2024年7月19日9:00
エデンレッドジャパンは、「パート・アルバイト・契約社員にも『第3の賃上げ』を!」と呼びかけるラウンドテーブルを2024年7月10日に開催した。同社はICカードタイプの食事補助サービス「Ticket Restaurant Touch」(チケットレストラン タッチ)を提供しているが、福利厚生を通じた「第3の賃上げ」により、働くすべての人にとって福利厚生を通じた働きやすい社会の実現を目指しているそうだ。
福利厚生で実質手取りアップ
チケットレストランタッチは2021年同月比6.5倍増
同社では、freeeなどとともに「# 第3の賃上げアクション」を2024年2月6日より始動した。「第3の賃上げ」とは、福利厚生を活用した賃上げの手法の1つだ。同社によると、第1が定期昇給、第2がベースアップであるとした場合、実質的に手取りを増やすことができる福利厚生サービスを活用した賃上げは、「第3」になるのではないかとの着想から「第3の賃上げ」を造語として活用している。「第3の賃上げ」として、福利厚生の非課税枠を活用することで実質的に従業員は手取りを増やすことができ、企業は税負担を抑えられる。
「# 第3の賃上げアクション」の活動目的は、2024年春闘において「第3の賃上げ」が賃上げの1つの選択肢となるよう「#第3の賃上げアクション」を呼びかけ、賛同企業の輪を広げることで、福利厚生による働きやすい社会の実現を目指すことだ。2024年7月現在、約90社の賛同を得ているという。
今回、非正規雇用の従業員向けサービスなどを提供するアルバイトタイムスとともに、ラウンドテーブルを実施。「パート・アルバイトにも『#第3の賃上げ』を!」の呼びかけを通じ、さまざまな企業に「第3の賃上げ」を広げていくことを目指すという。
エデンレッドジャパンは、旧バークレーヴァウチャーズも含め、チケットレストランを35年以上前から提供している。2016年4月20日からは紙の食事券で提供していたサービスをカード化した「チケットレストラン タッチ」のサービスを開始。現在、NTTドコモが推進する電子マネー「iD」のリーダライタを利用してサービスを提供している。
チケットレストランは、全国15万人の働く方々をサポートする食の福利厚生サービスだが、現在、加盟店は日本全国25万店以上となる。2023年3月にUber Japanと業務提携したことで、加盟店は大幅に拡大している。
同プロジェクト発表後、新規契約数は2021年同期比で約6.5倍伸長したという。2024年は2023年の2倍を見込んでいるとしていたが、第一四半期ですでに倍増しているように、導入は順調だ。エデンレッドジャパン代表取締役社長天野総太郎氏は「採用難や社員の定着が改善するなど、サービスの質を高めていくことが結果的に数字は高いものになっていくと考えています。福利厚生のニーズは企業から求められていきますので、業界に属している我々はユーザーや企業にとってもメリットもある福利厚生をしっかり提供していく義務があります」と話す。
福利厚生にかかる費用は、一定の要件を満たせば経費として扱われ、原則非課税。社会保険料も軽減されるため、従業員は手取りが増え、企業の税負担は軽減される。福利厚生は、賃金よりもメッセージ性があり、定着率アップに貢献すると共に、企業のブランディングや他企業との差別化にもつ名がる可能性がある。
例えば、チケットレストランでは、会社が食事補助として半額分を支給するため、上限額内(月7,000円)であれば食事や飲食物が実質半額(負担額月3,500 円)で購入できる。つまり、3,500円が非課税となり、給与所得にならない。年間4万2,000円の非課税となり、従業員の手取りアップに貢献できる。
政府に70%の拡大を要望
「第3の賃上げ」は強いメッセージになる?
同社では、534社で食事補助非課税枠の拡大に向けた活動も実施。衆議院議員 古川 康 議員(自民党農林部会長代理)、衆議院議員 和田 義明 議員(自民党食育調査会事務局長)を含む国会議員へ現行の食事補助非課税枠の上限枠額緩和を求める要望書を2024年6月19日に提出した。現行の非課税枠を月額3,500円から6,000円まで約70%の拡大を要望している。
同社では「2024年度(今年度)は賃上げを実施される予定か?」という調査を実施したが、「第3の賃上げ」を知っている企業の7割以上が、通常の賃上げも行う“ハイブリッド型”だったという。
非正規雇用は、雇用者全体の4割近く、2000万人以上を占める。日本の雇用を支える重要な存在となっているが、「年収の壁」などの問題により、働きたくても働けない人が存在している。同社調査でも「定着しない」「離職率が高い採用しづらい」「人が集まらない」といった回答が上位を占めるなど、賃上げしづらい非正規雇用の定着やエンゲージメントに課題感を感じている企業は多いという。
非正規雇用の賃上げが難しい要因の1つに「年収の壁」がある。年収の壁により、働きたいのに働けない“働き控え”が発生しているとした。野村総合研究所の「有配偶パート女性における就労の実態と意向に関する調査」(2022年9月)によると、8割近くが、働き損にならなければ「年収の壁を超えても働きたい」と回答しているそうだ。
例えば、チケットレストランの場合、4万2,000円は全額ではなく、一部のみが社会保険料の算入対象のため、年収は130万を超えず、社会保険の加入対象にはならないという。また所得税は非課税のため、4万2,000円がそのまま手元に残ります。したがって、チケットレストランつまり「第3の賃上げ」の方が、16万4,110円手取りが増加するそうだ。同社の調査によると、「第3の賃上げ」が非正規雇用にも提供できると知らなかった人は6割近くも及んだ。
静岡を中心に非正規雇用を支援するアルバイトタイムスは、無料求人誌を全国に先駆け創刊し、非正規雇用を支援している。例えば、「ワガシャde DOMO」は全国に累計1万4,000社の導入実績がある。営業企画課課長小堤慎介氏によると、中小企業を中心に時給を上げても採用できない、または定着しない時給上げたくても上げられない状況だという。賃上げは差別化の1つになるが、いかに「この会社で働きたい!」「長く働き続けたい」と思ってもらえる魅力を作ることが重要だとした。そのうえで、非正規雇用の採用における「第3の賃上げ」のメリットは、企業が大切にしている理念を分かりやすく伝える強いメッセージになると評価した。
また、関西エアポートオペレーションサービス 藤原崇史氏(空港サービス関連)、サニクロ水越千尋氏(部品検査関連)、ダイナミックマッププラットフォーム 樋口慶氏(IT関連)によるトークセッションも実施した。
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