2022年10月25日8:00
世田谷区にキャンパスを展開する日本大学文理学部は、同学部後援会支援のもと、2022年10月からキャンパスの全学部生 8,230人にデジタル地域通貨「せたがや Pay」2,000円分を配布する取り組みを行っている。同施策は、物価高に対する学生への緊急支援策を兼ねており、学内での混雑緩和を避けることにもつながると期待している。
学外の店舗で昼食を利用してもらうことで混雑緩和
日本大学文理学部後援会からの補助で実施
日本大学文理学部では、昨年までの2年間、新型コロナウィルス感染拡大の影響を受け、遠隔授業を原則としていたが、2022年4月から原則教室などによる対面授業の実施に踏み切っている。文理学部は16キャンパスのうちの1学部だが、学生数は8,230人を有する。職員も非常勤を含めて1,500人ほどおり、1万人規模のキャンパスとなっている。その全員がキャンパスに回帰した4月以降、予想を超える混雑が発生したという。
日本大学文理学部 庶務課 課長補佐 金澤智明氏は「特に昼食提供の部分でキャパシティがない中でキャンパスに回帰した学生への歓迎の意と、昼食サービスの需要対策でこのような企画を考えました」と経緯を述べる。また、同施策は、商品の値上げなど、物価高に対する学生への支援策にもつなげることが可能だ。
今回は日本大学文理学部後援会からの補助を受け、令和4年度学生支援事業の3本柱の1つとして実施している。総額3,600万円のうち、「せたがやPay」地域飲食支援事業には1,600万円の予算が付いた。ほかには、学内での食事等100円引き事業(予算1,800万円)、屋外テーブル等整備事業(200万円)を実施している。
個別IDを付与したQR 付きチラシを配布
下高井戸商店街とも連携して大学周辺の飲食店開拓
当初は地域振興券のようなスキームを考えていたそうだが、不正の懸念から断念。その中でセキュリティも含め、同学部もDX(デジタルトランスフォーメーション)化を進めていく中でいい方法がないか世田谷区の担当者に相談したところ「せたがやPay」を紹介された。「せたがやPay」であれば、1人の生徒の複数IDの利用を防止でき、全学生に均等に配布可能であり、「意図しているところと合致しました」と金澤氏は説明する。
学生には、後援会の学生支援事業のチラシを配布。同チラシには事業の概要と「せたがやPay」のアプリのダウンロード方法が記載されている。チラシには生徒それぞれのQRコードが生成されており、学生はアプリをダウンロードしてアカウントに登録すると、2,000円分のポイントが獲得できる。金澤氏は「IDは1番から8,230番まで個別に振られており、「QRコードを生成して印刷する作業が大変でした」と話す。
10月1日から授業で配布を開始したが、10月19日には学科生数約 1,000名となる体育学科での配布をスタートしており、10月末までに配布を進めたい考え。
また、世田谷区との包括協定に基づく地域活性化にも貢献することを目指しており、学生が昼食で多く利用する店舗が加盟する下高井戸商店街とも連携している。大学周辺の「せたがやPay」加盟店は、同事業実施前は十数カ所しかなかったが、現在は80店舗が参加しているように、「こういった取り組み自体が地域の経済活性化に寄与できるという期待があります」と金澤氏は語る。
「せたがやPay」はスマートフォンアプリを利用したサービスであり、スマートフォンを保有していない学生への対応も議論になったというが、オンラインで授業を行う中で多くの学生がスマートフォンを利用していたため、影響は少ないと判断した。
学内利用や学生バイトの報酬手段としての活用検討
「せたがやPay」は区の5%還元や国士舘大学学園祭で利用可能に
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