2022年9月14日8:00
NFC/QR活用のデジタル乗車チケットやスタンプラリーで周遊を後押し
京阪ホールディングスは2022年7月から8月にかけて、比叡山を中心としたエリアでLINEの公式アカウントを活用したデジタルチケッティングシステムを試験導入した。約1カ月半運用してみたところ、新たにアプリをダウンロードする必要がないため遠方からの観光客も利用しやすい、周遊を後押しするなど一定の成果が見られた。同社は、比叡山への観光客が増える10月以降の本格導入を目指し、運用上の課題や改善点などを検証していく。
記事のポイント!
①MaaSや非接触の需要が高まる
②日々の生活に浸透するLINEのプラットフォームを活用
③チケットの購入から支払いまでをLINEで完結
④NFC/QRのプレートにタッチして乗車券を表示
⑤18カ所でのスタンプラリーも実施
⑥過去の実験よりも遠方からの利用者の割合が高い
⑦スタンプラリーは過去の実証実験よりも約2倍の利用
⑧スタンプラリーの参加者とデジタルチケットの購入者を照合へ
⑨本格導入に向けた課題は?
⑩NutmegLabsやアクアビットスパイラルズの協力を得る
⑪10月の本格導入を目指す
⑫他のサービスのデジタルチケット化を図る
MaaSや非接触の需要の高まりに対応
利用者に浸透するLINEプラットフォーム活用
今回の試験導入は、2025年の大阪・関西万博に向けたMaaS(Mobility as a Service)の実現や、キャッシュレス決済・非接触サービス需要の高まりに応えようと実施された。
同社は2019年度以降、滋賀県大津市などと連携して、比叡山を中心としたエリアでMaaSの実証実験を行ってきた。その中でも利用者のニーズが高かったデジタルチケットやスタンプラリーについて、日々の生活に浸透しているLINEのプラットフォームを活用することとした。
チケットの支払いまでをLINEで完結
スマホが乗車券となり、エリア内で利用可能に
過去に実証実験を行った洛北・比叡山・坂本エリアで、LINEにNFC/QRコードを活用するデジタル乗車券や観光案内、クーポン、スタンプラリー機能を実装した「京阪グループデジタルチケッティングシステム」を試験導入してサービスを展開。別途アプリをダウンロードせずに、チケットの支払いまでをLINE上で完結できるようにした。
利用者はLINE公式アカウント「比叡山・びわ湖<山と水と光の廻廊>」を友だちに追加。トーク画面に表示されるメニューから企画乗車券「デジタル比叡山フリーパス」を購入し、クレジットカードでオンライン決済を行う。利用する際に、購入時に使ったスマートフォンを叡山電車や叡山ケーブル・ロープウェイの駅などの乗車口に設置されたNFC/QRのプレートにかざせば、乗車券が表示され利用開始ボタンをタップ。以降は、スマホを乗車券代わりにしてエリア内の乗り物を利用できる。
スタンプラリーは、参加者アンケートに回答した後スタート。天台宗総本山・比叡山延暦寺やガーデンミュージアム比叡、坂本エリア内18カ所のスタンプポイントに設置されたプレートにスマホを近づけてスタンプを取得する。5カ所でスタンプを集めると自動的にホテルギフト券などが当たる抽選にエントリーする仕組みだ。特典クーポンは、エリア内の観光スポットや飲食店、土産物店など19カ所で利用できるようにした。
デジタル乗車券は遠方からの利用で成果
スタンプラリーは過去の実験より参加者増
試験導入の成果として、デジタル乗車券については、過去の実証実験よりも遠方からの利用者の割合が高く、関東・東海方面からの利用者が増加した。経営企画室 経営戦略担当(新規事業)マネージャー 竹之内 恵美氏は「ネイティブアプリと比べ、LINEだと心理的な障壁が少ないのか、遠方の方に使っていただける傾向が強くなっています」と分析する。女性や若年層の利用も目立つという。
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