2011年8月10日8:55
都営乗車でポイントが貯まり、PASMOに還元
ポイントサービス「ToKoPo」で利用者へのサービスを向上へ
東京都交通局では、2011年8月1日から、都営交通の利用に対してポイントを付与する「東京都交通局ポイントサービス『ToKoPo(トコポ)』」を開始した。ToKoPoは、登録した「PASMO」で都営交通に乗車するとポイントが付与され、貯まったポイントをPASMOにチャージできるサービスである。
東京都交通局
会員登録は無料の記名式
土休日や乗継ポイントも設定
東京都交通局は、都営地下鉄、日暮里・舎人ライナー、都電荒川線、都営バスといった輸送事業を展開している。今回独自のポイントサービスである「ToKoPo」を開始したのは、利用者へのサービス向上のためであり、「東京都交通局独自の色を出す」(交通局 ICカード担当課長 松下直樹氏)ことを意識したという。
ToKoPoは、登録したPASMOで都営交通に乗車するとポイントが貯まるサービスである。入会費、年会費はなく、誰でも無料で利用できる。ユーザーはインターネットか都営交通の駅や営業所等に設置されている申込用紙に必要事項を記入し、同用紙を郵送するとToKoPoの会員に登録が行われ、サービスを利用できる。
記名制のサービスにしたのは、パスモの乗車実績は㈱パスモが管理しているためだ。例えば、都営浅草線は京急線、京成線と相互に直通運転を実施しているため、改札機にタッチしない利用者もいる。そのため、㈱パスモが保持している乗車履歴を解析する必要があり、利用者にもその点について同意してもらわなければならない。東京都交通局では㈱パスモから各利用者の都営交通利用実績を取得し、ポイントの付与を行っている。
基本ポイントは、1乗車につき都営地下鉄と日暮里・舎人ライナーは2ポイント、都電荒川線は1ポイントとなる。閑散日の都営交通の利用率を高めるため、土休日は、ボーナスポイントとして1日につき、都営地下鉄と日暮里・舎人ライナーは2ポイント貯まる設定とした。また、複数の輸送事業を展開する都営交通ならではの色を出すため乗継ボーナスポイントとして1日で、都営地下鉄、日暮里・舎人ライナー、都電荒川線、都営バスのうち複数を乗り継ぐと2ポイントが貯まるサービスも実施する。ポイント還元率については、10年間のコスト試算を想定し、決定したという。
ポイントは10ポイントから
PASMOにチャージ可能
会員が獲得した当月分のポイントは、翌月の15日にまとめて付与を行う。利用者は貯まったポイントを、1ポイント=1円として10ポイント単位でPASMOにチャージすることが可能だ。ポイントサービスへのPASMOの登録やポイントによるチャージは都営地下鉄各駅(他社管理駅を除く)および日暮里・舎人ライナーの日暮里駅、西日暮里駅、熊野前駅に設置しているポイントチャージ機で行うことができる。東京都交通局では自動券売機が老朽化してきたため、その入替にあわせToKoPoのチャージ機能を追加している。
「10ポイント単位でPASMOにチャージしていただけるため、多くの方が貯めたポイントを運賃や電子マネーとして利用していただけると思います。ポイントの有効期限は最後にポイントが付いた年度の翌年度末までですので、ポイントの対象となる乗車を続けていれば失効することはありません。なるべく多くの方に貯めたポイントをご利用いただきたいと考えています」(交通局電車部営業課 ICシステム担当係長 竹内宏幸氏)
クラウド型のシステムを利用
ICカード化の推進にも貢献
なお、ToKoPoでは、富士通と富士通エフ・アイ・ピーのシステムを利用している。クラウド型のサービスを利用しており、基本ポイント以外にも特定の期間にポイント倍付けなどが可能となっている。また、インターネットから申込を行った会員(希望者)に対してはポイントの残高をメールで配信する等の取り組みを予定している。
東京都交通局における2010年度の1日平均の乗車実績としては、都営地下鉄が230万人、都営バスが56万人、都電荒川線が5万人、日暮里・舎人ライナーが6万人となっている。中には通勤などで重複している利用者もいるため、「PASMOで乗車している方は30万人程度だと想定しています。まずは、この数字を指標として会員数の目標を設定しています」と松下氏は意気込みを見せる。
東京都交通局では、2011年7月1日から8月31日までに入会した人に500ポイントを進呈するキャンペーンを実施。また、タレントの木下優樹菜さんを起用した告知などの成果もあり、会員数は順調に推移しているという。また、ToKoPoのサービス開始により、ICカード化を促進していきたいとしている。