2025年4月30日8:00
一般社団法人サイバーセキュリティ連盟は、2025年4月22日、「ECの5大脅威に立ち向かう!『クレジットカード・セキュリティガイドライン【6.0版】』に基づく対策解説セミナー」をオンラインで開催し、カメラのキタムラが不正対策事例を紹介した。また、「EC事業者必見!2024年の不正トレンド&5大脅威にどう備える?」をテーマにした有識者によるパネルディスカッションも実施した。
不正手口が高度化、
目視や手動では生産性や精度が低下
カメラのキタムラ執行役員EC事業部長兼コンタクトセンター部管掌の伊東政之氏は「カメラ商材は、高単価が進んでおり、レンズ交換式カメラの単価は最近10年で約2.7倍に増加しています。換金性が高いため、不正被害の標的になりやすくなっています」と話す。カメラのキタムラが不正対策を行う3つの目的は、社会的責任、顧客の安全、事業の継続だ。2023年3月には、かっこが提供するEC事業者向けの不正注文検知サービス「O-PLUX」を導入した。
以前は、自社EC受注管理システムで検知し不正に対応していた。不正利用送付先検知サービス「fdec(エフデック)」、カード会社、外部モールからの配送停止情報などのデータベースを蓄積した。システム取り込み時にデータベースと照合し、不審注文の発送を手動で保留、目視で不正DBを参照し、保留解除の作業を実施していた。
伊東氏は「不正手法は進化しており、固定DBによる目視確認の運用では対応できないうえ、運用期間と比例して、チェック件数が膨大に増加し、生産性と精度が低下するという課題を抱えていました。セールなど波動が大きな時期の増員ができず、出荷業務が停滞し、ボトルネックになっていました」と話す。
導入前の業務内容は、商品・価格・決済方法などでチェック対象を決めて有人で確認作業を実施していた。繁忙期は月間2万件以上の目視チェックが必要で、負荷が増加・精度は低下した。うち、約10%は判断が困難で、イシュアへの属性確認・利用確認を実施した。スピード出荷対応のため、1日3回のチェックを実施、完了後は翌日出荷分をチェック、1日8時間のフルタイムのスタッフが実働で1名、休日なども考慮し、専任は2名にした。
カード決済前・決済時の対策に効果
次は「決済後」の対策の強化へ
O-PLUX導入後の業務内容は、商品・価格・決済方法などでルールを決めて実装。NG(=キャンセル)、OK(=出荷)、Review(=有人確認・必要に応じイシュアに確認)の3種にAIが自動的に振り分ける。OK判定においては、即時WMS(倉庫管理システム)に連携するため、チェックによる遅延はない。Review率は目標値を決めて、必要に応じてルールを追加・見直しを実施。限られた情報でも、モール店の不正チェックも必須にしている。モールは不正注文が少ないが、突発的な増加もあり、継続チェックは必須だという。
また、転売による大量買い占めと大量キャンセルの問題にも対処している。キャンセル実績推移をみると、実質キャンセル率は2021年まで7~8%で推移し、23年から大量転売注文が増加、24年は前半に大幅に増加した。不正検知ツールのルールチューニングで転売注文も抑制している。課題としては、不正注文と同様に、注文前に発生を防ぐ対策が急務だという。
伊東氏は「NG注文のうち、カード不正と転売の割合を見ると、転売は急増する時期があります。不正注文だけではなく、転売を目的とした『大量買い占め』の検知も重要になります」と話す。
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