2025年6月4日8:00
和田 文明
Index
(1)キャッシュレス化に影響を与えた大規模国際イベントの五輪と万博
(2)2010年の上海万博とキャッシュレス
(3)台湾と大阪万博
(4)キャッシュレス大阪・関西万博
(5)“ミャクぺ!”
(6)“ミャクポ!”とEXPO2025デジタルウォレットパーク
(7)万博の各種自販機
(8)万博IDと万博デジタル入場券
(9)マルチ電子マネーチャージ機とPOSカード決済端末機
(10)万博の顔認証システム
(11)KANSAI MaaS(Mobility as a Service)
連載8回目は、キャッシュレス大阪・関西万博の“万博ID”と万博入場券の仕組みを筆者の体験を含めて紹介してみたい。筆者は、今回の万博入場チケットに関しては、JAL(日本航空)のマイレージ特典で“万博入場チケットID”を入手した。4月12日以前の場合は前売り扱いで1名1回につき4,000マイレージポイント、4月13日以降は1名1回につき5,000マイレージポイントが必要である。
“万博ID”は、大阪・関西万博2025の入場チケット購入や各種サービスの利用に必要な共通ログインIDで、万博の公式ウェブサイトで取得することができ、“万博ID”を登録することで、入場チケットの購入や来場日時の予約、パビリオンやイベントの観覧抽選申し込みなど、さまざまなサービスを利用することができる。こうした“万博ID”は、「来場者のデジタル体験をパーソナライズし、より快適で充実した万博体験を提供するための基盤となる」とされている。
筆者も“万博ID”をデスクトップパソコンから予め登録しておいた。“万博ID”の登録に際しメールアドレスに確認メールが送信され、確認メール内のリンクをクリックして登録を完了させた。JALからマイレージ特典としてメールで送信されてきた“入場チケットID”を“万博ID”と紐づけを行い、無事万博のマイチケットを作成することできた。電子財布の“ミャクぺ!”の開設のほか、来場日時(4月21日午前10時)の予約、いくつかのパビリオンやイベント、展示などの観覧抽選申し込みなどにこの“万博ID”を用いて行った。
スキル(自分では日本人の平均レベルと思っているが)にも寄ろうが、“万博ID”の登録・認証手続きなどに多大な時間を要し、この間要した時間は合わせて60分もかかってしまった。筆者の場合JALのマイレージ特典で提供される無償のチケットであったものの、一般に高い入場料は払って万博に行くのにこんな面倒な手続きを入場者に強いることに疑問を感じた次第である。筆者のように“万博ID”有効性を確認し、それを実際に体験してみたい人にはこうした手間も体験として良いだろうが、一般の万博見学者には大きな負担を与えるので、大いに改善が求められると思った。万博協会でも前売り券の販売不振から危機を感じたのか、コンビニエンスストアや旅行代理店で紙のチケット・チケット引換券を購入することができるようになり、ようやく開幕直前にこうしたチケットの販売方法を変更している。 |
“万博ID”は、大阪・関西万博2025の公式ウェブサイトで登録することができ、登録に際しては、氏名、メールアドレス、生年月日、パスワードの登録などが必要である。万博ID登録時には、ワンタイムパスワードや指紋認証などによる認証手続が必要となり、ワンタイムパスワードの場合、専用アプリを使用してQRコードを読み取り、6桁の数字を入力して認証手続きを行うことになる。
“万博ID”は、高度なセキュリティ技術を使用し、個人情報の保護が徹底されており、登録された個人情報は、万博協会の個人情報保護方針に従って適切に取り扱われるとされている。また、スマートフォンの生体認証やパスコード認証を利用して、万博IDのセキュリティを強化することができるとしている。筆者も生体認証のうち、指紋認証を選択しておいた。
“万博ID”により、来場者は自分自身のプロフィール情報や利用履歴などを管理することができる。例えば、購入した入場チケットやイベントチケットを、“万博ID”に紐付けることができるほか、万博の電子財布のキャッシュレス決済サービスで電子マネーの「ミャクペ!」と連携することで、スムーズなペイメントエキスペリエンス(決済体験)を提供できるとしている。このほかに、“万博ID”は来場者の興味や関心に合わせて、パーソナライズされた万博の関連情報やイベント情報が配信され、万博会場での体験や行動の記録が可能となるとしている。
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