2025年3月26日8:30
急速に進化する決済環境において、セキュリティ対策の高度化は業界全体の喫緊の課題です。Visaは、さまざまなソリューションを通じ、より安全かつシームレスな決済体験実現に向けて取り組んでいます。Visaの不正利用被害の拡大防止施策として、トークン化技術やPasskey(個人のデバイス上の生体認証を使用する認証)の普及がもたらすセキュリティ強化、およびその取り組みがもたらす効果について、国際的なセキュリティ動向や警察庁との連携事例なども交えながら紹介します。(2025年2月27日開催「ペイメント・セキュリティフォーラム2025」の講演より)
ビザ・ワールドワイド・ジャパン株式会社
ソリューション営業本部 テクニカル・イネーブルメント部 部長 田中 俊一氏
同部 シニアマネージャー 村城 智香子氏
安全・便利なエコシステム構築のために
過去5年間に世界で100億ドル超を投資
田中:前半、私からVisaの近年の取り組みについてお話しさせていただき、後半は村城から弊社の新しいサービス「Click to Pay」と「Visa Payment Passkey」についてご説明させていただきます。
まず、Visaがこの先、2030年に向けて目指しているビジョンをお示ししたいと思います。弊社は、カード会員や加盟店のニーズに応える、信頼性の高い決済エコシステムを、業界全体でつくっていきたいと思っています。特に消費者に向けては、安全性が大きなカギになりますし、加えて、より便利であることが重要だと思っております。たとえば今、急速に広まっているタッチ決済は、ユーザーエクスペリエンス(UX)を大きく向上させています。またこれからますますスマートフォンの役割が大きくなっていくでしょうし、デバイスの種類も増えていくと考えられますので、そういった環境に対応する新しいソリューションやサービスを皆様といっしょにつくり上げ、提供していきたいと思っています。
弊社ではエコシステムの安全性を高めるために、過去5年間にグローバルで100億ドルを超える投資をいたしました。安全性の維持・向上には、守備、防御、進化、調整という4つの大きな柱があると考えており、これに沿って皆様を守ること、また、守るためのソリューションを提供することに力を注いでいます。進化というところでは、新しいイノベーションにしっかり追いついていくことが重要です。調整というところでは、たとえば、モニタリングをするためのさまざまなツールや仕組みを構築しています。弊社はVisaというブランドを提供しておりますが、同時にネットワークの会社として、エコシステム全体のセキュリティの向上、利便性の向上を推進しています。
警察庁との連携により
いち早く不正情報をキャッチ
田中:クレジットカードの不正利用が蔓延しているのは日本だけの話ではありません。北米やヨーロッパでも社会を揺るがすような大きな不正利用被害が発生していますし、不正の手口も巧妙化しています。近年は不正利用が対面から非対面に移行し、不正につながるチャネルも多様化しています。
不正利用被害拡大防止策として、弊社は昨年12月、警察庁と連携した取り組みについて発表させていただきました。警察が捜査の過程で把握した不正なクレジットカード利用情報を弊社が受け取って、それをリアルタイムに不正利用対策に活かす取り組みです。
具体的にどういうことかといいますと、Compromised Account Management System (CAMS)という、弊社のイシュア、アクワイアラなどに従来からご利用いただいているシステムを活用しています。Visa加盟店で情報漏洩が発生した場合、イシュアにアラートを発信する仕組みです。警察庁と連携することによって、警察が把握した不正情報についても、いち早く世界中のイシュアにアラートを出すことが可能になりました。
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