2023年8月3日10:00
三井住友カードは、データ分析支援サービス「Custella(カステラ)」において、全ての決済手段を網羅した拡大推計消費データに対応したと発表した。
20年前から購買行動データは50倍に
1,000万人超の決済と加盟店のデータ活用
三井住友カードは、会員向けサービス、加盟店向けサービス、法人向けソリューションを提供している。会員向けサービスではナンバーレスカードを筆頭に、SBI証券とのクレジットカード積立、来週にTポイント統合し新「Vポイント」を展開している。
「Custella」は三井住友カードの膨大なキャッシュレスデータを加盟企業のマーケティング支援に活用してもらうサービスだ。カスタマーインテリジェンスという意味を込めた名称となっている。
「Custella」の特徴は、国内トップクラスのキャッシュレスデータを経験豊富な人材とAIを活用することで、企業のマーケティングに活用してもらうことができる点だ。
キャッシュレス決済は継続的に成長しており、キャッシュレス比率は2023年度で36%まで上昇している。クレジットカードが最も利用される決済手段であることは変わらないものの、2018年以降はQRコード決済が登場するなど、支払いの多様化も進んできた。同社のキャッシュレスデータは大きく増加しており、20年前は月800万件ほどの件数で高額利用が中心だったが、今では少額まで含めキャッシュレスは当たり前になり、購買行動データは50倍に成長している。
同社が提供するデータとして、クレジットカードの属性データは性別、年代、居住地、加盟店での決済データ、カード利用金額、頻度、利用エリアなど、1,000万人超と豊富な加盟店ネットワークのデータとなる。また、提供にあたり、個人や加盟店が特定できないように最適な統計処理を施している。例えば、加盟店は特定の企業が特定できない、カード会員は匿名化することで、特定の利用者が特定できないようにして、マーケティング支援を行っている。
三井住友カードでは、2019年に約10人でデータ戦略部を立ち上げ、そこから約4年で80人に部員が急拡大している。データ活用にあたって、顧客の課題を解決するプランナー、データを分析するアナリスト、データを分析するデータサイエンティスト、データの抽出やインフラ面を整備するデータエンジニアの4つの職種からデータ戦略部を構成している。
技術面でも拡大を続けており、ビジネスやデータの理解としてBIツールの採用、AIの分野でも各種統計ソフトの使用を行っている。
自社外での消費を捉える
出店エリア判断等に活用
「Custella」で提供しているサービスの内容として、顧客を理解するためのソリューション提供、商圏内での購買行動の分析、直接プロモーションができる打ち手の展開などで顧客企業を支援している。
三井住友カード マーケティング本部 データ戦略部 データビジネスグループ 登坂崇平氏は「『Custella』では、企業にとっての自社外での消費を捉えられるのが大きな価値となります。クライアント内のお客様の情報に加え、それ以外の消費も分析してご提供することを資産として提供できます」と説明する。
「Custella」はフルレンジでソリューションを用意している。「Custella Trend」は世の中の消費の変化を可視化するサービスを無料のメールマガジンで届けている。「Custella Insight」は、加盟店の購買情報を還元するBIツールで、月額無料で提供している。「Custella Analytics」は、完全オーダーメイドで分析内容を設計し、考察やレポーティングまで行う。企業に加え、自治体からのニーズもある。「Custella Research」は、同社会員に向けてアンケート調査を行い、集計して提供するサービスとなる。「Custella Promotion」は、同社の会員に対してクライアント企業からニーズに合わせて直接プロモーションを提供するサービスだ。現在、「Custella Analytics」と「Custella Analytics」の売上が大きいという。
消費データを算出する拡大推計手法を共同開発した「Custella Maps」は、同社のキャッシュレスデータをもとに商品における顧客の理解、出店戦略などに役立てることができる。従来型の商圏分析は国勢調査を使った世帯、人流などを運咳する者に対し、「Custella Maps」は消費の傾向から人の趣味や嗜好を分析して出店エリアを判断することが差別化だという。例えば、各エリアでのECの利用率、外食派か内食派かがどのくらいいるか、ハイブランドやファストファッションが好きの割合などがわかるという。
実際にヒートマップをみると、国勢調査で人口総数が少ないエリアでも消費の面からみると市場が大きい、人口総数が多くても消費が少ないエリアもある。実際に購買に結び付くデータを提供可能だ。コロナ禍が明けて、2023年は出店を加速したい企業が増えており、小売や飲食、サービス業を中心に導入されているという。
クレカ以外のデータも含め分析が可能に
CCCMKHDとの協業で精緻な購買行動の分析が可能に?
拡大推計手法の詳細については、同部 データサイエンスグループ 堀郁哉氏が紹介した。今までの「Custella」は、主に同社のカード決済データのみを使用していたが、顧客からの声として、現金払いやコード決済を含めた消費額全体を把握したいという要望が挙がった。また、カード利用率の低いシニア層は消費の実態を捉えづらかった。
同社では、日本総研、ゼンリンマーケティングソリューションズの協力を得て、プロジェクトを実施。同社はプロジェクトの総括、「Custella」への実装、顧客への提供を担う。日本総研は、ビックデータの解析、決済データの偏りを補正する手段を考察した。ゼンリンマーケティングソリューションズは、日本総研が検討した手法をベースに、日本各地域における特性を考慮した推計ロジックを構築した。まずは「Custella Maps」より提供を開始し、準じたサービスに提供していく。
両社とは過去にも取り組みを実施。日本総研とは2023 年1月末にインバウンドの回復動向をレポートして配信した。ゼンリンマーケティングソリューションズとは、昨年10月末に「Custella Maps」を一緒に提供している。
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