2025年10月8日8:10
戸田建設、JTB、富士通の3社は、福井県越前市において、訪日外国人観光客の誘客拡大を目的とした観光DXプロジェクト「ECHIZENクエスト」の実証実験を2025年11月より2026年1月末まで行うと発表した。
福井県越前市は、北陸新幹線の延伸により各エリアからのアクセスが向上し、訪日外国人観光客をはじめとする多様な観光客の来訪が期待されている。同実証実験では、地域の魅力を最大限に引き出し、観光体験の質を高めることで、関係人口の拡大と地域活性化を目指す。
戸田建設は、2021年に福井県越前市と官民連携協定を締結し、北陸新幹線「越前たけふ駅」周辺のスマートシティ構想を推進してきた。観光誘客を起点としたまちづくりやマーケティング強化に取り組み、地域イベントでの観光動態・交通課題の調査など、実証的な取り組みを行った。
JTBは、地域課題の解決と新規事業創出を目的とした「GLOCAL Sustainability Project(GSP)」を2021年に開始した。2024年には越前市を舞台としたプログラムを実施し、地域資源や課題を学んだ参加者である富士通社員が、NFTを活用した新たな観光体験を提案した。
富士通は、2023年よりJTBと共同で訪日外国人富裕層向け観光DXサービスの研究を進めており、NFT技術を活用したデジタル通貨ヴィジュアルコインの地域活性化への応用を模索してきた。
これらの活動が同時期に重なったことを契機に、3社は連携し、地域の魅力を世界に発信する「ECHIZENクエスト」を展開することになった。
各社の役割として、戸田建設が事業全体の統括・スマートシティ基盤整備、JTBが観光商品の企画・造成、プロモーション、富士通がNFT発行・デジタル通貨ヴィジュアルコイン技術支援となる。
「ECHIZENクエスト」は、越前市内の体験工房と連携し、越前和紙、越前打刃物、越前箪笥、越前漆器、越前焼などの伝統工芸や眼鏡、繊維などのモノづくりを巡る体験型コンテンツだ。参加者は各スポットで体験を通じて越前市にゆかりのある紫式部が描かれたNFTを受け取る。同NFTは観光体験の証としての意味を持ち、地域への支援や土産との交換が可能なもので、将来的には特定地域内で利用可能な通貨やポイント制度、またNFT保有者割引や限定体験などの特典との連携も視野に入れている。同仕組みにより、参加者は越前市を冒険するような感覚で散策し、地域文化への理解と愛着を深めることができるという。
今後は、デジタル技術による伝統文化保護と地域活性化のモデルケースとして、他地域への展開も視野に入れている。