインに沿って指定された音源を再生する実装を行います。ガイドラインに関して気を遣う点としては音声再生タイミングです。

ネットムーブ Spayd プロダクト開発チーム 三科佐知氏

他の音源と重ならないように配慮が必要で原則として決済成功時(レシート出力時)のタイミングで音源を再生します。実装後には UI 確認としてブランドに決済時のムービー画像を送付してご確認いただく形になります。

――最後に、今後の決済音の広がりについてはいかがでしょうか?
鈴木:今後、Spayd が実装することを契機に弊社のプラットフォームやプロダクトをご利用いただいているお客様に対しても実装を推奨していきたいと思います。取引時の安心感を与える取り組みとして電子マネー、QRコード決済の音源再生は浸透しつつありますが、クレジットカード決済においてもこれらの取り組みが普及することで安心してキャッシュレス決済をご利用いただけるユーザ体験を提供していきたいと思います。

国際ブランド推進の背景やガイドライン
端末への決済音実装のポイントは?

決済音など決済技術に詳しいネットムーブ高田氏にブランドが決済音を推進する背景、実装のポイントについて話を聞いた。

記事のポイント!
①国際ブランドが決済音を推進する理由
②ブランドのガイドラインの特徴
③決済端末への実装で苦労する点、ブランドごとの違い
④海外、国内の決済音の広がりの見解

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