2023年7月7日8:35
東京都世田谷区にキャンパスを展開する日本大学文理学部は、同学部後援会の支援により、世田谷区のデジタル地域通貨「せたがや Pay」を学生ひとり当たり3,000円分、全学部生8,486人に対し支給している。同取り組みは昨年度に続いての実施となったが、メールで迅速な支給が可能になるとともに、学生のスムーズなダウンロードにつながるとみている。
昼食提供サービス拡充が急務に
物価高が続く中で学生支援
「せたがや Pay」は、東京都世田谷区の支援のもと、世田谷区商店街振興組合連合会が 2021年 2月に提供開始した地域限定のデジタル地域通貨だ。システム・運営パートナーとしてフィノバレーが同取り組みを支援している。利用者は無料アプリをダウンロードし、セブン銀行 ATM で現金をチャージして使用できる。加盟店数は約4,500 店舗(6月20日時点)、登録ユーザー数は約28万3,000件(2023年5月末時点)、総決済額は約132億円(2023年5月末時点)となる。
3,000円分の「せたがやPay」支給の取り組みは、日本大学文理学部の保護者の組織である日本大学文理学部後援会からの補助を受け、学生支援事業の一環として実施している。日本大学では昨年9月から原則対面授業となったが、キャンパスに回帰した生徒が多くいる反面、コロナ禍で閉店となった学生食堂があることやキャンパス内の工事等により昼食サービスの拡充が急務となっていた。現状、学生食堂の座席数は、8,000人以上いる学生に対し、360席ほどしかない状態だという。
そこで、同学部と世田谷区との包括連携協定に基づき、「せたがやPay」を利用して学生支援事業を実施することとなった。これにより、物価高が続く中での学生支援、学生食堂の混雑緩和につながるとともに、大学周辺の飲食店の活性化にも貢献できる。
メール配信で迅速に支給
ダウンロード数アップを見込む
同学部では、昨年度も学生に「せたがやPay」2,000円分を支給する取り組みを実施したが、今回は1,000円増の3,000円を給付することとなった。昨年度からの大きな変更点として、配布方法を紙媒体からメールに変更したことが挙げられる。昨年度は後学期開始の10月から支給したが、全学生分のQRコードを生成し、学生の所属する窓口でのチラシ配布であったため、約50%のダウンロードにとどまった。
今回はその反省も踏まえ、個々の学生に付与されるメールアドレスに添付して送信している。日本大学文理学部 庶務課 登坂 梨乃氏は「これにより、総会での実施決定後、タイムラグなく全学生への給付が可能になりました。あわせて紙媒体よりも確実に学生の手元へ届けることが可能です」と説明する。
学生には6月27日~30日までお知らせメールを配信して告知し、7月3日~14日にQRコード付のメールを送信。せたがやPayアプリをダウンロードした学生はアプリでQRコードを読み取りアカウントに登録すると、3,000円分のポイントが獲得できる。また、昨年度の取り組みで配布ポイントが残っている学生は、合わせて利用することが可能だ。
なお、昨年度の取り組み同様に一台のスマホで複数生徒の「せたがやPay」を登録できなくするなど、セキュリティ面にも配慮した。
同学部では、今回の支給が世田谷区との包括協定に基づく地域活性化にもつながると見ている。昨年度は学生が昼食で多く利用する下高井戸商店街とも連携し、店舗に取り組みを紹介してもらうことで、「せたがやPay」加盟店舗の増加にもつながっている。
なお、世田谷区では、7月1日~8月31日より、最大 20%還元となる「夏のポイントアップ!せたがやのお店を応援!」事業を開催している。利用者は、対象店舗で「せたがやPay」のコインで支払うと、支払い額の最大20%のポイントが付与される。例えば、地域の飲食店などの中小個店は20%または15%のポイントが獲得可能だ(ポイントでの支払いは対象外)。