2023年10月11日7:50
パナソニック コネクト、Panasonic R&D Center Singapore(パナソニックシンガポール研)、NTU Singapore(南洋理工大学)は、3者が共同開発した顔認証技術に関する論文が、画像認識分野のトップカンファレンスであるICCV(International Conference on Computer Vision)2023に採択されたと発表した。
一般的に、顔認証技術は、データ数の少ない属性(特定の人種、女性など)について、認証精度が低下する傾向にあったという。今回採択された論文「Invariant Feature Regularization for Fair Face Recognition」では、同問題に対し、ディープラーニングにおける「パーティション学習」という手法を初めて顔認証に適用した。同技術を用いて種々の属性に共通して有効となる顔認証モデルを学習することで、データ数が少ない特定の人種や女性の認証精度の低下を抑制することに成功した。人種や性別に起因する認証エラーは広く問題視されているが、同技術はそういった問題の解決にもつながるとしている。
顔認証技術の社会実装が進む中、特定の人種や性別について顔認証の精度が低下する傾向がみられることが、近年のAIの公平性に対する社会的関心の高まりに伴い、問題視されてきている。顔認証の学習データは実世界の人口比率の影響を受けやすく、人種間、性別間でデータ規模が異なる。顔認証技術の土台となるディープラーニング技術は、大量の学習データを必要とし、この属性間の学習データの偏りが精度に影響を与えるため認証精度の差が生まれてしまうそうだ。
この顔学習データの偏りの影響抑制に向けて、3者は機械学習におけるパーティション学習と呼ばれる手法に着目した。同手法は、認識の難しさを指標として顔学習データを自動的に属性ごとのグループ(=パーティション)に分割する。また、全てのパーティションの精度を向上させる共通的な特徴表現方法を学習する。このパーティション学習を複数回行うことによって、人種や性別などのさまざまなパーティションを生成し、段階的に多様な属性に対して有効な顔認証モデルを学習した。
同手法を顔認証分野における既存のアルゴリズムと組み合わせた評価では、人種ごとの精度を検証可能な評価データセットであるMFRで、4人種(アフリカ系・白人・南アジア・東アジア)の平均エラー率を削減し最高精度を達成した。また、性別ごとの精度を検証可能な評価データセットであるCelebAにおいても、女性の本人受け入れエラー率の削減に成功した。
この記事の著者
ペイメントナビ編集部
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