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2025年6月2日8:35

 

和田文明

Index
(1)キャッシュレス化に影響を与えた大規模国際イベントの五輪と万博
(2)2010年の上海万博とキャッシュレス
(3)台湾と大阪万博
(4)キャッシュレス大阪・関西万博
(5)“ミャクぺ!”
(6)“ミャクポ!”とEXPO2025デジタルウォレットパーク
(7)万博の各種自販機
(8)万博IDと万博デジタル入場券
(9)マルチ電子マネーチャージ機とPOSカード決済端末機
(10)万博の顔認証システム
(11)KANSAI MaaS(Mobility as a Service)

連載7回目は、キャッシュレス大阪・関西万博の会場内に設置されているキャッシュレスに対応した最新鋭の各種自販機を紹介してみたい。

大阪・関西万博2025の広い会場には、来場者の多様なニーズに応えるため、多くの種類の自販機が設置されている。日本は自販機大国として海外でも知られており、治安などの問題から海外では施設外(路上などの屋外)に設置された自販機はあまり見かけることはないが、日本はビル内や店舗内を含め屋外にも多くの種類の自販機が設置されおり、現金決済を含め自販機の使い勝手も良い。

近年自販機は新500円硬貨対応や新しい1,000円札への対応などのコストがかかっており、今だ新500円硬貨や新札対応が完了していない自販機も多く見受けられる。キャッシュレスによるコスト削減の多くは100%のキャッシュレス化を実現することによって達成することができる。それぞれの一般の店舗の100%キャッシュレスを実現することは難しいものの、自販機を1つの店舗とみなすと容易に100%キャッシュレスを実現でき、現金決済によるさまざまなコスト負担を減らすことが店舗の場合より容易に可能であろう。

以前、自販機は基本的に硬貨を中心とした現金決済であったが、近年、IC電子マネーの普及に伴い、鉄道の駅を中心に、IC電子マネーなどによるキャッシュレス決済の自販機も増えている。欧米など海外でも空港や駅など施設内には飲料やスタック菓子などの沢山の自販機が設置されており、その多くはVisaやMastercardなどのコンタクトレスペイメントによる決済が可能である。中国の場合、硬貨の代わりに少額面の紙幣が発行されており、その多くは汚く、自販機の読み取りが困難な場合が多く、現在では多くの自販機はQRコード決済に対応している。(写真)は、デビットカードがメインでキャッシュレス化が進むオランダのアムステルダムの自販機で、クレッジットカードやデビットカードのコンタクトレスペイメントでの決済がメインである。(写真)は、QRコード決済でキャッシュレス化が進む中国・深圳の自販機で、支付宝や微信支付のQRコード決済がメインである。こうした自販機には、硬貨や紙幣の投入口はすでにない。

(写真)オランダのアムステルダムの自販機
(写真)中国・深圳の自販機

大阪・関西万博の会場内に設置されている各種自販機には、(表)のように、メインの飲料自販機のほか、菓子・スナック、軽食自販機、アイスクリームなどの食品自販機、プリペイドカード販売機、イベント・アトラクションチケット自販機、その他のグッズ自販機など多彩な自販機が設置されている。また、自販機ではないが、従来のコインロッカーに代わるIC電子マネー対応の“スマートロッカー”は東口と西口の2カ所に設置されている。

(表)大阪・関西万博の会場内に設置されている各種自販機等

飲料自販機

・清涼飲料水(ソフトドリンク、ミネラルウォーター、炭酸飲料、スポーツドリンクなど一般的な飲料) (写真)
・お茶・コーヒー自販機(温冷両対応で、多様な種類のお茶やコーヒー)
・機能性飲料自販機
・水素水自販機(環境への配慮から、水素カートリッジ式の発電機能を備えた世界初の自販機が日本コカ・コーラから設置されている)

食品自販機

・菓子・スナック自販機
・軽食自販機
・アイスクリーム自販機

チケット・プリペイドカード自販機

 

・プリペイドカード販売機
会場内でのキャッシュレス決済を推進するため、プリペイドカード)の新規購入やチャージが可能な自販機が設置されている
・イベント・アトラクションチケット自販機
一部のイベントやアトラクションの当日券などを購入できる自販機が設置される可能性があります。

