2026年7月27日14:15
大日本印刷(DNP)は、個人の本人確認情報や同意・権限を安全に管理し、オンライン上の信頼できる取引を支えるDNP分散型ID管理プラットフォーム「CATRINA(カトリーナ)」を2024年から提供している。今回、同プラットフォームの対象領域を人からAIエージェントに拡張し、AIエージェントがオンラインショッピング等で代理購入を行う際のデジタルアイデンティティ管理機能を2026年7月24日に提供を開始した。同機能により、利用者から認可されたAIエージェントだけが、利用者の意思と権限に基づいて取引できる環境を実現するという。

同プラットフォームの機能拡充に向けて、DNPとQueue-it ApS(キューイット、本社:コペンハーゲン)は共同実証を行った。商品・サービスへのアクセスが集中する状況を想定した環境で、正規のAIエージェントを識別し、認可されていないAIエージェントによる代理購入を抑止することで、安全な代理購入を実現できることを確認したそうだ。
生成AIの進展に伴い、AIエージェントが利用者に代わって商品を検索・比較・購入する新しい購買体験「Agentic Commerce」の実現が期待されている。一方で、経済産業省が策定した「AI事業者ガイドライン」などでも、AIの自律的な活動が社会インフラとして普及するにあたり、不正利用を防ぎ、安全で信頼できる取引環境をいかに確保するかが急務とされている。
AIエージェントが「誰の代理として」「どの権限で」行動しているのか、利用者を確認・検証し、正当な代理購入を実現することが新たな課題となっているという。
DNPは、AIエージェントの活用が期待されるユースケースの1つとして、アクセスが集中するECサイトでの購入手続きや順番待ちを含む購買体験に着目し、CATRINAのサービスを拡張した。今回、アクセス集中時に公平な順番待ちを実現する「オンライン待合室」の技術を提供するQueue-itと連携し、アクセスが集中する状況を想定した環境で、AIエージェントによる代理購入フローを検証した。
CATRINAで培った本人確認・権限管理技術をAIエージェントへ拡張することで、人とAIエージェントが連携する時代に求められる、安全・透明・公平なオンライン取引を支える基盤を提供するそうだ。
具体的に、「CATRINA」は、改ざんに強いデジタル証明書技術「Verifiable Credentials」の技術を活用したデジタルアイデンティティ管理基盤だ。今回の機能拡張でAIエージェントにも対応し、人と同等の厳密さで行動権限の管理を行えるようにした。利用者の意思と権限をAIエージェントに設定することで、「誰の代理として」「どこまで許可されているか」を一元的に管理する。
また、Googleなどが提唱・検討を進めるAIエージェント向け決済仕様「Agent Payments Protocol(AP2)」の考え方を踏まえ、AIエージェントによる代理購入に対応する。
さらに、「CATRINA」とQueue-itの「オンライン待合室」技術と組み合わせることで、アクセス集中時のEC環境を想定した代理購入フローを構築した。共同実証では、「CATRINA」によってデジタルアイデンティティ管理された正規のAIエージェントのみが利用者から付与された権限に基づいて代理購入を実行できることを確認した。さらに、認可されていないAIエージェントによる代理購入を抑止しながら、公平なアクセスを実現できることを検証し、その有効性を確認したそうだ。
DNPは、「CATRINA」のAIエージェント対応機能を、EC事業者や金融機関などへ展開し、2027年度までに累計10社への導入を目指す。今後はECに加え、金融・旅行・行政手続きなどAIエージェントが利用者の代理として活用するさまざまなサービスへの展開を視野に、人とAIエージェントの双方に対応したデジタルアイデンティティ基盤へ「CATRINA」を発展させる。
この記事の著者
ペイメントナビ編集部
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