2011年7月22日11:13
PCやAndroid搭載スマートフォンで利用できる「auかんたん決済」
マルチデバイス対応によりオープンな環境で利用可能なプラットフォームを目指す
KDDIが提供する「auかんたん決済」は、PC やau の「Android」搭載スマートフォンなどでコンテンツなどの購入ができ、月々のau携帯電話料金と一緒に支払うサービスである。Android搭載スマートフォン向けに通信事業者が提供するキャリア回収代行サービスとして国内初となるauかんたん決済の展開について、KDDIに話を聞いた。
マルチデバイス対応は携帯キャリア初
PCを得意とする加盟店の取り込みを図る
KDDIが2010年6月に開始した「auかんたん決済」は、auのAndroid搭載スマートフォンやPCを利用するユーザーが「au one-ID」を登録すると、「EZweb」と同様の利便性でコンテンツやサービスの代金をauの通話料金と合算して支払うことができる決済サービスである。従来のau携帯電話ユーザーでも、au one-IDを登録することで、auスマートフォンのAndroidマーケットやPC上のコンテンツなどの代金をauの通話料金と合算して支払うことが可能だ。
「PCやスマートフォンなどのマルチデバイス環境で利用できるのは、他のキャリア決済にない特徴です。マルチデバイスでもケータイPC連動設定済みの『au one-ID』を利用して、従来の携帯電話と同じ決済環境を提供できます」(KDDI 新規ビジネス推進本部 オープンプラットフォームビジネス部 ビジネス企画2グループリーダー 課長 中井武志氏)
利用者は、PCサイトでの支払い方法で「auかんたん決済」を選択し、セキュリティパスワードを入力するだけで購入が完了する。2011年5月25日からは、au電話番号もIDとして利用することができるようになり、より簡単に認証することが可能となった。
同社では、従来の携帯電話向けの決済サービスとして情報料回収代行と「まとめてau支払い」を提供している。その延長線上でauかんたん決済をスタートしているため、現状、売上に占める割合は従来の携帯電話が多いが、新たに契約する加盟店の伸び率としては、スマートフォンが高い比率を示しているという。
「ケータイコンテンツを提供している事業者だけではなく、従来獲得できていなかったPCを得意とするオンラインゲームなどのCP(コンテンツプロバイダー)様にも採用され、加盟店は順調に拡大しています」(KDDI 新規ビジネス推進本部 オープンプラットフォームビジネス部 ビジネス企画2グループ 課長補佐 長野敦史氏)
まだ、サービス開始から1年余りだが、最近では、大手企業からの引き合いも増えており、導入した加盟店からは、新規ユーザーが獲得できているとの評価をもらっている。しかし、導入加盟店での売上については、まだまだ伸ばしていく必要があるという。
営業展開については、同社自身の展開はもちろん、決済代行事業者など、パートナーとの協力が重要になるとみており、「今後はさらに緊密に付き合っていく必要がある」(中井氏)としている。
連携方法は、au one-IDによるログイン とID連携の2つ
プロトコルはOpen ID 2.0に準拠
導入加盟店がauかんたん決済を導入する場合、KDDIとの連携方法は、au one-IDによるログイン とID連携の2つがある。
「au one-IDログインは、Webサイトへのログインからauかんたん決済までau one-ID1つで行うことが可能です。ID連携は、加盟店提供のIDでWEBサイトにログインし、auかんたん決済利用時にau one-IDとID連携をすることにより、2回目以降は、加盟店提供のIDのみでauかんたん決済を利用できます」(KDDI 新規事業統括本部 新規ビジネス推進本部 コンテンツビジネス部 プラットフォーム企画グループ 課長補佐 鷲野宏治氏)
実際、APIの実装経験のあり、PCでサービスを展開している企業であれば、容易に実装が可能だが、平均的には1カ月前後の期間がかかるという。
なお、auかんたん決済のプロトコルは、決済部分は一部独自仕様だが、Open ID 2.0に準拠している。
セキュリティ面にも気を配っており、売上確定時に利用確認のメールを配信することができる。また、利用限度額は契約年数などにより異なるが、利用者自身で金額を設定することも可能だ。
「パスワードの桁数は英数字を混合して入力することを勧めており、ユーザ認証に利用するau one-IDのパスワードを定期的に変更するように告知しております」(鷲野氏)
Edyチャージ機能の提供を開始
今秋には楽天市場に導入へ
KDDIでは、利用者の利便性向上に向け、決済手段の拡充にも今後力を入れる方針だ。同社では、楽天グループのビットワレットと連携し、auかんたん決済によるEdyチャージ機能の提供を開始。今秋には「楽天市場」にも、auかんたん決済を導入する予定だ。また、ネットワーク型電子マネー「WebMoney」を運営するウェブマネーを同社の完全子会社とすることを目的として、ウェブマネーの発行済普通株式および同新株予約権のすべてを対象として、公開買付けを実施。今後は、auかんたん決済とのシナジーも期待される。
今後はau one-IDの決済分野以外での広範な活用も期待される。すでに同社では総務省が埼玉県や鹿児島県などで行った実験にも参加。IDのオープンな利用については、検討の範囲内としている。
中井氏は最後に、「auかんたん決済はEdyとの提携なども含め、決済市場で期待されている世界観に拡張できるようになってきました。まずは、多くの加盟店で採用されることを目指していきたいです」と語ってくれた。