その他

特殊自販機

・万博グッズ自販機(万博公式グッズの自販)
・WiFi関連機器の自販機(写真)
・CO2吸収型自販機(アサヒ飲料は、CO2を吸収する機能を持つ自販機)

スマートロッカー

・通常のコインロッカーのように硬貨(コイン)や紙幣が使えず、全てIC乗車券の電子マネーで決済されるコインロッカーの万博バージョンで、スマホでロッカーの施錠・開錠を行う仕組みである

大阪・関西万博のHP、各種資料より作成

(写真)大阪・関西万博会場内の各種清涼飲料水の自販機(硬貨投入口がクローズされている)
(写真)大阪・関西万博会場内のWiFi関連機器の自販機

自販機における決済方法

大阪・関西万博では、会場内が原則としてキャッシュレス決済なので、こうした自販機においても多様なキャッシュレス決済手段に対応し、原則として現金(紙幣や硬貨)の取り扱いは行われない。(表)は、大阪・関西万博の会場内に設置されている各種自販機の決済方法で、自販機によって可能な決済方法は異なっている。

(表)大阪・関西万博の会場内に設置されている各種自販機の決済方法

プリペイド

カード

・交通系ICカード
Suica、PASMO、ICOCAなど、全国で利用可能な交通系ICカードが利用可能
・流通系電子マネー
WAON、nanaco、楽天Edyといった、流通系のプリペイド型電子マネーも利用可能
・タッチ決済(非接触IC決済のプリペイドカード)

クレジット

カード

・Visa、Mastercard、JCBなどの非接触IC対応クレジットカードによるタッチ決済

デビットカード

・Visa、Mastercard、JCBなどのカードブランドのオフラインデビットカードの非接触IC対応のデビットカードのタッチ決済

スマートフォン

決済

・モバイル財布のApple PayやGoogle Payに登録されたクレジットカードやプリペイドカードも、タッチ決済として利用可能

QRコード

決済

・万博公式電子財布のQRコード決済“ミャクペ!”
・国内主要QRコード決済
PayPay、楽天ペイ、au PAY、d払いなど、国内で広く利用されているQRコード決済サービス
・その他海外のQRコード決済
支付宝(Alipay)、微信支付(WeChat Pay)など、海外からの来場者が利用する可能性のあるQRコード決済サービス

大阪・関西万博のHP、各種資料より作成

こうした大阪・関西万博の自販機は、単なる飲料や食品の販売・提供だけでなく、多様な決済手段への対応、情報提供、そして未来社会の技術体験の場としての役割も担うことが期待されている。なお、キャッシュレスを標ぼうする大阪・関西万博では、現金しか持たない来場者への対応として、会場内にはプリペイドカードへの現金チャージ機がおよそ70台設置されている。

万博会場内に設置されている飲料自販機の台数は飲料メーカー6社で250台を超え、そのうちおよそ60台はコカ・コーラである。コカ・コーラの自販機(写真)では、独自のアプリであるCoke Onを通じて利用できるキャッシュレス決済サービスである“Coke On Pay”に対応している。Coke ON Payは、コカ・コーラ公式アプリ「Coke ON」を利用する。あらかじめアプリにクレジットカードや各種電子マネーなどの決済手段を登録しておくことで、Coke ON Payに対応した自動販売機で、スマートフォンを使って簡単に支払いができる。

(写真)万博会場内の“Coke On Pay”に対応しているコカ・コーラの自販機

万博会場内に設置された飲料メーカーのサントリーの自動販売機(写真)では、サントリーのキャッシュレス専用アプリ“ジハンピ”のように、サントリー公式のキャッシュレス決済アプリでの多様な決済が可能である。サントリーの自販機における“ジハンピ”決済は、スマートフォンを活用したスピーディーで便利なキャッシュレス決済手段で、クレジットカードやPayPay、LINE Pay、楽天ペイ、d払い、au PAY、メルペイ、Apple Pay、Google Pay、モバイルSuicaなどの電子マネーのほか、楽天ポイント、dポイント、Vポイント、Pontaポイント、WAON POINTといったポイントサービスを連携させた多様な決済方法に対応し、“ジハンピ”の独自のポイント機能も備えている。

(写真)万博会場内の“ジハンピ”に対応しているサントリーの自販機

プリペイドカード販売機

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