2024年8月1日8:00
多くの通販・EC企業が導入している会員向けのロイヤリティプログラムについて、内容を刷新する企業が目立つ。購入金額に特化したステージ設定やポイント付与といった一律の従来パターンを見直し、顧客との関係性を強めるCRM施策を重視。長期的な視点から、LTV向上につなげようと再構築を進めている。
記事のポイント!
①EC企業も定期的・長期的な施策が必要
②シップスは商品購入以外のアクションでポイント獲得
③ユナイテッドアローズ「UAマイル」は自社との関係強化へ
④アディダス「アディクラブ」は特典を充実へ
⑤会員の立場からの視点が重要に
■購入金額に特化した対応を見直す動き
これまでのロイヤリティプログラムといえば、購入金額に応じたポイント付与や、ステージ付けによる特典提供が一般的だった。企業と顧客の関係性は「いくら使ってくれたか」を中心に構築されており、会員が抱くブランドへの親近感や愛着については必ずしも可視化されていなかった。
ただ、CRM(顧客関係性構築)やLTV(顧客生涯価値)の観点からみると、購入金額だけでなく、さまざまな面で自社を支持してくれる会員との関係性や信頼性を高めることが重要となる。昨今は商品・サービスの定期購入が広がってきたが、例えば衣料品のように定期購入が馴染みにくいEC企業も定期的・長期的な施策が必要なのは明らかだ。そのような面からも、会員プログラムの刷新が効果的と判断したとみられる。
■買い物以外のアクションでもポイント提供
ファッションセレクトショップでECも手がけるシップスは2024年4月、2008年に始めた会員制度「SHIPS Member’s Club」を初めてリニューアルした。大きな変更点は、商品購入以外の幅広いアクションでポイントが獲得できるようになったことだ。
来店予約や試着予約、メルマガ & 誕生日登録、アンケート回答、ショッピングバッグ辞退、衣料品回収などで10~500ポイントが貯まる。公式オンラインショップで注文したうえで店頭決済を選んでも、50ポイントが付与される。ポイント付与率については、それぞれのアクションとLTVの相関性を事前分析して設定したという。
年間購入金額に応じた会員ステージは5段階だが、リニューアルを機にポイント還元率も変更。従来はステージごとに違っていた還元率を、全てのステージで1%に統一した。一方で全ステージにて付与率がアップするキャンペーンを期間限定で実施し、ステージごとに2~10%と差をつけて上位ステージを優遇する。
■刷新後は2回以上の購入客が増加
実店舗とECを展開するユナイテッドアローズも、シップスに先駆けて23年8月に会員制度を刷新し、新たな会員組織「UAクラブ」を立ち上げた。以前は基本的に商品購入を通じてポイントが貯まるシステムだったが、シップスと同様にこの基盤部分を見直した。
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