三菱食品がフェリカネットワークスのレシートデータを活用した理由とは?

2022年9月7日8:30

食品卸の三菱食品は、2022年7月にフェリカネットワークスとの協業を発表した。三菱食品の出荷データと、フェリカネットワークスが保有するレシートデータをかけ合わせて活用することにより、データマーケティングの精度向上と活用範囲の拡大が可能になった。これにより、リテールサポートの充実を図るほか、新ソリューションの提供も開始している。

三菱食品 マーケティング本部長 小山裕士氏

記事のポイント!
①取引先にリテールサポートを実施
②BtoBに加えBtoCデータを取得可能に
③レシートデータで実効力のあるリテールサポートが可能に
④200チェーンの店舗、325万の商品マスタを構築、累計約4万人を把握
⑤PBや外食メニューの購買動向も把握可能
⑥カバー領域の広さやマスタの統合機能品質の高さが売りに
⑦分析データやコンサルティング・サービス提供へ
⑧ガムの競合カテゴリ・商品の調査・分析で成果
⑨データ分析はマーケティング仮説の検証にも有効
⑩販売戦略でも有効に
⑪マーケティングの効率を格段に向上
⑫将来はSaaSとして提供も検討へ

BtoBに加えBtoCデータを取得
流通の川上から川下までを一気通貫で可視化

三菱食品は、メーカー6,500社、小売業3,000社との取引により年間約12億件発生している出荷データをもとに、小売業に対して売り方や品ぞろえの提案などを行うリテールサポートを実施してきた。出荷データは過去の実績をトラッキングしたもの。とはいえ、「年間10億件超のデータが蓄積されていると、3カ月先、6カ月先の未来の予測も可能になります。われわれはその機能をサービスの一環として取引先の小売業に提供してきました」(三菱食品 マーケティング本部長 小山裕士氏)。今回のフェリカネットワークスとの協業は、さらにその先を目指す試みだ。

日本全国、北から南まで、さまざまな小売業と取引のある三菱食品には、どの商品が、どのエリアのどんな店舗で、どれくらい売れたかというBtoBデータが集まる。ただ中間流通業である同社には、対象商品を、どんな人が、いつ、どこで、何といっしょに買ったかといったエンドユーザー軸のBtoCデータは見えない構造になっている。

これを、フェリカネットワークスが保有するレシートデータを活用することによって補完。この連携によって、商品がメーカーから出荷され、エンドユーザーの手に届くまでの一連の流れが、一気通貫で可視化できるようになる。小山氏は「小売業に対し、より実効力のあるリテールサポートを提供することが可能になります」と説明する。

コンビニ・外食を含む業態横断の購買データ
生活者4万人、月100万枚超のレシートデータ活用

具体的にBtoCデータとして活用するのは、フェリカネットワークスが日々のお買い物レシートを独自技術で高度に解析した、個人を特定しない業態横断の購買データだ。フェリカネットワークスではコンビニ、スーパー、ドラッグストア、ディスカウントストアなど200チェーンの店舗マスタ、325万の商品マスタを独自で構築しており、累計約4万人の生活者がどこで何を買ったのかを長期にわたって生活者軸で把握している。三菱食品では、このうちコロナ禍を含む直近2年間超、月間100万枚以上のレシートデータの提供を受け、データマーケティングに活用している。

レシートデータは、特定のカテゴリやシーンに絞って情報を収集する消費者パネルとは異なる網羅性があり、POSデータと違って独自の加工や第三者への開示を制限されないというメリットがある。エンドユーザーを起点に業態や店舗、商品カテゴリを横断的に見ることができ、コンビニのカウンターフードを含むPB(プライベートブランド)や外食メニューの購買動向もわかる。

フェリカネットワークスのレシートデータの強みは?
分析データ提供やコンサルティング・サービス提供

フェリカネットワークスのレシートデータを選択した理由のひとつは、JANコードの付いていない弁当・総菜・外食のデータを蓄積しているなど、カバー領域が広いこと。これに加えて小山氏は、店舗によって商品名などの記載方法が異なるさまざまなレシートから、データを正確に読み取り、的確に集計することのできるフェリカネットワークスのマスタの統合機能品質の高さを、選択の理由として挙げている。

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