トレッサ横浜、プリペイド機能付きポイントカード「トレッサスタイルカード」を発行

2012年4月23日8:00

プリペイド機能付きポイントカード「トレッサスタイルカード」を発行
マーケティング活動にも力を入れ、テナント店舗の売上アップに貢献へ

トヨタオートモールクリエイトでは、クレジットカード会社のトヨタファイナンスの協力を得て、同社が運営する複合商業施設「トレッサ横浜」で利用できるプリペイド機能付きのポイントカード「トレッサスタイルカード」の新カードを2011年4月から発行し、ポイントのみの旧カードからの切り替えを行った。新カード発行から約1年が経過したが、カード会員の獲得は目標通りに推移しているそうだ。また、トレッサ横浜ではカード会員の利用が全体の売上の約6割を占めており、販促やマーケティング活動にも有効活用されている。

トヨタオートモールクリエイト(トレッサ横浜)

トレッサマネーを活用したプロモーションを積極展開

1万円のくじ引きで最低でも1万円分のトレッサマネーをプレゼント

トヨタオートモールクリエイトが運営する複合型商業施設であるトレッサ横浜は、北棟が2007年、南棟が2008年にオープンし、スーパー、ファッション、インテリア、カー用品、医療センターなど、220のテナントが入居している。

「トレッサスタイルカード」のデザイン

トレッサ横浜は、横浜の姉妹提携都市であるフランス・リヨン市の市街地をイメージして作られている。北棟は旧市街地、南棟は新市街地をイメージした空間を再現。北棟の1・2階には、トヨタ・ダイハツの各ディーラーが入居しており、自動車の販売メンテナンスが行われている。

トレッサ横浜では、2007年12月、北棟オープン時に現金ポイントカード「トレッサスタイルカード」の発行を開始した。2008年3月の南棟のオープンと同時にポストペイ電子マネーの「QUICPay」を全館に導入。また2009年6月には、トヨタファイナンスと提携し、プリペイドカード「トレッサマネー」とQUICPayの機能のついた「トレッサスタイルカードプラス」の発行をスタートしている。

2011年4月からは、ポイント機能に加え、プリペイド機能のトレッサマネーを搭載した新「トレッサスタイルカード」の発行をトヨタファイナンスと提携してスタート。それに伴い、現金ポイントカードの取り扱いを2011年12月末に終了している。

新トレッサスタイルカードは、現金払いとプリペイド(前払い式電子マネー=トレッサマネー)の2つの機能に特化した提携カードである。会員は新トレッサスタイルカードを利用するとプリペイド決済で100円につき2ポイント、現金払いで100円につき1ポイントのポイントを獲得できる。

カードへのチャージは、館内に設置してあるチャージ機を利用する。入金は、1,000円単位で2万円まで一度に可能で、合計10万円までチャージできる。有効期限は、最終利用日または最終チャージ日より5年間となる。会員はトレッサマネーの利用履歴を専用のWebサイトから閲覧可能だ。

トレッサ横浜 プレジデント 栗原郁男氏

旧トレッサスタイルカードは、100ポイント貯まると、毎月25日に行われている抽選に参加できる仕組みを採用していた。しかし、抽選を行う人で長蛇の列になり、顧客の要望を受け、景品の選定が難しくなるなどの課題があったという。そのため、新カードでは、1,000ポイントで500円のトレッサマネーに交換できる仕組みとなっている。

トレッサ横浜では、トレッサマネーを活用したプロモーションを積極的に展開。まず、北棟の周年祭では、3,000円のチャージで1回、5,000円で2回、1万円で5回の抽選ができるイベントを開催したが、3日間で約7,000万円のチャージ金額があったという。また、1万円をトレッサカードにチャージすると、最低でもトレッサマネー1万円分をプレゼントする「2011本引き」を2011年の年末に2日間実施したが、合計4,022本分はすべて引かれるなど盛況だった。

こういった施策の結果、2011年12月はトレッサスタイルカードのチャージ額が1億円上乗せとなり、利用された金額を見ても通常より1億円多かった。また、2012年1月1日は、過去のトレッサ横浜の日当たり売上の新記録となったが、トレッサスタイルカードで数多くの決済が行われたそうだ。トレッサ横浜プレジデントの栗原郁男氏は、「カードに金額を入金してもらうことで、お客様が飲食や買い物をしたいという心理が働き、店舗での利用を促進することができました」と成果を語る。

