花巻市が現地でふるさと納税可能な「はなまき星めぐりコイン」開始、JALは機内などで案内

2024年8月6日12:00

岩手県花巻市は、日本航空(JAL)、ギフティとともに2024年7月24日に記者説明会を開催し、旅行前・旅行中でのふるさと納税を実現する「旅先納税」(「はなまき星めぐりコイン」)をこのほど花巻市が岩手県内で初めて導入したと発表した。

左から2人目が日本航空 東北支社長 佐野 寛人氏、3人目が岩手県花巻市 市長 上田 東一氏、右端がギフティ 常務執行役員 森 悟朗氏。左端が日本航空CAの幸野さん

花巻市の地域経済活性化へ
JALとギフティの協業で採用

花巻市が導入した「旅先納税」は、ギフティがサービスを提供する旅行前および旅行中に訪問先の自治体に寄附を行うことで電子商品券を受領し、訪問先自治体の加盟店で利用できるふるさと納税となる。花巻市では「はなまき星めぐりコイン」として導入する。利用者は、寄附額に対し、30%分の「はなまき星めぐりコイン」が付与される。寄附額は、5,000円(電子商品券1,500円分)から50万円(電子商品券15万円分)まで計9種類を設定している。同日時点で市内の32店舗で利用可能だ。

「はなまき星めぐりコイン」の店舗などでの支払いイメージ。市町村内の飲食店や体験でも利用できる

岩手県花巻市 市長 上田 東一氏は「旅行前だけではなく、旅行中に花巻市に来ていただいた市外の方が寄付を行うことで電子商品券を花巻市内の加盟店で利用できる仕組みです。旅先納税を実施するにあたってはJALさんのご紹介がありました」と説明する。花巻市の昨年度のふるさと納税の寄付額は90億3,000万円だが、旅先納税の開始によりさらに多くの人に寄附をしてもらいたいとした。「はなまき星めぐりコイン」は、ふるさと納税の新たな返礼品および寄附手段として、また地域経済活性化の手段として活用する。

寄付イメージ。アプリのダウンロードなどなく利用できる

日本航空では、3,000万人のJALマイレージバンク会員を対象にふるさと納税事業を展開している。花巻市とは4月から連携し、今回の旅先納税の導入に至った。日本航空 東北支社長 佐野 寛人氏によると、旅先納税の利用促進として、JAL便が就航している伊丹、札幌、福岡からの利用者に対して、機内アナウンスや利用案内を進める。8月1日~20日まで「はなまき星めぐりコイン」の周知を行う。また、機内誌やサイトなどの自社媒体でも案内するという。

「旅先納税」の概要については、ギフティ 常務執行役員 森 悟朗氏が紹介した。花巻市にサービスを提供するギフティは、2022年11月に業務提携を締結しており、花巻市は両者の協業により採用した自治体となる。

ギフティは、電子商品券事業(eギフトプラットフォーム事業)を展開している。同社サービスは、eギフトを発行・流通させる「eGift System」サービス、個人向けのeギフトサービス「giftee」、法人向けのeギフトサービス「giftee for Business」、自治体向けのデジタルサービス「e街プラットフォーム」の4サービスを提供している。「e街プラットフォーム」により、電子化した地域通貨や乗車券・入場券を発行し流通させることが可能だ。また、地域の加盟店で利用できる電子商品券の発行・流通にも対応する。

ふるさと納税の意義として、「使われ方を考えるきっかけになる」、「故郷のみならず応援したい地域の力になる」ことに加え、「自治体間の競争が進み地域のあり方を考えるきっかけになる」ことが挙げられる。

ふるさと納税の寄付額は平成20年の81億円から、令和4年度は9.654億円となっている。また、令和5年度の課税における控除額の実績は約6,797億円となり、控除適用者数は約891万人となった。

ふるさと納税の受け入れ上位額の自治体をみても、第一次産業(畜産・海産・農産物)で特色のある自治体に人気が集中している。そんな中、地域の観光・サービス事業者へ還流させる旅先納税の返礼品が注目されている。

ふるさと納税の対象者6,450万人のうち、未実施者は約86%いる。従来の各地の名産品を配送するふるさと納税に加え、ふるさと納税対象者約6,450万人に「旅先納税」を訴求し、納税額・納税実施者の増加を促し地方創生につながる取り組みにしたいとした。

ギフティでは、共感した地域に旅前・旅先などで寄附をし、旅先の宿泊施設や飲食店、体験施設などの地域体験で利用可能なe街ギフトをその場で即座に返礼品として受け取ることのできる新しいふるさと納税の仕組み「旅先納税」を開発した。

「旅先納税」は71自治体が採用
花巻市の新たなファン創出へ

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