2023年2月22日9:00
共通領域と付加領域の二層構造を持つデジタル通貨プラットフォーム、DCJPYを開発し、実用化に向けて検証を進めているデジタル通貨フォーラムは、プログレスレポート第2号を発行した。各分科会が行った概念実証(PoC)、机上検証、銀行によるDCJPYの試験発行の結果などを取りまとめた。デジタル通貨フォーラムでは2月16日に事務局(ディーカレットDCP)主催のウェビナーを開催し、同レポートのサマリーを公表した。
共通領域と付加領域からなる
安定した円建てのデジタル通貨
2020年に発足したデジタル通貨フォーラムには、金融機関をはじめ、小売、運輸、情報通信、電力、商社など多様な業種の企業、約100社が参加。うち延べ40社以上が分科会のメンバーとなり、同フォーラムが開発した二層構造のデジタル通貨プラットフォーム、DCJPY(仮称)の実用化に向けた実証実験などに取り組んでいる。
2023年1月に発行されたプログレスレポート第2号で、これまでの成果が報告された(第一弾発表時セミナー)。
DCJPYは、自国通貨建てで安定した価値を保持しつつ、ブロックチェーンや分散台帳技術などの新しい技術を採り入れ、社会経済のデジタル化、情報・データの利活用に寄与することを目標に開発。まず銀行預金としての発行に向けて準備を進めている。デジタル化推進のためには民間の取り組みが欠かせないとの認識のもと、中央銀行デジタル通貨が発行されることになった場合にも、これと共存することを想定した設計がなされている。
DCJPYは共通領域と付加領域の二層構造が特徴だ。共通領域は、銀行が管理する領域で、ブロックチェーンを活用して構成されている。DCJPYの元帳を管理し、銀行同士が連携する仕組みを提供する。付加領域は企業や個人が管理する領域で、さまざまなニーズに応じたプログラムの書き込みを可能にする。2つの領域は綿密に連携し、たとえば、共通領域において直接移転の指図が行われる、あるいは、付加領域において移転の指図が行われ、それが自動的に共通領域に伝達されることによって、ある口座から別の口座への送金が行われるといった仕組みが構築されている。
機能検証と課題抽出に
続々と具体的成果が上がる
プログレスレポート第2号には、デジタル通貨の実現に向けた具体的な取り組みとして、8つの分科会の活動が報告されている。ウェビナーではデジタル通貨フォーラムの事務局を務めるディーカレットDCPの取締役 葉山揚介氏が登壇し、その内容を紹介した。
電力取引分科会では、電力P2P取引における決済をDCJPYを用いて行う実証実験を実施。産業における決済分科会では、貿易取引におけるデジタル通貨決済の実証実験を行った。小売り・流通分科会では、小売事業者と卸事業者間の取引にデジタル通貨決済を活用することで、従来30~120日かかっている支払い完了までのインターバルを1営業日に短縮できることを確認。
ウォレットセキュリティ分科会では、署名鍵の管理にかかわる課題と対応策を検討。NFT分科会では、コンテンツ系NFT取引におけるDCJPYの可能性について議論し、同時受け渡し(DVP)決済の実現方式の検討を進めている。セキュリティトークン決済実務・制度検討分科会もDVPに着目、机上検証を実施して実現にあたっての論点を整理した。
地域通貨分科会では、DCJPYの地域通貨への活用を検討。DCJPYによる子育て世帯への臨時特別給付を検討している行政事務分科会と共同で、2022年3月に福島県・会津若松市と宮城県・気仙沼市で実証実験を実施して、機能検証と実行に向けての課題の洗い出しを行った。
民間主導の通貨インフラが
いよいよ実用化の運びとなるか?
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