2011年8月25日9:35
NPO法人エティックとアメリカン・エキスプレス財団は、 第1 回「アメリカン・エキスプレス・サービス・アカデミー」を8月20日から22日の3日間、合宿形式にて都内の研修施設で開催した。自らの事業の付加価値としての「サービス」を考えることに特化した社会起業家対象の研修プログラムは日本で初の試みとなった。
震災後の日本、そして、複雑化する社会課題の解決を考える上で、ビジネスの手法を用いて社会問題の解決に挑む社会起業家が注目されている。彼らが顧客や社会のニーズに対する理解を深め、より優れたサービスを開発・提供することを支援することで、彼らの行う事業のインパクトを高めることが今回のアカデミーの狙いだ。
「対話と内省」をキーワードに、ケア・センターやわらぎ代表理事/立教大学21世紀社会デザイン研究科教授の石川治江氏監修のもと、講演、グループワーク、ワークショップ、プレゼンテーションなどさまざまなセッションを組み合わせた独自のカリキュラムを展開した。
同アカデミーには、原則創業5年以上の社会起業家29人を招待し、ビジネス、NPO双方の第一人者によって「サービス」のさまざまな側面についての講義やワークショップを実施した。
2日目には、アメリカン・エキスプレス 日本社長 ロバート・サイデル氏とアメリカン・エキスプレス ワールド・サービス・ジャパン副社長 木下 章氏が「アメリカン・エキスプレスが考える顧客サービス」について講演を行った。
アメリカン・エキスプレスは、クレジットカードやトラベラーズ事業などの金融サービスを展開しているが、「1850年のブランド誕生当初から、世界でもっとも信頼されるサービス・ブランドを目指しており、それこそが他社との差別化の源泉だと考えている」とサイデル氏は話す。
同社では企業側の視点ではなく、サービスを受ける顧客側の視点に立った「カスタマー・エキスペリエンス」を重視している。サイデル氏は、「顧客との1回1回のやりとりは接点と捉え、そこを通して長期的な関係を構築することを目指している。素晴らしいカスタマー・エキスペリエンスを提供することは、顧客以外にも社員、株主、ボランティアなど、さまざまなステークホルダーに好影響を及ぼす」と説明した。
続いて講演した木下氏は、素晴らしいカスタマー・エキスペリエンスを提供するためには、「お客様が誰なのか、期待していることは誰なのかを把握することが大切です。また、組織で理解するためにリーダーシップが機能しているか、全社員がカスタマー・エキスペリエンスを提供する体制が整っているか、NPS(ネット・プロモーター・スコア)のように顧客満足度を適切な形で測定を行っているかが必要である」と解説した。
同講演の最後には、アメリカン・エキスプレスのコールセンターの顧客対応から、カスタマーの期待値に対し、どのような対応ができているのかを考え、カスタマー・エキスペリエンスをさらに向上させるために必要なことは何なのかを社会起業がグループディスカッションした。
最終日には、3日間の学びを基に、起業家たちは新たなサービス案を考案し発表した。研修を修了した社会起業家からは、「最高の講師、素晴らしい仲間と学ぶことができ、新しい人生の出発をしようと思う」、「顧客は誰か、何を求めているかという当たり前のことを考え、真面目に取り組み続ける大切さを講師陣から学んだ」などの声が寄せられた。
同アカデミーはアメリカン・エキスプレス財団が協賛し、社会貢献活動の柱の1つ「明日のリーダー育成」の一環として行われた。アメリカン・エキスプレスは、優れたリーダーの育成に力を注ぎ、その理念を反映した社会貢献活動を世界各地で展開している。