2025年5月20日8:00
インド決済評議会(Payment Council of India、PCI)、インド国家決済公社(National Payments Corporation of India、NPCI)、および Fintech Convergence Council (FCC)の主催による世界最大級のFinTechフェスティバルの1つである「Global Fintech Fest 2025」(以下、GFF2025)が2025年10月7日~9日までインドのムンバイのJio World Convention Centreで開催される。インド大使館は、Fintech Convergence Councilと共同で、2025年5月14日にインド大使館にて「“Global Fintech Fest (GFF) Dialogues – Tokyo”」を開催した。当日は同イベントの見どころを紹介するとともに、インドと日本のFinTech関係者がAIなどの注目点について議論した。
日銀や金融庁、MUFGなども登壇
日本の金融機関が重要な役割果たす
駐日インド大使H.E. Mr. Sibi George氏は、 「PCI、NPCI、FCCに心から感謝申し上げます。これらは第6回GFF25の共催者です」と述べる。GFF25のテーマは「AIや拡張知能、革新、包摂によって支えられる、より良い世界のための金融の促進」であり、金融業界が進むべき方向性をわかりやすく示すことを意識しているという。AIなどの先進技術とイノベーション、そしてインクルージョン(包摂)へのコミットメントを組み合わせることで、より持続可能で公平な未来に向けたグローバル金融エコシステムをどのように形作ることができるかを探求することを目的としている。
George氏は「インドのFinTech革命は、堅牢で包摂的かつ安全なデジタル公共インフラ(DPI)により推進されており、これにはUPI(Unified Payments Interface)、ATHAR(伝統)、アカウントアグリゲーター、そして最近制定されたデータ保護法が含まれています」と説明する。これらの革新は今やインドのDACを通じて世界中に提供されており、インド人に金融サービスへのアクセスを実現している。これにより規模、信頼、そして新たなチャンスが生まれているそうだ。
また、FinTech技術を包括のための力に変えることであり、日本の金融機関がインドでの変革において重要な役割を果たしているという。MUFG、みずほ、NRI、SMBCなどのグループは、インドにおいて多角的な事業を展開し、商業銀行、イノベーションのパートナーシップ、資本市場など、さまざまな分野に貢献しているそうだ。例えば、SMBCがインドの商業銀行に対して約16億ドル(1,340億ドルの20%の出資)を出資したが、これは日本の銀行によるインドへの最大のクロスボーダー投資となった。同取引は、インドの銀行システムや規制の枠組み、そして映画技術の将来的な潜在力に対する強い信頼を示している。GFF2025は、世界中の金融、テクノロジー、政策、イノベーション分野から10万人を超える参加者が集まる予定だ。
世界最大規模のFinTechフェスを自負
スピーカーは約1,000人、600以上の展示ブース
FCC ディレクターのSandeep Jhingran氏は、GFF2025の概要について紹介した。
同氏によると、GFFは参加者数や内容の面で世界最大規模のFinTechフェスになったという。
GFFは、政府、外務省、財務省、経済問題局、金融サービス局などから広く支援を受けており、商務省からの重要な一翼を担っているDPIIT(Department for. Promotion of Industry and Internal Trade)も参加している。同イベントはインド準備銀行により支援されており、内容面だけでなく参加面でも後押しを受けている。
GFFは、さまざまな国際団体からも支援を受けている。具体的には、世界銀行、IFC、UNCDF、Better Than Cash Allianceなどがある。特に世界銀行は、コンテンツ作成やスピーカーの輩出において重要な役割を果たしているそうだ。
同イベントは、多くの業界関係者が参加。スピーカーは約1,000人と見込まれ、業界のCEOも数多く参加しているという。また、展示ゾーンではさまざまな技術展示が行われる。
例えば、決済分野の技術を探している場合、参加すべきだという。Jhingran氏は「FinTech全体の中でも支払いは最も重要な部分ですので、ぜひご参加ください」と話す。
GFF2025年では横断的なテーマに重きを置いている。具体的には、イノベーション、リスク、コンプライアンス、気候変動、持続可能性などの議題について多く議論される予定だ。特に、農村地域が非常に重要な役割を果たし、社会の最底辺を支援するために、さまざまな技術が活用されるべきだと考えている。また、埋め込み型金融(Embedded Finance)やオープンイノベーションについても議論される。Jhingran氏は「このエコシステムにはすべてが揃っており、多くの革新や技術があります。重要なのは、この活動が長期的に持続可能な社会的影響をもたらすことであり、私たちはエコシステムの推進と発展に努めています」と力を込める。
エコシステムの視点から見ると、インドは世界で3番目に大きなFinTechエコシステムを構築しており、進歩も著しい。また、インドが作り出した技術スタック、DPIであるインディアスタックも保持している。
たとえば、インドでは1カ月で約180億件の取引を処理し、これは世界のデジタル取引の約50%に相当すると推測されるそうだ。これは非常に大きな数字となる。
実際に開発したシステムは、これらの規模を実現し、推進し、可能にしてきたという。これは14.38億(2023年)の人口規模の成果だ。そしてインドの規制当局、つまり中央銀行、インド準備銀行、SEBI(Securities and Exchange Board of India)、証券委員会、保険監督機関、そしてPF監督官庁など、各種の規制フレームワークも含まれる。
インドでは、アカウントアグリゲーターを中心としたフレームワークや、それに付随するアカウントの仕組み、中央銀行が進めているその他の変化、特にデジタル融資に関する取り組みが、結果としてエコシステムの発展を促したと考えている。これらは、国全体の一丸となった努力によって実現された。
GFF2025の魅力を案内するGFF Dialogues は、タイ・バンコク、米国・サンフランシスコ、米国・ニューヨーク、シンガポールで開催され、今回の東京が最終となった。
Jhingran氏は「私たちは、世界中のエコシステム全体をこのイベントに繋げたいと考えています。コンテンツやリーダーシップの考え方に加え、多くのレポートやホワイトペーパーも発表予定です。前回は100を超え、115件程の製品発表がありました」と説明する。会場では600以上のブースが並び、自社製品やサービスのPRが行われる予定だ。
また、「GLOBAL FINTECH AWARDS」というアワードもあり、約20のカテゴリーで応募受付を開始している。スタートアップに関してはグローバルな舞台に立つきっかけになるそうだ。
日本からもGFF25に訪れている人が増えているそうだが、GFF25でムンバイをぜひ訪れてもらいたいとした。