約6割の売上を占めるカード会員の情報を有効に活用

「笑顔レポート」提供で各テナントの新規・再来店会員のアップにつなげる

プリペイド機能付きのポイントカード「トレッサスタイルカード」の利用イメージ(左)と「トレッサスタイルカードプラス」のQUICPay決済イメージ(右)

トレッサ横浜では、トレッサカスタイルカードやトレッサスタイルカードプラスのカード会員情報を、「マーケティング活動のツール」として、重要視している。他の商業施設ではカード会員の利用は1~2割ということも珍しくはないというが、トレッサ横浜では約6割の利用がカード会員となっている。そのため、カード情報を分析し、「各テナントの新規顧客の獲得やリピーターの確保に向けて、協力して取り組んでいる」(栗原氏)という。

すでに1年以上かけて、広告代理店と協力し、どの商圏から顧客が来店し、各店舗でどのような購買を行っているのかを分析している。また、同社の営業スタッフによる勉強会を定期的に開催。テナントの売上アップに向け、サポート体制を強化している。

4月からは、テナント店舗単位で会員の情報を分析できるシステムを新規に導入し、「笑顔レポート」として情報の提供を行っている。笑顔レポートでは、新規獲得会員数、店舗利用会員数、再来店会員数についてそれぞれ、前年比95%未満であれば「泣き顔」、95%以上105%未満であれば「普通」、105%以上であれば「笑顔」で表示。テナントごとの新規顧客の獲得実績、カード会員やそれ以外の顧客の売り上げ実績、再来店実績、地区別の来店実績、年代別実績、曜日や時間帯による分析などを詳細にレポートとしてまとめることができるようになった。

「笑顔レポートの提供により、新規のお客様、再来店のお客様ごとに、会員の年代、来店した曜日や時間帯、来店地域などを詳細に分析することが可能になります。テナント店舗とは、その都度新しい目標を設定することで、営業の支援を行い、売上アップに貢献できればと考えています」(栗原氏)

笑顔レポートにより、各テナントの課題を可視化することができ、新規の会員獲得と再来店施策が一目で把握可能になる。トレッサ横浜には、スーパーのように毎日来店客が訪れる店舗もあれば、アパレルショップのようにシーズンごとの購入や、月に200人購入すれば収益が確保できる店舗など、さまざまなテナントが入居している。同レポートを活用すれば、店舗ごとにどの程度の新規客、リピーターが訪れるのかが分析でき、テナント同士で親和性の高い店舗間の買い回りを促進することが可能だ。

「例えば、あるテナントでは、20代中心の品ぞろえを行っていましたが、売れ筋商品を調べ、品ぞろえを変更した結果、売り上げをアップさせることができました。笑顔レポートの提供により、店舗にとってもワン・トゥ・ワンの販促を行うことが可能となります」(栗原氏)

また、テナント店舗からのダイレクトメールの送付についても、カード会員情報を分析することで、有効な会員のみに送ることが可能となる。

トレッサ横浜には年間1,300万人の来店があるが、1回の来店で3店舗弱の店舗で買い物を楽しんでいる。栗原氏は、「お客様にもう1店舗多くまわっていただければ、テナントの売上アップにつながると思います」と力を込める。

稼働率の高さが特徴の「トレッサスタイルカードプラス」と合わせ、

2つのカードでリピーターの顧客で成り立つ商業施設を目指す

現金チャージ機の利用イメージ

トレッサスタイルカードの発行から約1年が経過したが、新規会員が1万5,000人、切り替えが4万6,000人となっており、カード発行前にトヨタファイナンスと計画した7万会員獲得の目標に近づいてきたそうだ。

なお、プリペイドとQUICPay機能のついたトレッサスタイルカードプラスについては、3万人弱の会員を抱えており、稼働率や利用単価の高い優良顧客が多いという。

同社では、トレッサスタイルカード、トレッサスタイルカードプラスを活用した販促やマーケティングを今後も強化していきたいとしている。現状、トレッサマネーカード全体の会員数は約10万人、毎月の稼働会員数は6~7万人となっているが、「20万人の会員数を獲得し、毎月15万人程度の稼働が目標、ひいてはリピーターのお客様で成り立つ商業施設を目指していきたい」と栗原氏は今後の目標を語った。

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